軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第006話 ストーカー……

ゴブリンを倒し、喜んでいた2人だが、すぐに討伐証明であるゴブリンの耳を狩り、さらには解体し、魔石を取り出し始めた。

「解体も上手くやってる。店長、もういいんじゃない?」

確かに上手にやっていると思う。

ちゃんと研修を受けたんだろうし、アンジェラを始めとする先輩達から色々聞いて準備していたことがよくわかる。

「そんなに冒険者が良いんだろうか? ウチを継げばいいのに」

「最終的にはそうするかもしれないけど、まだ若いしねー。それにやっぱり冒険者は楽しいわよ」

楽しいか。

「お前も楽しいか?」

「まあねー。まあ、私はエリックの店を手伝うのも好きだし、魔法も好きだから冒険者一本じゃないけど」

選択肢があるのは良いことか……

俺達の時代は戦争中だったからそんなものはなかった。

「そうか……」

目線を切り、再び、メアリーとカトリーナを見る。

どうやら魔石の採取を終えたようで2人で魔石を眺めていた。

「気になる?」

「そりゃな」

「ふーん……でも、そろそろ戻らないとマズくない? もう昼になるし、お客さんも来だす頃だよ」

受けている依頼もあるし、戻って仕事をしないとマズいか……

「帰るか」

「そうそう。仕事しようよー」

そうするか。

「アンジェラ、こっち来い」

そう言って、肩を抱く。

「え? 何? エリック、兜被ってるから――あれれ?」

アンジェラの肩から手を離す。

何故ならもう家に帰ってきたからだ。

「ふう……」

ヘルメットと外套を脱ぎ、手で仰ぐ。

「え? ここってリビングじゃね?」

ここは我が家の住居スペースのリビングだ。

キッチンがあり、テーブルやソファーがある。

窓からは裏庭が見えており、ウチのペットである白馬のラシェルが美味しそうに水を飲んでいた。

「この格好で家に入るわけにはいかないだろ」

バレるじゃないか。

「いや、さっきまで森にいなかったっけ?」

「転移魔法だ」

お前も使えるだろ。

「転移って数メートルくらいしか飛べないよね?」

俺は10メートル以上も飛べるぞ。

もっとも、あの森からここまでは数キロは離れているが。

「転移はポイントを設定すれば数十キロ離れていても帰ってこられる。そういう魔法陣をこの家には設定してあるんだ」

「何それ?」

「もう全部説明したが?」

他にないぞ。

「店長がすごいってだけで良い?」

「それでいい。それよりもすまんが、昼食を作ってくれ。俺はちょっと店の方に行く」

「うん……」

アンジェラが首を傾げながらもキッチンの方に行ったので店の方に行き、玄関の【外出中】の看板を取った。

そして、アンジェラがまとめてくれた依頼を確認しながら工期などを設定していく。

「午後からは無理か……」

さすがに仕事をしないといけない。

「てんちょー、ご飯できたよー。一緒に食べよー」

アンジェラが顔を出し、声をかけてくる。

「ああ。そうだな」

立ち上がると、リビングに行き、アンジェラが作ってくれたパスタを2人で食べる。

「仕事はどう?」

「午後からはやらないとマズいな」

「まあねー。心配かもしれないけど、あの2人なら大丈夫だよ」

そうだと思いたいが……

「色々アドバイスをしたんだったな? 相談を受けていたわけか?」

「うん。エリックには内緒でねって言ってた」

それでも言えよ……

「じゃあ、お前から言ってくれ。もう1人仲間を入れた方が良い」

今日、見ててそう思った。

「あー、まあ、2人はね。普通は3人か4人だよ。私だって冒険に行く時はどこかに入れてもらうし」

アンジェラはこの店を手伝ってくれているから冒険者の仕事はたまにしかやらない。

だから固定のパーティーメンバーがおらず、いつも臨時で入れてもらっていると聞いている。

普通は冒険者もそういうのを嫌がるが、魔法使いは別だ。

強いし、空間魔法があるから荷物も減らせる。

入れてって言ったら皆が喜んで仲間に入れてくれるだろう。

「人数のこともあるが、役割だな。アタッカーがいない」

「アタッカー? メアリーの剣もカトリーナの槍も見事だったよ?」

新米にしてはな。

「どっちも専門のアタッカーじゃない。メアリーは器用で剣も魔法も使えるし、身軽だ。カトリーナも槍が使えるんだろうが、タイプ的には後衛だろう。一言で言えばチビ2人に前衛は無理」

前衛は時として後衛を守らないといけない。

でも、メアリーは受けるより避けるタイプだし、そうすると守る人間がいないのでカトリーナが死ぬ。

「なるほどねー。じゃあ、私でも無理だ」

アンジェラはカトリーナよりも後衛だからな。

「誰か入れるべきだな」

「いるかな?」

「最悪はアーヴィンにでも頼め」

遠征は難しいだろうが、あいつなら安心して頼める。

「いや、アーヴィンさんは仕事があるでしょ。うーん、まあ、ギルドに相談するように言っておくよ」

そういう時のためのギルドか。

「俺が行ければ一番なんだがな」

まあ、俺もアタッカーじゃないが、この辺りの魔物に後れを取ることなんてない。

「パパ付きの冒険なんて嫌でしょ」

「フルフェイス・マスクマンは?」

パパじゃない。

「もっと嫌っしょ。というか、店長は店があるでしょうが。ここを潰す気? この町にはここしか魔道具店がないんだから町の人も困るよ」

それもそうか。

やはりフルフェイス・マスクマンは見守り系ヒーロー路線だな。