作品タイトル不明
キャロラインの告白③
王女アルテミスの輿入れの準備は順調に進んでいたという。
忙しい日々を過ごす中で、とんでもない事件が起こったようだ。
「従姉の双子の妹に、私達の計画が露見してしまったみたいなの」
王女アルテミスの妹――名はソーレだったか。
以前、ミュラー男爵から話を聞いていたのだ。
そのソーレがキャロラインとサーベルト大公の会話を盗み聞きしていたようだ。
「もしもこの計画が漏れて、隣国に伝わってしまったら、戦争の火種になりかねない」
いずれ侵攻するつもりだったようだが、時は今ではない。
結婚すら破談になる可能性がある。
キャロラインは急いでサーベルト大公に報告したという。
「伯父はすぐさま妹を呼んで、口外しないように説得しようとしたわ」
状況によっては計画が台無しになる。口封じとしてソーレを始末するかもしれない。
そんなことを言っていたという。
けれども彼女は用意周到だった。
大勢の護衛を率いてサーベルト大公のもとにやってきたのである。
「あろうことか、彼女の親衛隊を百名ほど引き連れていたのよ」
サーベルト大公の屋敷を包囲するように、徹底的に配置していたという。
これでは口封じなんてできない。
サーベルト大公はたった一人の娘によって、追い詰められてしまう。
どうしたものか、と途方に暮れていたら、ソーレは驚くべき交渉を持ちかけた。
「双子の姉の代わりに、隣国へ嫁ぎたいと言ったわ」
ソーレはとてつもない野心の持ち主だったようだ。
姉思いの優しい人だ、なんて話を聞いていたのに、実際の彼女はとてつもなく 強(したた) かな女性である。
当然ながら、サーベルト大公はソーレの希望は叶えられないと切って捨てる。
「正直、妹のほうは品行方正とはほど遠く、奔放な人だったの」
王妃なんて務まるわけがない。
サーベルト大公はそう判断したようだ。
ソーレは引かなかった。計画を暴露するとサーベルト大公を脅したのである。
「伯父は一度考えさせてくれと言って、妹を一度帰したの」
すぐにでも始末しよう、と決定を下しかけるも、キャロラインが待ったをかける。
いずれ生まれた子を傀儡にするのであれば、王妃はソーレのほうが扱いやすいのではないか、と助言したらしい。
「姉は真面目な 女性(ひと) でしたから、伯父が摂政の座に納まることなど絶対に許さなかったでしょう」
その後、計画がソーレありきのものとなる。
アルテミスが子を産み、そこで双子の姉妹が立場を入れ替わり、ソーレが王妃となり変わる。
ソーレはそれならば、とサーベルト大公とキャロラインの計画に加担する形となったようだ。