軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

明らかになったこと

「ルドルフ・アンガードが逃げた話と、実の息子である話を同時に聞いたからか、頭が痛くなった」

私がレヴィアタン侯爵邸に転移巻物を使って訪問した日、ヴィルはリンデンブルク大公にキャロライン・ド・サーベルトとの関係を問いただしたという。

もしもそうであればルドルフが息子であるということも話したようだ。

「父は驚き、そんなはずはないと否定していたようだが……」

数日経ち、ルドルフが逃げたのをきっかけに認めたという。

「ルドルフ・アンガードの逃走報告と共に、父の不貞話など聞きたくなかったのだが……」

なんでもルドルフはヴィルが王宮に呼びだされている間に逃げだしたようだ。

「もしも私が家にいたら、逃走など許さなかったというのに」

結界というものは完璧な魔法ではなく、外側からの脅威からは守ってくれるものの、内側から逃げようとした者の制限などはしないという。

在宅中、ヴィルはルドルフの魔力を把握し、何か行動を起こせば気付くように探知魔法を展開していたようだが、遠く離れてしまうと効力がなくなってしまうようだ。

「私が不在中を狙ったのか、はたまた手引きをする者がいたのか、わからないのだが……」

扉の前には警備を配置している上に、廊下は使用人達の行き来も多い。それなのにルドルフは目撃者もなく、逃げてしまった。ヴィルは責任を感じているようで、落ち込んでいるようだった。

「いえ、そもそも保護という扱いがよくなかったと思うのですが」

黒いダイヤモンドが魔王の復活に繋がっているのかわからない中、釈放すべきではなかったのだ。

「騎士隊にも責任があると思います」

ヴィルはそう思わないようで、苦々しい表情を浮かべたままだった。

騎士隊については以前からどうなのか、と疑問に思っていた。

レナ殿下の誘拐に関してもそうだ。なぜ、王太子ともあろうお方が、あのようなごろつき達に誘拐されるような事態になったのか。

騎士隊内で何かあるのではないか、と勘ぐってしまう。

「逃げてしまったのは仕方がないです! 一緒に探しに行きましょう!」

もしも見つけたら、今度はレヴィアタン侯爵に保護をお願いすればいい。

なんとなく、ルドルフを野放しにするのは危険なのではないか、と思ってしまった。

「現在はリンデンブルク大公家の警備隊と隠密機動局が捜索している。それで見つからないようであれば、協力してほしい」

「わかりました!」

警備隊はルドルフを逃がしてしまったことに関して責任を感じているらしく、捜索は任せてほしい、と言ったようだ。

隠密機動局の人探しが得意な隊員達も動き始めたというので、ヴィルはひとまず専門家に任せているという。

「あの者は、どうしてこう、次から次へと問題を起こすのか……」

「本当に」

話を聞いただけでも頭が痛くなってしまった。

「それはそうと、ルドルフはリンデンブルク大公の隠し子だったのですね」

「ああ……。そもそも父は子どもについて把握していなかったらしい」

キャロライン・ド・サーベルトと関係を持ったきっかけは、王妃殿下主催の夜会だったらしい。

珍しくお酒に酔ったリンデンブルク大公が、人込みを避けて休憩室に行こうとしたところ、うっかり彼女が待機する部屋に入ってしまったそう。

「父の顔色があまりにも悪かったため、キャロライン・ド・サーベルトは引き留め、看病してくれたという」

リンデンブルク大公は酔っ払った勢いで悩みを吐露した。

それは、リンデンブルク大公夫人の不貞疑惑についてだった。

「なんでも父と母はたいそう夫婦仲が悪かったようで、なかなか子どもに恵まれなかったらしい」

キャロライン・ド・サーベルトはリンデンブルク大公の不安を拭い去るように優しく接し、いつしか二人は関係を持つようになっていった。

「それから数ヶ月後、母の妊娠が明らかになった。けれども父は、自分の子どもではないかもしれない、と疑っていたようだ」

なんでもリンデンブルク大公夫人には愛人が大勢いたようで、不貞の末に子どもができたのではないか、と思ったという。

「父が母の妊娠を打ち明けると、キャロライン・ド・サーベルトはもう会えないと言って連絡が取れなくなったらしい。そのときにはすでに、父の子がお腹にいたのだろう」

リンデンブルク大公夫人の妊娠を知って身を引いたのか、それともどこからかの権力が動いて別れさせられたのか、わからないが、キャロライン・ド・サーベルトと関係はそれっきりだったようだ。

「母は出産し、このとおり、私が生まれた」

髪色、瞳の色、顔立ち、何を取ってもリンデンブルク大公そっくりだったという。

安心したのもつかの間のこと。

リンデンブルク大公夫人は産褥熱で命を落としてしまった。

「そのあと父は今の母と再婚し、今に至る」

なんというか、リンデンブルク大公は大変な人生を歩んでいたようだ。