作品タイトル不明
キャロラインの告白⑤
相変わらずソーレは嫌みったらしいことや、自らの野望を実行しようと画策するばかりで、キャロラインの心配なんて欠片もしなかったという。
その一方でアルテミス妃は出産したばかりのキャロルを心配してくれた。
本当に、アルテミス妃とソーレは正反対の姉妹だ、と思ったという。
ソーレはともかくとして、心優しいアルテミス妃に対し、計画を実行することに罪悪感を抱き始める。
どうせ成功させても、キャロラインが長年思い描いていたような未来は訪れない。
ルドルフという息子がいる以上、幸せな結婚なんて望めなくなっていたから。
こうなったら、アルテミス妃の侍女としてソレーユ国で暮らそうか。
ソーレについては、暗殺者を雇って始末させたらいい。
サーベルト大公もきっと、その計画に協力してくれるだろう。
ソーレの行動は目に余っていた。
とても、傀儡王妃として利用できる存在ではない。
そう説得すれば、刺客を送り込んでくれるはず。
キャロラインは密かに考えていたものの、彼女の尊厳に傷を付けるような出来事があったという。
ある日の朝――キャロラインはルドルフの夜泣きで寝不足だった。
そんなキャロラインを見かねて、アルテミス妃が言ったのだ。
しばらく育児休暇としてルームーン国に帰ったらどうか、と。
アルテミス妃は知らない。
ルームーン国の社交界で未婚の母となった貴族女性が、どれだけ白い目で見られるのかを。
結局、アルテミス妃もある意味においては世間知らずのお嬢様だったのだ。
キャロラインのことも、親身になる振りをしながら、どこか他人ごとのように思っていたのだろう。
後日、ソーレもキャロラインに同じことを言った。
子どもが大事ならば、この計画から手を引いて国へ帰るようにと。
結局、ソーレも、アルテミス妃も同じ。
言葉が違うだけで、キャロラインの境遇なんてまったく気にしていない。
そんな相手を気遣う必要なんてないのだ。
そう、キャロラインは気付いてしまったという。
それからしばらく経って、アルテミス妃に妊娠の兆しが現れた。
ついに、長年胸に秘めていた計画を進めるときが訪れたのだ。
ただ、実行するのは子どもが男だった場合のみ。
女だったら、先送りとなる。
もう、これ以上異国の地で辛い思いをしたくなかった。
キャロラインは毎日のように、王子が産まれるようにと祈りを捧げたのである。
そしてついに、アルテミス妃が出産した。
お腹の大きさからある程度予想していたのだが、生まれたのは男女の双子。
のちのレナ殿下とエアである。
キャロラインは作戦を実行するために、赤子が眠るアルテミス妃の寝所へ忍び込んだのだった。