軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第057話 ギルドへ

翌日、早めに起きた俺はラシェルの世話をし、朝食を作る。

いつもはアンジェラが作ってくれるのだが、昨夜遅くまでメアリーとカードゲームをしていたのでまだ寝ているのだ。

朝食ができたタイミングで2人を起こし、一緒に食べた。

そして、俺とアンジェラは店の開店準備をする。

すると、冒険者服に着替え、準備を終えたメアリーが出てきた。

「よーし、今日も元気にメアリーちゃんが出撃だ! いえい!」

いえい。

「ベティさんに迷惑をかけないようにしろよ」

「もちのろんだぜぇ!」

心配だ。

この子はどうしてこんなに心配になる言動なんだろう?

ギャルのアンジェラに影響を受けた感じはするが、それでもアホっぽい。

「アドバイスをしてやるが、役割分担を決めて動け。カトリーナは常にベティさんのそばにいるようにし、何かあったらシャーリーが動く。お前は見張りだ。常に全体を見ておけ」

「なるほどー。それでいく」

「気を付けてな」

「いってきまーす」

メアリーは今日も元気に出ていった。

「大丈夫かねー?」

「ベティさんなら大丈夫でしょ。あの人の方が森には慣れてるし、ヴィオラもそれがあるからあの3人の護衛を許可したのよ」

やはりヴィオラもちゃんと考えているわけか。

あいつは本当に大人になったな。

「なるほどな」

「護衛は本当に厄介なのよ。面倒な客っていうのはどうしてもいるからね」

なんかこの話題になると、ちょっとアンジェラの機嫌が悪くなるな。

「アンジェラは護衛の仕事を受けたことがあるのか?」

「1回だけね」

「何かあったのか?」

あったんだろうけど。

「近くの村から来た商人を送り届けるっていう護衛の仕事をやったんだけど、道中でめっちゃ口説かれた。断ってんのにしつこいったらありゃしない。こっちはさー、依頼主に雇われている立場だし、臨時でパーティーに入れてもらっている立場だから強く言えないのよ。それを良いことにうざかったわー。しかも、恐ろしいことにその商人は50オーバーで当時の私は15歳のルーキー。ねーわ」

アンちゃん、ご立腹。

「アンが美人だからだろ」

フォローができる男。

それが娘を持つ親。

「美人なのは生まれてからずっとそうよ」

ちょー良い女も苦労してるんだな。

アンジェラは肉体的にも精神的にも成長が早かったし、12、3歳の頃からすでに大人な感じだった。

商人も15歳には見えなかったんだろうな。

「ギルドに苦情を入れなかったのか?」

「入れても無駄でしょ。向こうに悪意はないからね」

アンジェラの言う立場を考えなかったらただのナンパだからな……

向こうはそんな事情を考えないし、確かに難しいかもしれない。

「冒険者仲間に口説かれたりしないのか?」

「今の連中はほぼ同世代だからね。昔、秒で断ったのが何人かいるし、魔道具屋のアンジェラちゃんで通ってるから今更、口説いてこないわね。セクハラはたまに受けるけど」

なんかサムのことが頭に浮かんだ。

あとセクハラというワードからアーヴィン。

ウチの町の軍部は大丈夫か?

「メアリー達は大丈夫かね?」

「3人で固まっているから大丈夫じゃない? あと、ジェイクが見ているから大丈夫でしょ」

あいつは良くも悪くもガキ大将だからな。

面倒見が良い。

「アンジェラ、最近、冒険者の仕事をしてないだろ?」

「ひと月以上はしてないわね。というか、前にエリックと森に行って以来よ。もちろん、緊急依頼を抜いてね」

ずっとウチの店で負担をかけてたしな。

「森に行かないか? コンロは残り2個だし、帰ってからでも終わるだろ」

「そうね。良いんじゃない?」

あれ?

「良いのか?」

「昨日、メアリーが護衛の仕事をするって言った時にエリックが簡単に頷いてたからね。あー、見に行くんだって思った」

そうかい……

「ちょっと気分転換に散歩でもしてみるか」

「ハァ……ピクニックが良かったわ」

アンジェラがため息をついている理由もわかっている。

「そっちは今度、西の川にでも行こうぜ」

「はいはい。じゃあ、行きましょうか」

アンジェラが頷いたのでリビングの方に行く。

そして、腕輪のスイッチを押した。

「漆黒の使者、フルフェイス・マスクマン」

姿見の鏡にはかっこいい黒ずくめの男とそれを呆れた目で見るちょー良い女が映っている。

「親子ねー……」

親子なんだよ。

「さて、アンジェラ君、行こうか」

「一応、確認なんだけど、なんでそれ? 普通にエリックとして森に行くんじゃダメなの?」

「ギルドに顔を出した方が良いと思ったんだ。あれ以降、顔を出してないからな。報酬のこともあるし」

忙しかったし。

「報酬はギルド職員に渡すんじゃないの?」

「それはエリック君が勝手に言ったことだ。ギルドは真面目だし、今でも持っていると思う」

「ふーん……まあ、何でもいいわ。さっさと行きましょう」

ちょっと冷たいアンジェラと共に家を出た。

そして、裏道から表に出ると、ギルドに向かう。

「もうそこまで注目は浴びてないな」

すれ違う人々はもちろん、こちらをチラッと見てくるが、以前のようにひそひそとはしていない。

「軍のおかげじゃない? まあ、目立っていることに変わりないけど」

目立つのは仕方がない。

俺達は歩いていくと、ギルドまでやってきた。

「来るか?」

「いいえ。私は東門で待ってるから」

アンジェラはそう言って、門の方に歩いていく。

やはり嫌らしい。

まあ、仕方がないなと思いながらギルドに入った。