軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

嘘ではないけど正しいとは言っていない

『あー、まずいですねー。あの首刈り女。相当の人間の首集めちゃってますねー。』

24階層に到達して、 ゴミカス(ナイア) が一番に言い放ったのは、悪魔の所業であった。本来は人類の敵であるナイアだが、佐藤達と『黒川理恵を死なせない』という目的で一致したため、今だけ一緒に行動している。ナイア曰く、『海の貴婦人ダンジョン』の24階層より下は『 首刈り女(ハイドラ) 』の 首(・) 狩(・) り(・) 場(・) だそうだ。本来、年に数える程しか行われないソレが、昨日から活発に行われていると言う。

さらには、その首刈り女が崇める 神(・) の復活が近いという。ナイアにとって『首刈り女』も『神』の復活もそれ自体はどうでもいいが、問題はその神の復活過程に『黒川理恵』が組み込まれているために、動かざるを得なかった。さらに言えば、その神とやらにあの『イヴとナーグ』まで絡んでると言われれば、佐藤達もナイアとの戦闘は、避けるしかなかった。

「そんで、その首刈り女とやらは、何がしたいんだ?」

『絶対的な目標は神の復活ですが、それに付随していろいろと面倒な事がありまして。あの女個人としては、陸上の人間を沢山食べたいでしょうし。あとは、秘密教団の復興とか、いろいろと考えているはずです。それでも本来は、もう数百年から数千年は我慢していたでしょうね。』

「つまり、本当は今は動くつもりはなかったように聞こえるが?」

『その通りです。そして、その背中を押したのが黒川理恵の存在です。彼女の適正をもって、隠された姫と黒川理恵をもって、神の復活を企んでいます。』

ナイアが語ったのは、『首刈り女』の存在とその目的であった。そして、ダンジョンの24階層から下は、彼らのテリトリーであるとも。普段は大人しく、完璧に潜伏してた彼らが『黒川理恵』をきっかけにして、ついにその触手…食指を動かし始めた。そして更にその鍵となるのがあの、『クーちゃん』だとナイアは言う。

「なぜ、貴方はそれを察知することができたの?」

『黒川理恵の事は、いつも見ていますので。勝手に首刈り女に、いろいろと邪魔されると困るのですよ。』

「…なるほどね。」

「それはそれで、ストーカーっていうんだが?」

『さすがにずっとは見ていませんよ。なんだか、首刈り女が怪しい動きをしていると思ったら、のこのことこのダンジョンにやってきたのは貴方達の方ですし。』

やはり、可能であればナイアは始末していまいたい。してしまいたいが、敵はナイアには及ばずとも、それなりに強いらしい。そんな敵との前にナイアと戦って無駄に消耗するのは避けたいし、なにより向こうか協力してくるというのだ。少なくとも今だけは、仲良く握手をするしか無い。

「あんたと首刈り女の関係は?」

『ほぼ他人ですね。一応その上司は、人で言うところの遠い血縁?ですかね?大元は一緒なんですよ。問題は、例えるなら異母兄弟の更にその孫の子どもとかなんとかにあたるんで、結局はその上司ってのも、ほぼ他人みたいなものです。』

「なんか、大分誤魔化してない?」

『おや鋭いですね?ですが、一応、嘘ではないですよ。少し表現を誤魔化していますが。』

「信用できねー!」

『いえいえ、これは私の正体にも繋がることなので、バカ正直に言えないんですよ。ただ、黒川理恵が死ぬと困るのは本当です。あの首刈り女もおそらく、上司を通して、更にその上司あたりから命令を受けたんでしょうが、じゃ…あの首刈り女とその上司が、素直に指示に従う訳ないんですよね。』

そしてナイア曰く、24階層で行われていたのは『首刈り女』の分身体による、首集め。新種のモンスターと言われているのは、全てその女の分体だそうだ。一体一体が具体的には『深層階のボス部屋のボス』と同じ強さを持つと言う。何も準備せずに出逢えば即死は不可避だ。

『ですが、おかしいですねぇ。分体共がいません。これはまずいかもしれませんね。首刈りを終えて、自分の本体に持ち帰っている可能性が高いです。』

「そうなるとどうなる。」

『単純に、強くなります。首刈り女は趣味で首を刈っているのではなく、その頭を吸収することによって、強くなるのです。』

「まじかよ…。」

『ふむ、数千年かけて、コツコツと集めていたものを、急に昨日になってあわてて集めようとして、今まで隠してあった分体を大量にばらまいたはずなんですが…。一足遅かったかもしれません。…おや?』

「どうした、ナイア。」

『いや、なんでもありません。』

『(…上層階にも化け物が来ていますね。凄まじいスピードでこちらに降りて来ている。そう遠くないうちに、ここまで降りてきそうですね。…あぁ、それに気づいたから分体を引っ込めたな?それならば、もうちょっと猶予があるかもしれませんね。…まぁ、これは伝えなくて良いでしょう。不確実ですし。)』

そうして、ナイアと佐藤達が24階層を進んでいると、前方から探索者が現れた、

「…おい!あんたら!第二陣か?」

「あら?貴方は?」

「龍崎、龍崎銀二だ。」

「霧島、その人は、偵察隊の隊長の龍崎さんだ。」

『あー、接触は待った方がいいですよ?首刈り女の分体が化けてる可能性があるので。』

「げぇ!?まじかよ!」