軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キャロラインの告白⑧

ソーレから逃れるためにラウライフにやってきたキャロラインについて、王都にいる大貴族の奥方から屋敷を追いだされたという噂があった。

それはキャロライン自身が広げたものだったという。

本当の事情を隠すために、敢えて触れ回ったのだとか。

話したのは二、三人程度だったようだが、娯楽がないラウライフではあっという間に知れ渡ってしまったようだ。

十何年と国内を逃げ回っていただけあって、キャロラインはなかなかの策士だった。

こうして話してくれたのも、私達がルームーン国の者だからだろう。

キャロラインは俯き、拳をぎゅっと握っている。

これだけのとんでもない事情を独りで抱えていたのだ。

さぞかし辛かっただろう。

「ソレーユ国に帰りたい、とおっしゃっていましたが、その、おじ様から命を狙われているとのことで、大丈夫なのでしょうか?」

「命の危機にあるのは、どちらの国でも変わらないことなの」

現状、キャロラインの身柄はツィルド伯爵の手の中にあり、自由に動き回れない状態にあるという。

「どうやら国がツィルド伯爵の悪事に目を付けているようで、捕まるのも時間の問題のようなの」

キャロラインは独自の調査で、ツィルド伯爵率いる陣営の国内での立場が揺らいでいることに気付いたようだ。

「ツィルド伯爵自身は証拠が絶対に出てこないと自信があるようだけれど、国側の調査にこれまでにないしつこさを感じているわ。きっと、一年以内……いいえ、もっと早いかもしれない」

ツィルド伯爵の庇護がなくなれば、キャロラインの立場も危うくなる。

そうなる前に、ルームーン国へ帰りたかったようだ。

「ここにルームーン国の人がくるのをずっとずっと待っていたの!」

そう、キャロラインは差し迫った状況にいた。

これまで慎重に調査し逃亡していた彼女が、私達が本物のルームーン国の貴族か調査するのも忘れるくらいに。

「どうか、お願い、私と、私の息子も一緒に連れ帰ってほしいの……!」

どうやら今回はルドルフも一緒に逃げるようだ。

「息子さんはその、足手まといになるのでは?」

「ええ、そうよ。足手まといだわ。でも、あの子もいろいろやらかしていたみたいで、国に追われているみたいなの。これまでみたいに、置いていけないわ」

なんでもルドルフもこの客船に乗っているという。

まさか、探していたキャロラインとルドルフがこの船に乗っていたなんて。

国中を探しても見つからないわけである。

さて、どうしようか。

ヴィルの顔を見たら、考えるような仕草を取っていた。

あっさり了承するのも不審に思われるかもしれないので、このような態度を取っているのだろう。

なんというか、演技の勉強になる。

そんなヴィルの反応を見たキャロラインは、床に膝をついて頭を下げた。