軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

なんか見られているんですけど

「キシャァアアアアアアア!」

龍…いや、『オイラン』が咆哮と共に、水魔法を使う。…いや、これは水魔法じゃない、水魔術だ。いくつもの魔法陣から、水のレーザーが発射されて、私達に向かってくる。なんという魔術だろうか。それも、一本や二本ではない、複数で、しかも太い。直撃すれば、たまったものではないだろう。

「オラァ!」

「アイスウォール。」

「ウインドウォール。」

前線では金田さんは水のレーザーを切り裂き、後方の霧島さんがアイスウォール、藤井さんがウインドウォールを展開して、水のレーザーを防ぐ。…いや、金田さんって水まで切れるのか。すごいな。

佐藤さんは一歩引いた位置で、全体を指揮している。後方を守るのが、堺さんと中川さんだ。堺さんは藤井さんを、中川さんは私をカバーする位置にいる。霧島さんも近くにいるが、適宜魔法を使って、『オイラン』の攻撃から私達をカバーしている。その代わりに前線に出たのが、西園寺さんだ。

「アイアンロック。」

金属の柱が、頭上から『オイラン』へと降り注ぐ。『オイラン』は、その金属の柱を、なんの造作もなく尻尾ではたき落とす。それなりに大きな柱で、質量もあるだろう。現に、地面に激突する金属柱からは、ズドンと大きな音がする。…それを簡単にはたき落とせるのか。

「まぁせやろなぁ。簡単に倒せる訳ないよなぁ。」

「西園寺、アイツの動き止めれるか?」

「ずっと止めろ言われたら難しいけど、数秒なら造作もあらへん。」

「なら任せたぜ!」

「了解~。」

金田さんは、会話をしながら飛んでくるレーザーを切り裂く。…金田さん前より強くなってない?そう思っていると、横から佐藤さんが小声で教えてくれた。

「『次は絶対殺す!』って言って、入院中にもかかわらず鍛錬してたアホがいるらしいからなぁ…。報酬でスキルの宝玉も頼んでたし、装備も新調。少しでも早く退院するために、蜂蜜やら回復薬やらも、無理やり飲んでたらしいし、退院して最初に行ったのが、かつて通ってた剣術師範の道場と…。まったく…。」

あぁ。うん。納得した。

『オイラン』は、次々と水のレーザーを撃ち、近づこうとする金田さんには、尻尾やヒレを叩きつける。だが、金田さんはそれらの攻撃を、器用にパリィしていく。要所要所で、エンチャント・ダイアモンドを使いながら、なんと『オイラン』を翻弄していく。

「軽い!アレに比べたら、軽く小突かれたようなもんだぜッ…!」

「速さも!強さも!足り無ぇんだよ!お前じゃ、鈴木どころか俺にも追いつけねぇよ!!」

次々と攻撃を避けられては、一太刀をいれられて、徐々に、『オイラン』の体に傷が増えていく。

「ショックウェーブ。」

鈴木さんは、ミズウオの群体の方を処理している。未だに塊のままこちらへ襲いかかろうと、ぐねぐねぬるぬるぷるぷると動き回っている。それも、鈴木さんの電気魔法で、少しずつ崩れていく。ビリビリバチバチと、電気が走る音が聞こえると、その端から、香ばしい匂いが漂ってくる。こっちの方は、すぐにでも片付きそうだ。

おそらく全体を統率していた、『オイラン』が、どれだけレーザーを撃っても当たらない、金田さんと西園寺さんに集中し始めた。そのためミズウオへの支配が、切れたのだろう。そうなればもはや、ただの魚の塊に過ぎないということか。

逆に言えば、そちらへの支配をやめたということは、敵がこちらに集中し始めたということを意味する。現に、『オイラン』からは先ほどとは比較にならない、魔力の高まりを感じる。

「キシャアアアア!!!!」

再び咆哮と共に、先程よりも太く、速い水のレーザーが多数発射される。狙いは、当然金田さんだ。

「遅ぇ!!チャージに時間がかかりすぎだ!!見るまでもねぇ!!クイックブースト!」

だが、当たらない。当たりそうなものは、金田さんが切り裂く。

「今や!グラビティ!」

『オイラン』の隙を突いて、先程も聞いた、まだ知らない西園寺さんの魔法が発動する。…名前からして、おそらく重力系統か?だがそんな系統の魔法ってあったかな…スキルDBで何か分からないかな?西園寺さんの魔法が発動したようで、明らかに、『オイラン』の行動が阻害されている。重力系の魔法だとすると、『オイラン』に大きな重力をかけて、その場から動けなくしたという感じかな?たぶんあってそうだ。

「スピードブースト!エンチャント・ダイアモンド!」

高速で動く金田さんは、先程西園寺さんが落とした、金属の柱を足場にして、一気に、『オイラン』の頭上へと駆け上がる。私にも分かる。勝負を決めに行く気だ。

「鈴木ィ!!合わせろォ!!」

「了解っす!」

ミズウオの群体の処理を終えた、鈴木さんが、金田さんに合わせる。

「ライトニングフォール!」

「電 光 剣!」

鈴木さんの落とした雷が、金田さんの剣に落ち、稲妻がまとわりつく。

「死ねェ!!」

ズドォオオオン!!

まさに、剣の落雷が『オイラン』の体を焼きながら、縦一文字に切り裂く。バチバチと、スパークが走り、『オイラン』の体が焦げていく。瞬く間の出来事に、絶命の悲鳴一つ上げること無く、『オイラン』の体が左右に分かれて行く。勝負アリだ。…だが、私の目には、はっきりと見えているよ。

「「アイスニードル。」」

どうやら、霧島さんも同じことを考えていたらしい。左右に分かれた『オイラン』の半身、その大きな瞳に、私と霧島さんのアイスニードルが突き刺さる。

「霧島?一体何を?黒川さんまでどうした?」

「囮なのはこの『オイラン』だったわねぇ。私達の手の内、全部見られてたかも。」

あの気持ち悪い目線をずっと、『オイラン』の瞳から感じていた。ナイアっぽいけど、なんか違う。イヴとナーグとも違っていた。たぶん、またなんか新しいヤツだろうな。…は~、またアレ絡みかもしんないのか。…嫌になるな。『オイラン如き、使い潰しても構わない。』ってやつが待ち構えてるって事だし。