軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

千の顔を持つ月

『うーん…うーん…。』

「クーちゃん。ずっとうなされてますわね。」

「まぁ、自分が生贄だって知っちゃったからなぁ。」

「いくらモンスターと言えども子どもを生贄にするとはなぁ…。」

倒れた後のクーちゃんは、白鳥先輩・赤池先輩・龍崎さんの三名によって介抱されているが、全然目を覚ますどころか、ずっと唸っている。まるで悪夢を見ているかのような唸り具合だ。クーちゃん、『ティアラ・クー・ターコイズ』は、■■■■■の実の娘らしいけど、見た目はスキュラ娘のモンスターだし、普段から人間態をとっているから、精神的にもかなり人間に近いのかも?

ちなみに■■■■■は人間には発音が出来なかった。ナイアは発音しているみたいだけど、基本的にはうまく聞き取れない。まるでノイズのように音を認識することが出来ないのだ。ただ、実のお母様…つまり、■■■■■とは寝ている間に念話をしているみたいだから、もしかすると今も親子喧嘩をしている可能性が若干ある。

それはそれとして、未だに洞窟の外から衝撃がここまで伝わってくる。リーリエの方も心配だが、洞窟の中に留まっているだけというのも、どうも不安になってくる。しかもナイアと一緒にいるというのも、不安要素の一つではある。現状、後ろから刺されるとかそういう方面での不安は存在しないけれども、私を狙っていることには変わりがないはずだ。

だというのに、なぜだろう。やけにひどく眠たい。

『むっ。不味いですね。気づかれました。』

『理恵、精神干渉をうけ■■■■■』

ナイアとクロが何かいっているが、なぜだか聞き取れない。よくみると、中川さんや堺さん達も、その場に膝をついて崩れはじめている。…おかしい…精神耐性IIIを持っている…から、精神攻撃を…受けても…問題ないは…ず…。

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突如として、チームの数名がバタバタと倒れだした。無事だったのは、佐藤・霧島・金田・藤井・龍崎・白鳥・赤池の7名だけだ。中川・鈴木・西園寺・堺・黒川の5名は、その場に崩れ落ちている。ちなみに、ナイアとクロは当然問題ない。

「起きなさい!理恵ちゃん!」

「ちっ、またこのパターンかよ!だが、これは精神攻撃じゃないぞ!?」

「精神干渉も精神攻撃のハズだが、MDEFのレジストが効いてないぞ!?どうなってる!?」

『これは、催眠も併用していますね。そういえば、あの女の最も得意なテリトリーは、精神世界でしたね。失念してました。』

「これだ、俺達もこのパターンでやられたんだ。」

「そうです、突然仲間が気を失って、前衛が崩れたところを襲われました!」

『なるほど、そこの三名が生き残ったのは、催眠が効かなかったからですね。』

「言ってる場合か!来るぞ!」

いち早く動いたのは、やはり金田である。この中で一番敵からの攻撃に敏感なのが、金田だ。精神攻撃と認識できれば、誰よりも一番早く動ける。だが、そんな金田よりも、敵のほうがはるかに早かった。

『残念、もう来ているわ。』

入口の方から、人間の女が入ってくる。だが、こんなところに普通の人間がいる訳が無い。ましてや、その発言を見れば、敵であることは明らかだ。

「スピードブースト!エンチャント・ダイヤ――」

『 知(・) っ(・) て(・) る(・) 。』

女の背中から生えた大きな触手が、詠唱が終わる前に金田を吹き飛ばし、壁に叩きつける。不屈のタフネスを誇るはずの金田が、簡単に吹き飛ぶ。まるで車にでもひかれたように。

「ゴフッ!!」

壁に激突した金田が、そのまま崩れ落ち――ようとするところで、ナイアが回収する。

『治療しますね。私が怪しいのは分かりますが、今しないと危険ですよ。異論は認めません。』

「…わかった。まかせる。」

崩れた金田の代わりに、ナイアに返事をしながら、佐藤が前にでる。龍崎と霧島もそれに続く。ふと、黒川の方をみれば、髪と一体化しているクロが、理恵の体全身を包んで覆い隠している。とりあえずは任せておいてよいだろう。

「佐藤、霧島、話した情報の通りだが、あいつ、相当の人間を取り込んでる。当然探索者の多くをだ。知り合いも取り込まれてるから、おそらく俺達の戦い方は筒抜けだぞ。」

「分かっている。どうすればいい?」

「相手が知らんやり方を、次々に繰り出す。」

「それができれば、苦労はしないな…。」

「藤井君、白鳥と赤池を頼むわ。」

「分かりました。」

そこで霧島は一つ違和感をおぼえて、西園寺の方を見る。

「――なるほどね。理恵ちゃんを任せたわよ西園寺ちゃん。」