軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

Sense22

今日は、タクたちとのサンドマン狩りを手伝うために西門の待ち合わせ場所に早めに来た。

待ち合わせは、十分前には居ないと、不安になる性質なのだ。

「タク、来たぞ」

「相変わらず早いな。お前、三番目だぞ」

そう言って出迎えてくれるタク。

待ち合わせの場所には、タクとケイの二人。男同士で何やら気の合うような会話でもしていたのか、随分トークに集中していたようだ。

「久しぶりだな。ユン」

「おう、久しぶりだな。タクと何話していた?」

「うん。2ndキャラを作るんだったらどんなキャラするのか、とか、センスを一新するんならどうするか? という話だ」

「へぇー。面白そうだな。あっ、タク、素材よこせ。今のうちにポーションと丸薬作るから」

タクがトレード画面でアイテムを載せているのを横目に、二人と話をする。

「俺の今のイメージは、傭兵みたいなキャライメージだからな。次は、外見は細身で鈍器系を扱うのも面白そうだと思うんだ」

「へぇー。確かに、鉛色の戦士って感じだもんな。でもその鉛色の鎧って素材は何? 見た目レアっぽいけど」

「鎧は鉄製だが、生産職のスキルで配色を変える【カラーリング】ってものがあるんだ。大体生産職は装備品の色を変えられるぞ。ただ染色アイテムが必要になるだけで」

「マジで、ちょっと待って」

確認してみた。細工のスキルの所に、昨日はなかった、リング作製とカラーリング、細工が追加されていた。つまりリングを作ったことで、この三つが出現したのだろう。

あとこの細工は、デフォルトのアクセサリーに模様や形を変えるだけのスキル。つまり、俺のリングってデフォルトかよ! 生産職なのにデフォルトって恥ずかしいな。

「あー。じゃあ、今度試してみるかな? あと、武器系のセンスってどんなのがある?」

「そうだな。ユンは、弓の戦闘センスだが、他にも多くのセンスがあるぞ。俺やタクは剣だが、他に魔法職の杖や本、前衛だったら槍や刀、短剣、盾、斧、こん棒、ガンツの様な身体部位を武器にするセンスがある。一通り調べなかったか?」

「あー。一応見たことある気がするけど流し読みだったし、攻略サイトのセンスランキングってやつの下から選んだから」

「馬鹿だよな。こいつ! でもまあ、面白いもの見せてもらったから良いけど。あと、ユン。他にもユニークなセンスで、料理や釣り、なんて趣味センスって呼ばれるものがあるぞ」

「面白そうだな。ゲームの中なら食材無駄にならないし、覚えてみるかな」

「馬鹿っ! やめろ。それもゴミセンスって呼ばれる奴だ。タクも中途半端に教えるな!」

なんか、知らんがケイが俺のために怒ってくているようだ。まあその間俺は、ポーションの調合でピカッピカと光っているので、見た目シュールだろうな。

「俺が思うに、あの射程や付加を考えるとユンの取る戦闘スタイルは、隠密だろう」

隠密というのは、俗語らしい。

主なスタイル構成は、スキルで発生する光を消したり存在を感知させない【潜伏】や隠れた物を見つける【発見】、敵の急所やダメージポイントに入った場合にクリティカル率が上がる【急所の心得】、先制攻撃時にダメージにボーナスが入る【先制の心得】など、主にサポートセンスと呼ばれるタイプのセンスで構成を勧められた。

ちなみに、これらのセンス構成の場合、戦闘センスは、短剣を投げる【投げ】センスや致死スキルを持つ【短剣】や【双剣】などの短剣職らしい。

「ケイ。ユンにそんな玄人向けなセンス勧めるなよ。それは主にPVPを意識した構成だろ?」

「むぅっ……焦っていたのかもしれないな。済まない忘れてくれ」

「いや、参考になった。まあ【発見】は面白そうだな」

「「えっ……?」」

「あと、回復薬出来たぞ」

アイテムをタクに無理やり押し付けて、俺は、新しくセンスを探す。

おっ、発見があったあった。じゃ、取得と。

所持SP10

【弓Lv16】【鷹の目Lv22】【速度上昇Lv5】【発見Lv1】【魔法才能Lv22】【魔力Lv21】【錬金Lv9】【付加Lv20】【細工Lv13】【生産の心得Lv11】

控え

【調教Lv1】【調合Lv15】【合成Lv15】

おおっ!? 今まで見えなかったアイテムが見えるぞ! これは今まで見落としていたアイテムが拾える。アイテム採取家? としては嬉しい発見だ。

「タク! アイテムが見えるぞ!」

「そりゃ、そういうセンスだからな。まさか、そのセンスを獲得するとは」

「ダンジョンの罠の発見は、普通前衛が行うんだが、後衛のユンが持っていてもあまり役立たないんだが」

何を言うか! 見えるってことは素晴らしいことだぞ! ああっ、今まで拾えなかったアイテムが拾えるって素晴らしい。

「なあ、この発見ってセンスは、上位に何がある?」

「あー、確か、戦闘センス補助の【看破】になるぞ。看破は、相手の予備動作を事前に察知できるセンスだ。他にも察知する方法は【感知】の上位【第六感】とか色々と方法はあるな」

「なあ、なんで色々あるんだ?」

「それは、センスの派生合成だ。一番有名なのは、攻撃力上昇と防御力上昇のセンスをそれぞれ30まで成長させると物理上昇ってセンスに代わるんだ。二つ以上のセンスが一つにまとまるから重宝されるんだ」

だからミュウはそれを取っていたのか。つまり、装備センスに空きができるわけだ。あいつ、β版でやっていただけだってセンスの派生を熟知しているんだな。

「ただ、難点として派生前のセンスが消滅して別のセンス・ツリーにカテゴライズされるんだよ」

むっ、センスツリーとかカテゴライズ? 訳が分からない。

疑問が発生したが、それをすぐには解消できなかった。

「おーい、来たよ!」

「久しぶり、ユンちゃん!」

いきなり抱きつかれて、小さな悲鳴を上げてしまった。おいおい、俺の口からなんて声が出る。その反応に可愛いとすりすりと頬ずりをミニッツにされるし。いつの間にかケイの隣にマミさんが並んでいるし。なんか、並ぶと二人は絵になるな。

寡黙な戦士と優しげな魔女。

「百合百合じゃないか。開始早々、百合が見れるなんて」

ガンツが一人、嬉しそうに顔をにやけている。死角に居たから気付かなかった。そして、こっちみんな。

それにしても、ガンツの防具が普通の皮鎧から鱗に覆われたスケイル・メイルに代わっている。これも皮鎧の部類なんだろうか。良い装備付けやがって。

そういって一人で不機嫌になっている所で、マミさんが静かに俺の手を見つめていることに気付いた。

「あらあら、ユンさん。その手、ふふふ」

「な、なんだ。マミさん。なに?」

なんか、マミさんが手と言ってきた。手なんて普通だがと自分で翳して眺めていると、耳元で大声。

頭がきーんと響く。

「ユンちゃん! その指輪どうしたの!」

「声大きい、耳痛い!」

「ご、ごめん。でも、ふふふ、女の子だね~。誰から貰ったの?」

「はぁ?」

「だって、エンゲージリングの場所に指輪があるんでしょ? 誰からなの!? 教えてよ!」

なんだよ。なんだこれ?

タクとケイに視線を向ければ、タクは笑いを堪えているし、ケイは何か悟った様な表情。おい、それだけ分かっているなら、お前が説明してくれ。

ガンツは、うおおおっ、まさかの男疑惑!? いや、男だよ! 男だけどそうじゃないって、俺は何を言おうとしている!

そして、マミさんは静かに自分の左手を見せている。その薬指には細工の凝った指輪が。

「いやいや、違うから、話を聞け!」

「いいから、お姉さんに話しなさいな!」

もう、誤解を必死に解こうとすると、恥ずかしがっているように思われ、どんどんと深みに嵌る。

十分後にタクが止めてくれなかったらどうなっていたか。いや、もっと早くに助けろよ。