軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

エルノフィーレ殿下の主張

「クラブ、ですか?」

「ええ」

なぜ、そのようなご提案をされたのか。ただ、考えもなしに新規でクラブを作りたいとは言わないだろう。

「ミシャはどこかのクラブに所属しているのですか?」

「えーっと、一応、ホイップ先生が顧問をしている薬草クラブに所属しているのですが」

ただこれは正式な部ではないというか、私が温室の作業をするために入部したクラブで、私は非正規みたいな扱いでいる。

薬草クラブの正規部員はきちんといて、ホイップ先生の研究室の近くにある薬草園で日々活動をしているのだ。

「というわけで、薬草クラブは幽霊部員なんです」

「そうだったのですね。もしや複数のクラブに所属するのは禁じられているのですか?」

「いえ、それに関しては禁じられていなかったかと」

基本的にクラブの兼任は許されている。ただし、成績が明らかに悪くなれば、学校側からどちらかの退部を迫られるのだが。

「エルノフィーレ殿下、なぜ新規でクラブを作ろうと思ったのですか?」

「それは――」

目的もなくクラブ活動をしたい! と言い出すお方ではないだろう。

そう思って尋ねてみた。

「ミシャ、あなたを守るためです」

「私を、ですか?」

「ええ。あなたは今、ジルヴィードに目をつけられているでしょう?」

「……」

彼との約束に関しては口外禁止である。会話もきっと聞かれていないはずだが、エルノフィーレ殿下は何か察しているようだ。

「いったい何があったのですか?」

黙ったままだと何かありましたと白状するようなものだろう。

「えーっと、その~~~~」

なんて返そうかと悩んでいる間に、核心を突かれてしまう。

「どうせ、誰にも言うなと言われているのでしょう?」

「うっ!」

「やはり、そうなのですね。 狡猾(こうかつ) な彼がしそうなことです」

エルノフィーレ殿下にはすべてお見通しだったわけである。

彼女は私の手を優しく包み込むように握り、優しく声をかけてくれた。

「すべて話してください。わたくしはあなたの味方ですので」

「エルノフィーレ殿下……」

本当に言ってもいいのか。打ち明けたことで彼女の重荷や負担になってしまうのではないか、と悩んでしまう。

「ミシャ、わたくしは変わりたいと思っているのです」

エルノフィーレ殿下はいつもジルヴィードや周囲の者達の顔色を 覗(うかが) い、皆が望むような王女であるべきだと考えていたという。

「けれどもそれは都合のいい操り人形でしかないと気付いたのです。これからわたくしはあなたみたいに強くなりたい。自分の意志で行動し、立場や身分を利用してでも、大切な人を守りたいと思うようになりました」

「エルノフィーレ殿下……」

強い眼差しを向けるエルノフィーレ殿下は、以前までの控えめな様子を見せる彼女とは異なっているように思えた。

「ですのでミシャ、どうかわたくしに話してくださいませ」

この問題は私一人で抱え込んでいい問題ではないだろう。

国家間の問題にもなりかねないのだ。

意を決し、私はエルノフィーレ殿下に打ち明ける。

「――というわけでして」

「なんて酷いことを!! ミシャはまったく悪くありません。怪しい行動ばかりするジルヴィードが悪いのです」

そういうふうに言ってくれると、私の気持ちも和らぐ。

「まさかそのような状況になっていたなんて……」

私がふとした瞬間に見せる憂いの表情から、何かあったのではないか、とエルノフィーレ殿下は察してくれたらしい。

「まさか、気付いていただけるとは」

「当たり前です、ミシャはお友達なのですから」

その言葉に胸がじーーんと温かくなる。

「一度、ジルヴィードと話をしましょう!」

「え、でも」

エルノフィーレ殿下が私達のやりとりを知ることによって、話が違うと言うのではないか。もしもそれがきっかけで国家間の問題になったら――考えただけでもゾッとしてしまう。

「わたくしが魔法で無理矢理聞き出したことにすればいいだけのことです」

なんでもエルノフィーレ殿下は自白系の魔法を習得しているらしい。

「それにもしもジルヴィードが国家間の問題にするなどと言いましたら、わたくしは彼と徹底的に戦うつもりです」

「エルノフィーレ殿下……!」

なんて強いお方なんだ、と思ってしまう。

どうしようか迷ったものの、この問題は解決しておいたほうがいい。

そう思って、放課後にジルヴィードと会うことにした。