軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第16話 ミーヤの考察

自分が元人間で、元日本人で、元小学生女子だったことは思い出していたが、自分は転生したのだとは、実は気づいていなかった。

だが『愛されポイント』があり、ポイント消費により姿が変わる動物とくれば、ピンとくるゲームがある。小学生に大人気のアレだ。

ミーヤは自分は育成される側のモン……毛玉に転生したのだと、ようやく納得がいった。

だとしたら、たくさんポイントをくれるヒューゴと仲良くして、どんどん進化していきたい。

(へーかの喜ぶものを『生やした』方が、ポイントいっぱいもらえるのかな?)

ヒューゴが喜ぶもの……?

ヒューゴはこのユラユラ揺れる間抜けな頭の花を、とても気に入っていた様子だった。『愛らしい』と言っていたのは聞き間違いではないだろう。

おかげでたくさんポイントが入ってありがたい限りではあるが、鼻血を出すのは人としてちょっとどうなのかとミーヤは思った。

ヒューゴは頭に花が咲いた毛玉が性癖なわけではない。それでは本物の変態だ。間抜け可愛い毛玉の姿を見て、笑ってはいけないと 力(りき) んで 堪(こら) え過ぎたのだ。

そもそも、出会いの時からミーヤは木の根っこに挟まって抜けなくなっていたのだ。

その間抜け可愛さは折り紙付きだ。

(えらい人の考えることは良くわからないなぁ)

毛玉のミーヤも、小学生の美弥も、貴族や王族などという人種と関わり合いになったことなどないのだ。ミーヤはそういうものだと、思うことにした。

わからないことは他にもたくさんある。育成ゲームだとしたら、ストーリーがあるのかどうか。あるとしたら、そのストーリーのなかでの自分の役割は何なのか。

例えば魔王的なものが現れて、ヒューゴと一緒に戦わなければならないとしたら……?

ヒューゴは間違いなく主人公か、それに近い立ち位置の人だ。あんなに格好良くて、最強生物のオーラを放っていて、国で一番えらい人なのだ。モブキャラとは考えにくい。

(闇堕ちして、へーかが魔王になるのかも……!)

どちらのパターンも怖くてたまらない。もしバトル系の育成ゲームだとしても、せめてマスコットキャラの座に落ち着きたい。

けれどペット育成ゲームだとしたら、そんな壮大なストーリーはない筈だ。小学生女子だった美弥の頃、隙間時間にそういうゲームをやったことがある。いつの間にか飽きてしまって開くことのないアプリが、ミーヤのスマホにはいくつもあった。

(へーかもそんな感じで、もうすぐ飽きて森に来なくなるかも知れないし……)

先のことはわからない。きっと今は考えても仕方のないことだ。そう、今考えなければいけないのは、ヒューゴが鼻血を出しながらくれた《愛されポイント》を何に使うべきかということだ。

最初こそ、何の役にも立たない黄色い花など生やしてしまったが、どうやら次に『生やす』ためのポイントは稼いだらしい。

是非ともじっくり考えて、生き抜くために必要なもの、かつヒューゴが気にいるものを生やしたい。

森の怖い 獣(けもの) から、逃げるための速く走れる足が欲しい。便利に使える手が欲しい。

(でも……このまん丸の毛玉にニョッキリと手や足が生えていたら、ちょっと気持ち悪い気がする……)

蟹や蜘蛛を想像してしまい、ミーヤは手足は止めることにした。ヒューゴは蟹や蜘蛛が好きかも知れないけれど、さすがにそれはミーヤの許容範囲外だ。

(よし! 決めた! 生やして欲しいものがあります!)

ミーヤは目を閉じて、心の中でそう叫んだ。