軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

解毒作用を付与させよう

私が解毒作用を付与できる 祝福(ギフト) を持っていることは、ヴィルとホイップ先生以外には秘密である。

そのため、ホイップ先生が指導した魔法薬を作るというていで、今から紅茶を作るのだ。

騒動について厨房にも伝わっているようで、重苦しいような雰囲気になっていた。

ホイップ先生は料理人達に向かって、他の部屋で待機しておくように言っていた。

厨房でホイップ先生とジェムで協力し、紅茶を淹れる。

ジェムは棚からカップを運んで、調理台に並べてくれた。

魔石ポットでお湯を沸かす間に、茶葉を用意しておく。

それにしても、私の解毒作用が食中毒にも効果があったなんて。

以前、魔法薬以外にも解毒作用があると気づいたのは、私が茶葉から作った物だった。それに解毒作用が付与されるのはまだわかる。

今回は市販の茶葉を使った紅茶だったので、それに解毒作用が付与されているとは夢にも思っていなかったのだ。

ただ、今回に限っては、試食が意味をなさなかったので、よかったとは言えないだろうが……。

沸いたお湯をポットに注ぎ、すぐにカップに注ぐ。

「ホイップ先生、早く生徒に!」

「お待ちになって。解毒作用の効果が付与されているのか、鑑定魔法で確認しないといけないわ~」

「そ、そうですよね」

ホイップ先生が調べてくれたのだが、首を傾げる。

「あら、解毒効果は付与されていないみたいよお」

「え、どうしてですか!?」

まさか、食中毒にならなかったのは運がよかっただけ?

私達実行委員だけでなく、レナ殿下やノア、アリーセやエアも?

そんな偶然があるのだろうか。

「うーん、もしかしたら、紅茶は蒸らして完成なのかもしれないわ」

茶葉が開いていない状態の紅茶は、完全だと見なされないということなのか。

「この辺は魔法薬の完成判別と一緒で、意外とシビアなのねえ」

「え、ええ」

次の紅茶を準備しつつ、茶葉が開くのを待つ。

三分後――再度鑑定魔法で調べたところ、解毒作用が付与されていた。

「やった!」

「ひとまずこれを保健室に届けてくるわねえ」

「お願いします!」

ホッとしている場合ではない。倒れた生徒が何人かわからないが、もっともっと作らないといけない。

ここでアルビーナやリア、ユルゲンやフェーベがやってくる。

「ミシャ、何か手伝えることはありませんか!?」

「みんな!」

もう秘密とかなりふりなんてかまっていられない。

みんなに協力を頼む。

「ユルゲンはリネン室からタオルをできるだけ多く持ってきて。浮遊魔法を使ったら、たくさん持ってこられるでしょう?」

「ああ。わかった」

紅茶を蒸らさないといけないのだが、ティーコジーは十個ほどしか置かれていないので、タオルでポットを包もうという作戦である。

「アルビーナはポットを、リアはカップをだして。フェーベは水を用意してくれる?」

皆、快く引き受けてくれた。

ジェムは使ったポットを流しで洗い始めた。たくさんの触手を操り、同時進行で洗浄してくれた。

次から次へと紅茶を作る。蒸らす時間が必要なのがもどかしい。

もっと早く作れたらいいのだが。

たとえば、フレッシュジュースみたいに、搾るだけとか。

それに気づいた瞬間、「あ!!」と声をあげる。

「ミシャさん、どうかしたのですか?」

「なんでもないわ。作業を続けて」

すぐ近くに果物が入ったかごが置かれていた。その中でオレンジみたいな果実を手に取り、半分にナイフで切り、カップの上で搾ってみた。

すかさず、鑑定魔法を使って調べてみる。

解毒作用が付与されていた。

フレッシュジュースは搾るだけで完成したと見なされるようだ。これならば、紅茶よりも早く作れる。

ここでホイップ先生が戻ってきた。

「ミシャ、効果があったわ~」

「ああ、よかったです」

完成した紅茶はアルビーナ、リア、フェーベに運んでもらう。

リネン室から戻ってきたユルゲンにも、同様にお願いした。

ホイップ先生と二人っきりになった状態で、フレッシュジュースについて報告した。

「フレッシュジュースのほうが、飲みやすいかもしれないわねえ」

あつあつの紅茶はごくごく飲めない。保健室でも飲ませるのに苦労したらしい。

「果物の搾り器がどこかにあるはずだから、料理人に聞いてくるわあ」

「お願いします」

その間、私は調理用の手袋を装着し、手搾りでフレッシュジュースを作っていった。

すぐにホイップ先生が戻ってきて、搾り器をだしてくれる。

バケツみたいな形で、果物をそのまま投入し、ハンドルを回すだけで搾れるものらしい。

これで搾りやすくなった。

完成したフレッシュジュースは、一学年の実行委員のみんなが運んでくれる。

次々と回復しているという報告を聞き、本当によかったと思う。

ただ、果物はそこまで多くなく、もうなくなりそうだ。

「まだ、具合を悪くしている生徒は三十人くらいいるのよお」

お店から取り寄せるにしても、時間がかかるだろう。

「ひとまず寮にある食堂やレストランの果物をかき集めて――」

その間は紅茶を淹れるしかない。

「校内に果樹でもあればよかっ――」

ホイップ先生が言いかけて、何か気づいたのと同時に、私もハッとなった。

「あの、あの、ホイップ先生、果物、あります!」

「そうだったわあ」

糖度実験していたスノー・ベリーがあるではないか!