軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第023話 プリンセス・メアリー

転移を使い、この場から離れると、遠見の魔法でメアリー達の様子を見る。

メアリー達は生き残っている盗賊を縛り、馬車に乗せると、馬を入れ替え、出発した。

その様子をしばらく眺めていたが、周囲にも魔物や盗賊の気配もなく、問題なさそうだったので森の中を高速移動し、急いで先回りをする。

森の中は歩きにくいが、こういうのは慣れているうえに向こうはゆっくりなため、早々に向こうから見えない街道に出た。

そして、そこからは走っていき、ちょっと息が上がりながらも森を抜けるとさらに走っていく。

「ハァ……ハァ……」

息がヘルメットの中で籠る。

謎のヒーローも楽じゃない。

ある程度、走ると、後ろを見る。

辺りは日が落ち始め、夕日も沈んでいっている。

「もういいか……」

ある程度、町に近づいたので転移を使う。

すると、あっという間に視界が平野から温かい雰囲気のあるリビングに変わった。

さらには良い匂いもする。

「あ、おかえりー」

キッチンからアンジェラが声をかけてくる。

「ああ。ただいま」

返事をしつつ、腕輪のスイッチを押して、元の姿に戻った。

「どうだったー? ってか、ラシェルは?」

「色々あったが、キースもメアリー達も無事だ。どうやら馬の不調で遅れたらしい。だからメアリーにラシェルを託してきた」

「あー、なるほどね。じゃあ、メアリーももうちょっとしたら帰ってくるわけね」

「ギルドに寄ると思うし、説明があるからもうちょっとだな」

盗賊のこともあるし、フルフェイス・マスクマンのこともあるからちょっと時間がかかるだろう。

「じゃあ、待ってる?」

「そうだな」

アンジェラが下ごしらえを終えたところでこちらに来たのでさっきあったことを説明しながらメアリーを待つ。

すると、19時前には窓からラシェルに跨るメアリーが見えた。

「帰ってきたな」

「そうね」

アンジェラが立ち上がり、キッチンに向かうと、ラシェルを繋ぎ終えたメアリーが裏口から入ってくる。

「ただいまー。遅くなってごめーん」

「おかえり。どうしたんだ?」

ちょっと白々しいかな?

「仕事ー。ご飯はー?」

「もうすぐだ」

「先に食べてて良かったのにー」

帰ってくる時間がだいたい想像がついたから待っていただけだ。

しかし、カトリーナは門限を破ったかもな。

明日くらいに神父さんのところに行った方が良いかもしれない。

「そこまで遅くない。着替えて手を洗ってこい」

「ほいほーい」

メアリーが自分の部屋に向かった。

そして、手を洗い、席についた頃には料理ができたので3人で食べる。

「それでなんで遅くなったんだ?」

「キースさんの捜索依頼を受けたんだよー。そしたらなんかかっこいい仮面を被った人が来た。ってか、エリック、依頼をしたでしょー」

なんか勝手に勘違いしてくれてたな。

「ギルドからお前が依頼を受けたって報告があったんだよ。お前らもだが、キースも心配だったし、ちょうどなんかかっこいいのがいたから馬を貸したんだ」

アンジェラ、笑うな。

「ふーん……なんか盗賊が出たよ」

「盗賊? 珍しいな。やったのか?」

「うんにゃ。私の剣技と魔法で華麗に倒そうと思ったんだけど、フルフェイス・マスクマンが全部やった。あ、いや、1人はラシェルが踏みつぶしたね。私の足を見てたエッチな奴」

それでラシェルが攻撃したのか。

「キースは?」

「無事。ただ馬の方がちょっとダメみたい。歳だし、引退だってさ」

あそこの馬は高齢だったからな。

牧場で余生かな?

「そうか。まあ、皆が無事なら良かった。盗賊のことは報告したか?」

「それはもち。軍も動くし、捜索アンド討伐依頼が出るかもだって」

「お前は受けるなよ」

「受けないよ。私達はまだそのレベルじゃないもん。今日だって、普通なら受けないけど、他に誰もいなかったことと、店のことがあったから受けただけ。町に着いたら門限のあるカトリーナが走って帰ったよ」

大丈夫かね?

「ならいい。荷は?」

「無事。明日の朝には持ってくるってさ。キースさんはギルマスと一緒に軍の方に行くから今日は無理だってさー」

まあ、ウチも閉めているから今日じゃなくても良い。

「お前、今後、人が襲ってきてもやれるか?」

ここができない人間は多い。

冒険者も、軍人も……

「んー? そりゃやるっしょ。やらないとやられるんだよ? しかも、今日なんて2、3回ぶち込まれるところだったよ」

「やれるならいい。絶対に躊躇するなよ」

「しない、しない。する要素がないね」

大丈夫そうだな。

「カトリーナとシャーリーにも確認しておけ」

「おけまるー。あ、そうそう。エリックさー、魔法の剣って知ってる?」

ん?

「魔剣か?」

「いや、そういうのじゃない。なんかフルフェイス・マスクマンが持ってたんだけど、魔力を込めたら光の剣が出てくる謎の棒」

あれね。

「昔、作って売ったことがあるな。青いやつ」

「あ、それ、それ。やっぱりエリック作かー。センスがエリックだもん」

かっこいいって意味か。

「あの黒仮面が持ってたのか。世界に1つしかない剣だな」

「他に売らないの?」

「魔法使いしか使えないし、魔法使いは接近戦がダメだからな。それに結構な値がするし、売れないと思ったんだよ」

アンジェラ、笑うな。

「ふーん……かっこいいと思うけどねー。私に作ってよ」

「何? 使うのか?」

「念のために持っておきたい。私の剣は細いショートソードだし、折れたら怖い」

メアリーには魔法があるが、確かに予備の武器を持つことは重要だ。

特にあの剣は持ち運びが楽だしな。

「わかった。作ってやるよ。色は何が良い?」

「うーん、被るのは良くないし、ゴールドで」

ゴールド?

「黄色でいいか?」

「それでいいや。ゴールドって言い張るから」

「わかった。とはいえ、先に持ち運び用コンロを作るからその後な」

「うん。そっちが優先。儲かったらお風呂を直そうよー。この前、閉じ込められかけたよ」

確かにあちこちの建付けがなー。

「そうするか。明日は休みか?」

「そだねー。ギルドに報告の続きもあるし、作戦会議かなー?」

良いことだ。

「アンジェラ、明日には届くし、やるか」

「そうね。明日から頑張りましょう。メアリー、今度からそういう依頼を受ける時は誰もいなくても私を誘いなさい。私はここにいるから」

それが良いかもな。

それならいち早く俺の耳にも入るし。

「あ、そういえば、アンジェラちゃんがいたわ。頭になかった。でも、アンジェラちゃん、大丈夫? 4、5回ぶち込まれるかもよ?」

増えとるな。

「全部燃やせばいいんだから問題ないわよ」

「ふーん、じゃあいっか。何かあったら誘うよ。というか、普通に一緒に行こうよー」

「そのうちね」

「そう言って、来ないんだよな……ラシェルを連れていこうかな?」

お前だけ馬に乗って、他2人は歩きか?

すごいな、それ……