軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

Sense11

今日は、 第一(エルプシェル) の町南地区へ土地を借りるために来たが、その前に軍資金を用意しなければいけない。

今日は、ポーション×30、丸薬×15、それと試しに解毒ポーション×5を用意してみた。まあ、ポーションだけでも買ってくれれば御の字って所だ。

今日も妙に視線を感じるがエンチャントで早足で抜けて、昨日マギさんの居た場所に向かう。

同じ場所で露店を開いているマギさんを見つけたので、俺は、声を掛ける。

「マギさん、こんにちは」

「ユンくん! 昨日、ポーション売ってくれてありがとう!」

開口一番になぜか感謝された。

「ユンくんの売ってくれたポーション。適正価格で売ったら最前線の人が来て、一緒に私の武器やアクセサリーも買ってくれたの。昨日は、駄目かな~。と思ってたんだけど」

「ああ、そういう事なのか。じゃあ、今日も買い取ってくれますか? 用意しましたから」

「うんうん。お姉さん的には、武器、アクセサリー店だけど、万能感ほしいから露店で一緒に売っちゃうよ」

「じゃあ、お願いします」

トレード画面に載せていく。用意したポーション、丸薬、解毒ポーションを見せると、マギさんが嬉しそうな驚いたような表情だ。

「わぁー。これだけ纏まったアイテムありがとう。それに丸薬って、今この町で売ってる一番良い回復薬だよ。それに回復量高いし。解毒ポーションもβ版では調合や合成センス持ってた人がいたけど、正式版の噂でその方面進む人いないから状態異常回復ポーションが不足してるんだ」

「そうなのか。じゃあ、ラッキーってことで」

「うんうん、じゃあ、ポーション35G、丸薬70G、解毒ポーションは、70Gの2450Gね」

「ちょ、ちょっと。昨日よりポーションの値段が上がってるって。30Gだったし」

「昨日は六割買い取りだったけど、今日は七割買い取りにしたんだ。ほらほら、これって売れば私のお店の宣伝にもなるし、必ず売れるし、私は適正価格だと思ってるわけよ。それに、お金欲しいんでしょ?」

チェシャ猫のように、にしし、と笑うマギさん。反論しそうになるが、実際先立つものが無い。これから農場を見て、携帯炉を見て、上位の合成キットを見て、とどう考えてもこれだけでは足りない。

「まあ、ユンくんがそこまで言うなら六割価格で……」

「すみません! その価格でお願いします!」

「うんうん、素直な反応がお姉さん好感持てるな。でも可愛い子がわたわたと慌てふためく姿も面白かったよ」

いや、俺男っす。てか、やっぱり女の子だと思ってるのか。まあ、ゲームだし良いか。

「じゃあ、トレードお願いします」

「はいはい。じゃ、お金ね。またセンス上げで出来たアイテム買い取るよ」

「その時はお願いします。あっ、そうだ。忘れるところだった。このアイテム見てもらえますか?」

俺は、ウィンドウに昨日作った上質な鉄鉱石と宝石の原石を見せる。

それを確認したマギさんの表情が一瞬にして険しくなり、声を顰めて話す。

「……ユンくん。これどこで手に入れたの?」

「どこって、普通の西の林の中で」

「いや、宝石は、丁寧に研磨すれば、中サイズになるから持ってるといいよ。もっとセンスを上げれば、破損率も下がるし、中サイズだって成功するから別に問題ない」

おっ、良い事聞けた。その内、宝石の研磨も≪スキル≫でどんどん処理できるようになるってことだ。

「問題は、この鉄鉱石。上質な鉄鉱石は、西では採取するならもっと奥。第三の町―ラインメイシル―の近くの鉱山まで進まないと。それにその採取には、手前の採石場の敵であるサンドマンのレアドロップか、その上位MOBのゴーレムのドロップ品だよ。一人で倒したなんて冗談は言わないでよね。サンドマンは、東のビックボアと同等なんだから」

いや、ビックボアとか知らないから。

「いやいや、違いますよ。錬金による上位変換ですよ」

「……なるほどね。錬金で作ったんなら納得ね」

あっ、納得されちゃうんだ。

「で、どうする。ユンくん使わないなら私が買い取るよ。上質な鉄鉱石とただの鉄鉱石って全く別種のアイテムだし、二つだけだと鉱石ってインゴットに出来ないのよね」

「えっ、マジで」

「うん。五つで一つのインゴットが出来て、武器は、剣なら三つ、大剣や両手剣なら五つはインゴット使うのよね」

「ってことは俺の場合、錬金で10個で上質一個だから、鉄鉱石五十個でやっとインゴット一つ分ってことか。また面倒だな。でも上質な鉄鉱石って価値高いのか?」

「いや、全然。ただ、同じ鉄製の武器でも上質の方が能力面に若干のプラス補正が掛かるだけ。鉄鉱石買い占めて作るほどの価値は無いし、やったら大赤字だね。第一、インゴット一つあっても私の場合、アクセサリーにするくらいにしかないね。あと、アクセサリーで指輪ならインゴット一つ、腕輪なら二つ必要だから」

「そうですか。じゃあ、買って下さい。あと、また作ったら持ってきますよ」

「うん、市場に出回るまではそうしてほしいな。私は上質アクセサリーでうはうはするから」

トレード画面に上質な鉄鉱石を乗せる。そしてトレードされるお金は、400Gって、ええっ!?

「マギさん、本気ですか!?」

「いやー、鉄鉱石って一個100Gなんだよ。それの上位だから200G。NPC価格で売ると半値だけど、今は出回ってないからこれくらいが妥当かな? 後は、これからも市場に出回るまでの契約料込みってことで」

「分かりましたよ。マギさんって何気にお金持ってるでしょ」

「うーん。βで荒稼ぎしたからもうじき店舗くらい買えるかな」

羨ましくなんかない、羨ましくなんかない。とぶつぶつと呟く。

「まあまあ。儲かったんだし良いじゃん」

「はい」

何とも釈然としないが、お金が増えたのは良かった。今の手持ちは大体3420Gだ。だが、俺は甘く見ていた。農場の最低価格を。

「畑を買うのかい? 一番安いので3000Gだよ」

「えっ?」

麦わら帽を被った男がそう言いました。もちろんNPCで、畑の説明や育て方を教えてくれる人らしい。

「今は、殆ど買い手が無いが、その内、地価が上がるだろう。今のうちに買っておいた方が得だぞ」

いや、ゲーム内でそんなリアルなこと言われても困る。しかし、南の地区の畑は、野球場が三つ程度に開いているが、殆ど人がいない。

「分かりました。最低の頼む」

インベントリの3000Gが消えた。ああ、俺のお金。

「ほら、土地の所有権だ。そこに書かれた場所がお前の畑だ。それと、畑を耕すには、スコップやクワとかの道具も必要になる。これは別で300Gだ」

ふざけんなぁぁぁぁぁっ!

俺の残り所持金ギリギリじゃねえか! でも道具ないと薬草の種子を植えられない。

ぎりぎりと歯ぎしりするほどに、苦悩して。

「まいどあり」

結局、買いました。先行投資だと思おう。そうだ、先行投資、先行投資。薬草で2000G弱稼げたんだ。すぐに取り戻せる。

そう思わないとやってられなかった。