軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

購買部へ行こう!

今日はアリーセやエアと一緒に、飛行道具を買いにいくことにした。

アリーセはすでに予約してあるそうだが、暇だからと付き合ってくれたのだ。

「俺、お金あんま使いたくないからさー、安い板っ切れでいいよ」

「よくありませんわ! 飛行道具は安全性が高いものを購入しませんと!」

「えー」

小舞踏会での縁がきっかけで、アリーセとエアは仲良くなりつつある。

エアはアリーセみたいなタイプは苦手かな、と勝手に思っていたのだが、なんだかいい感じの雰囲気だった。

「それにしても、どうしてお金を使いたくありませんの?」

私が聞けなかったことを、アリーセはズバリと聞いてくる。

エアはいやな顔をすることなく、答えてくれた。

「俺の学費を払っているの、血が繋がらない後見人のおじさんなんだ。学費だけでも大変な金額で、返すのが大変だから、なるべく節約しているんだ」

「まあ! そうでしたのね。でも、後見人に名乗りでているくらいですから、返済はしなくてもいいのではないのですか?」

「そうなんだろうけれど、なんだか悪くてさ」

エアの後見人は未婚で、子どももいないらしい。

ならば余計に支援に甘えていいのではないか、と思いつつも、エアの律儀な性格が許さないのだろう。

「そういう考えもありますのね。わたくしは生まれてこの方、両親の支援に頼りきっていて、与えられた物を疑問も持たずに受け取ることしかしておりませんでした。今回の飛行道具だって、両親が勝手に決めて、予約してしまったようですし」

アリーセの両親は極めて安全な、魔法の絨毯を注文してくれたようだ。

それに対し、アリーセはなんの疑問を持つことなく、受け入れていたらしい。

「お前はそれでいいんだよ。俺とは生まれも育ちも違うから」

「わたくしはそうとは思いません。一人の独立した人間として、自分で考え、無駄な浪費などはせずに、別のことにお金を使うことを考えてもいいと思います」

エアはアリーセから言い返されるとは思っていなかったのだろう。目をまんまるにしていた。

「お友達がたくさんいると、さまざまな考えを聞くことができて、自らを振り返ることができます。そういう環境に身を置けるというのは、とても幸せなことだと思いました」

「あ――いや、そうだな。俺もそう思う」

エアの言葉を聞いたアリーセは、にっこりと美しい微笑みを見せてくれた。

私が間に入らなければならないか、と思っていたが、お節介のようだった。

アリーセやエアはしっかりと自分の考えを持っている。

もしかしたら大人よりも大人なのかもしれない。

「そーいや、購買部にいくの、久しぶりだな」

「私も」

魅力的な魔法グッズやお菓子がたっぷり置いてあるので、うっかりお金を使いそうで恐ろしいのだ。

「わたくしも、必要な品は実家から届くので、購買部にはいっておりません。たまにはこうして足を運ぶのもいいのかもしれないですわね」

そんな会話をしているうちに、購買部に到着した。

ヴァイザー魔法学校の自慢の購買部は、教室二つ分くらいの広さで、豊富な商品が取りそろえてある。

「ミシャ、見ろよ。自動書記ペンがあるぞ!」

「うわー、憧れる!」

ガラスケースに収まっている自動書記ペンは、口にした言葉を自動で記録してくれるペンだ。人から聞いた話にも使うことができるという優れものでもある。

「お値段は金貨三枚――って、誰が買うのかしら?」

「お父様はたくさん持っていますわよ」

「さすがキルステン公爵様だわ……!」

他にも魔法陣のテンプレートが描かれたノートや、暗記する内容を復唱してくれる人形、音読オウム、失敗した魔法を相殺するかんしゃく玉など、あったら便利な商品が取りそろえられている。

「ねえ、ミシャ。あちらにあるカラフルなコーナーはなんですの?」

「魔菓子よ。知らないの?」

「ええ……。食べ物ですのね」

「そうそう」

魔菓子は異世界の駄菓子と言えばいいのか。魔法がかかった不思議なお菓子で、発祥は下町である。魔菓子というのは私が住む地方にはなかった物なのだ。

「魔菓子についてはエアのほうが詳しいわ」

「ふっ、特別に教えてやろうか!」

エアは自慢げな様子で魔菓子の紹介を始める。

「こっちは七色宝石飴。舐めるとランダムでさまざまな声色になる。効果は一分だけだが、面白い」

「興味深いですわ」

他にも、一時的に跳躍力が跳ね上がるカエル・キャンディ、炎を吹きだす激辛チップス、魔法生物を数秒召喚できるカード付きのチョコレートに、水中で呼吸ができるようになる泡玉ジュースなど、なんだそれ、と言いたくなるようなラインナップであった。

アリーセにとっては初めて知るお菓子のようで、瞳をキラキラ輝かせながら見ている。

そんな彼女の買い物かごの中は、魔菓子でいっぱいになった。

「ミシャもなんか買うか?」

「そうねえ」

適当に手に取ってみたら、それは激辛チップスだった。

故郷にいる妹クレアが喜ぶかもしれない。今度送ってみよう。