軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第073話 怒ってない

店を閉めると、リビングに戻り、アンジェラが作ってくれた夕食を3人で食べる。

「アンジェラ、明日だけど、どうする?」

「うーん……まあ、いつもの時間に来ると思う。それでギルドに寄ってから行く感じかな?」

さすがにギルドには寄るか。

「エリックとアンジェラちゃんは明日、デート?」

メアリーが聞いてくる。

「アンジェラはここのところ、まったく冒険者の活動をしてないからな」

「いや、ホント、ひどくて、前回もひと月くらい空いたのに今回はそれ以上に空いた。ヴィオラに久しぶりって言われるレベルね」

それまでは2、3週間に1回くらいは行ってたもんな。

「まあ、忙しかったからねー。コンロと水筒が連続して売れたし。それでエリックもついていくんだ?」

「そうだな。護衛って感じだ」

「ナイトよ、ナイト」

漆黒の騎士って言ったらアンジェラが白い目で見てきそうだな。

「エリックはナイトって感じがしないなぁ……」

メアリーが言わんとしていることはわかる。

「白馬に乗れば辛うじていけるだろ」

「微妙……馬の方が目立ちそう」

やはりフルフェイス・マスクマンか……

「そうかい。お前はどうするんだ? 俺達は西の川の方に行くし、例の見る見るはないぞ」

「あ、私は明日、休みなんだよ」

そうなのか……

「じゃあ、ゆっくり休めよ」

「ううん。店番しておく」

「いや、せっかくの休みだぞ?」

「別に店番くらいするよ。家にいるんだから同じことじゃん」

良い子だ。

「じゃあ、頼むわ。別に朝早く起きなくていいし、早めに閉めてもいいからな。ラシェルを牧場にでも連れていってやってくれ」

「そうするー。あ、晩御飯は私が作るよ。ナイスなハンバーグを見せてあげる」

この前も作ってたな。

たまねぎで泣いてた。

「じゃあ、頼むわ」

「よーし、チーズをインしちゃうぞ!」

そりゃナイスだ。

その後も夕食を食べ、話をして過ごしていくと、アンジェラを家に送り届ける。

そして、家に帰ると、風呂に入った。

「うーん……」

風呂上がりに天井を見上げ、さらには物置の部屋を開けて、考え込む。

「どったの?」

ソファーで寝ころんで本を読んでいるメアリーが顔を上げて聞いてくる。

「いや、修繕のタイミングを考えていた」

「あー、それがあったね」

「金はあるんだよ。ただタイミングがな……」

いつにしよう?

別に明日からでもいいのだが、そうすると2、3週間の滞在先を探さないといけない。

「どうせならそのタイミングで王都に遊びに行こうかなー?」

「あー、そういえば、そんなことを言ってたな」

メアリーは冒険者となり、金を稼ぎ始めた。

もちろん、店を手伝ってくれた時にはお小遣いという名の給料も渡している。

「お前、金を使ってないのか?」

「カトリーナとシャーリーと王都に遊びに行こうっていう話をしてから貯めてるからね。やっぱ冒険者になったからには一度はギルド本部というのも行ってみたいしねー」

ギルドは各町にあり、ウチにあるのはミルオン支部だ。

本部は王都にある。

別に本部だろうと支部だろうとやることは変わらないのだが、王都は人が多いのでギルドの大きさも仕事の多さも段違いだ。

「どうやって行くんだ?」

「歩きはきついし、寄合馬車かな?」

「馬車を借りてラシェルに引っ張ってもらえよ。それなら無料だぞ」

まあ、宿屋で馬を置く金がかかるが、それでも寄合馬車よりかは安い。

「それだ。ウチにはラシェルがいた」

元々は馬車を引いていたからな。

「行く時を教えてくれ。そのタイミングで改修を頼むわ」

「じゃあ、早めがいいか。アンジェラちゃんの部屋を作らないと」

「いや、それで決めなくていいぞ」

「決めるよ。今、完全に通い妻じゃん」

それを周囲から言われているんだろうか?

「とにかく、お前一人のことじゃないだろ。カトリーナとシャーリーと話し合って決めろ」

「はいはい。煮え切らない男だなぁ……私は将来、こんな男を彼氏にしないようにしよう」

そこまで言う?

「いや、結婚の話はだいぶ前からしているし、その予定もあるぞ」

「してんのかーい。あるんかーい」

お前に言いにくいからしてないだけだ。

「そりゃそうだろ。何泊もウチに泊まっているし、家事までしてくれているんだぞ」

というか、合鍵まで持っているし、自由に家を出入りしているんだぞ。

「ギャル卒ってそういう意味だったのか……いつしたの?」

「それは別にいいだろ」

「ふーん……私、家を出た方が良い?」

なんでだよ。

「出なくていい。ラシェルが可哀想だろ」

あんなに懐いているのに。

「そっかー……周りには言ってないの?」

「言ってないし、別に言う必要もないだろ」

「ふーん……しゃべっちゃいそう」

だろうな。

「言うな。それこそタイミングっていうのがあるんだよ」

「我慢する……お、おかあ……さま?」

なんか練習し始めたし。

「そんなのはいらん。今まで通りに呼べ。それにお前の母親は一人だ」

というか、さすがにアンジェラを母と呼ぶのはないだろ。

「そだね……しかし、私は本当にお母様の子なのだろうか? なんか違くない?」

あの人はスタイルが良かったな……

身長も160センチを超えていた。

メアリーは150センチちょっと。

「髪の色とか似てるぞ」

「おっかしいなー? 品かな?」

それはそう。

「これから成長するかもしれないだろ」

「よし! 希望は捨てないようにしよう!」

そうそう。

実にどうでもいいが、頑張れ。

「いつかノクスに行きたいか?」

母親の墓がある。

俺が埋めただけだが。

「ううん。それはいい。お母様は常に見守ってくれるから」

メアリーはネックレスを見る。

母親の遺体から回収したやつだ。

「そうか……」

あの人、俺のことを怒ってるだろうな。

良い子だけど、バカに育ててしまったし。