軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ヒノに【年齢偽証薬】を使い、四、五年後の未来の姿を体験してもらう準備を着々と進めていく。

「えっと【年齢偽証薬】は、ミュレルの変化草と活力樹の実を搾った汁を混ぜて、解毒ポーションと干した【マジカルマッシュ】、【錯乱草】と【誘惑草】を【妖精の鱗粉】を加えて、加齢の【マンドラゴラの触媒】の触媒は、確か、雄でいいよな」

そうして複雑な素材を組み合わせて調合釜の中で煮詰められた液体は、上澄み液が徐々に澄んでいき、その上澄み液だけを取り出せば、完成である。

【年齢偽証薬・青】(消耗品)

【外見変更:加齢】+5年/1時間

【年齢偽証薬・赤】(消耗品)

【外見変更:若返り】-2年/2時間

調合のための大釜の中からほんの僅かした作ることができないポーションを一つずつ丁寧に容器に詰めていく。

俺は、いつかOSOでも男になりたい。

そのために、【外編変更:男性】というポーションを探し、研究している。

その過程で、【増毛薬】という髪の毛を伸ばすポーションや、年齢を変化させるポーションができあがった。

他にも薄化粧用のジョークアイテムなどを揃えて、綺麗な小箱に収めていく。

「名付けるなら――【変身セット】ってところかな?」

そして、その【変身セット】の使用者は、ヒノになる。

「さて、あとは増毛薬の方ももう少し作って……と、ミュウから連絡だ」

次の作業に取り掛かろうとした時、フレンド通信の着信を受け取りすぐに回線を開く。

『ユンお姉ちゃん、今時間ある?』

「どうした? ミュウ。あ、ヒノから話聞いたのか?」

『うん。なんか、面白そうな話だったから、私たちもやらせて!』

「それなら、もう何本か作らないとダメかな。素材集めしないと」

『それならお願いね』

そして、足りない素材を数えながら、ミュウと他愛のない世間話をした後、ミュウの声のトーンが少し下がる。

『ヒノちゃんからは、あの話聞いたんだよね』

「ああ、自称OSOガチ勢の話だろ? ミュウたちも怒ったって聞いたけど」

『ホントだよ! 私たちの大事なヒノちゃんをバカにしたんだから! 絶対に、ギッタンギッタンにしてやるんだから!』

ムキィィッと怒るミュウに俺は、苦笑しながらもその必要は無いんだけどな、と思う。

「俺も一応、そのプレイヤーたちについて調べたんだ」

『それで何か分かった?』

「OSOの怖いお兄さんたちに目を付けられたからしばらくは大人しくしてるんじゃ無いか?」

『怖いお兄さんって誰?』

きっとフレンド通信の向こうでは小首を傾げているだろうミュウに伝えて良いか迷ったが、俺は伝えることにした。

「PKたちだよ。対人戦に特化しつつOSOの悪役を自認している面々」

PKギルド【獄炎隊】のフレインを初めとする様々なPKたちだ。

OSOでのプレイヤーキルという行為は、メリットは少なく、デメリットの方が大きい。

それでもPKという行為を行うのは、スリルや対人戦の駆け引きを楽しみたいがためだ。

だが、無秩序にPKを仕掛けていたために混乱が生まれたために、それを落ち着ける自身である程度のルールを設け、プレイヤーの住み分けがなされた。

だが、自称OSOガチ勢は、調子に乗ってそのプレイヤーの住み分けの垣根を壊しかねない。

そうすれば、かつての混乱を引き起こしかねないことにPKたち自身も非常にピリピリしている。

『あー、あの頃、プレイヤーのお店で出入り禁止にされたりしたもんね』

「そのとばっちりを受けないために、フレインの奴は、俺の方にも先に話を通して、きっちり話し合いしてくる。って言ってた」

別に俺は、OSOの生産職の顔役という訳ではない。

どちらかと言うとマギさんやクロード、リーリーの方が適任だが、話を貰ったから一応マギさんたちへの伝言として預かった。

なので、きっとヒノをバカにした自称OSOガチ勢は、もうバカにするようなことはできないだろう。

『うへぇ、怖いなぁ』

「特にヒノを身体的特徴で揶揄したのはいけなかったな。PKの中にも体格で劣るけど、ヤバイ奴は多いから」

逆に、小柄な体格と子どもっぽい言動を利用してアホなやつらを誘き寄せて、倒していく技巧派PK。

道化のような格好と太った体格で侮らせて、一瞬で距離を詰めて殴り倒す超近接格闘系のPKがいる。

PKではあるが、フレインのような戦闘狂や狂犬のようなプレイヤーではなく、割と他のプレイヤーとパーティーを組んで共存できるが、報復行動はPKで行うプレイヤーなだけだ。

特にそんな感じの過剰報復型のPKが行動しているのだ。

自称OSOガチ勢は、きっと徹底的にプライドを傷つけられるだろう。

『うへぇ、やっぱり怖いね。このことは、もう忘れよう』

「ああ、そうした方がいいよ。ただ、また何かあったらちゃんと伝えるんだぞ。あと、フレインの名前出せば、一発解決だと思うから」

「えへへっ、私のバックには、フレインさんがいる。って言うとなんか危ない人たちみたいだね」

ある意味、PKギルドは、アウトローな側面があるからなぁ、などと思う。

そうしてミュウとのフレンド通信を終え、更に箱に詰める【年齢偽証薬】や【増毛薬】の素材を集めに出かける。

「ミュレルの変化草は、あんまりないんだよなぁ」

レアな薬草であるミュレルの変化草は、【メイキングボックス】のランダム納品で手に入れたものであるが、その後、それが手に入るエリアを見つけた。

とは言っても、険しい場所にあるために、リゥイやザクロは連れて行けない。

「さて、行くか。行き先は、高原エリアで」

俺は、【アトリエール】に設置されているミニ・ポータルを使い、第一の町の北側にある高原エリアに移動する。

そこでは、超弩級MOBのグランド・ロックが存在するが、俺の目的は更に北だ。

強力な馬型のボスMOBのライトニング・ホースのいる丘を越えて、更に雪深いエリアへと入っていく。

「ううっ、この辺は寒いなぁ」

足の脛あたりまで深い雪を進み、針葉樹の林を抜けて、ミュレルの変化草を探す。

「ここだな」

【看破】のセンスで見つけた僅かな雪の盛り上がりの下を調べるために、インベントリからスコップを取り出し、雪を掻く。

そして、雪の下から植物が見え、そして俺は、それを見て落胆する。

「外れだ。【月雪華】かぁ、とりあえず採るか」

雪の下から出てきたのは、蔦状の植物に月のように青白く雪の結晶のように六角形の可愛らしい花を付けた植物である。

「【アトリエール】に飾るか」

そうして次の採取ポイントを探しに雪の積もり林の中を進んでいく。

ミュレルの変化草を探す一方、雪の下でのみ見つかる植物なども集まる。

「ふぅ、こんなものかな。流石に寒いなぁ」

ブルッと震えながら、インベントリに入っているミュレルの変化草の数を数えて、十分な数集まったと頷き、【アトリエール】に戻る。

そして、足りないポーションを作り、いよいよヒノが未来の姿に大変身する日を迎える。