軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第116話 面白い

必要なものを買い、宿屋に戻ると、すぐにランドルさんがやってきたので契約書にサインをし、契約料と買った魔石や部品の金を受け取った。

そして、宿屋の部屋に戻ると、その金をローテーブルに置き、アンジェラとソファーに腰かけながら眺める。

「すごいな」

「ええ。すごいわね」

この前は3000万ミルド、今回は1800万ミルドだ。

ちょっと物を作っただけでこの額である。

はっきり言えば、この10年で儲けた額を上回っている。

「この金は貯蓄かな?」

「良いんじゃない? 店も家も改修を終えるし、このお金は今後のために取っておきましょう」

そうするか。

俺達がぼーっと札束を眺めていると、ノックの音が聞こえ、扉が開いた。

「いえーい。ただいまー」

メアリーだ。

「おかえり」

「早かったわね」

「まあねー……って大金が!」

こちらに近づいてきたメアリーがテーブルの上の札束を見て、いつものオーバーリアクションで驚いた。

「すごいだろ? 1800万ミルドある」

「どうしたの、これ?」

メアリーはいろんな角度から札束を見ていく。

「今日、ランドルさんのところに行ってきたんだが、そこで契約したんだよ」

「ほー……その契約料なわけ?」

「ああ。簡単に言えば、今後新商品を開発したらスピアリング商会に物を見せ、買い取ってもらうことになる。それが年500万ミルドだ」

「すっげ。それだけで生きていけるじゃん」

いけるな。

ウチは持ち家だし、家賃がかからない。

「それと例のコンロとアヒルさんセットがそれぞれ1000万ミルドと300万ミルドで売れた」

「へー……コンロはわかるけど、アヒルさんが売れるんだ……意外」

そこは俺もそう思う。

たまにメアリーが風呂に入った後、アヒルさんが浮かんでいるが、可愛いけど、邪魔だと思っている。

「それとお前のお尻守るくんはちょっと時間が欲しいそうだ。買い取る気はあるらしいぞ」

「おー! さすがはランドルさん! 見る目があるー!」

あるとは思うな。

「金はどうする?」

「家に入れといて。その辺は任せる」

貯蓄だな。

「わかった。今後も思いついたらバンバン作っていいぞ。材料費はスピアリング商会が持つし、正直、何がランドルさんの琴線に触れるかわからん」

俺達がしょうもないとか、売れないだろと思うものでも大手さんが見たら違うみたいだし。

「わかった。冒険者でも発明家としても伝説を作るぞー! 自分の才能が怖いぜ!」

怖いね。

「それで今日は早かったな。どうしたんだ?」

「あ、そうだね。買い物に行ったけど、さすがに疲れちゃった。東の商業街はすごいね」

「ああ。そうだな。いつまでも居られる感じがした」

本当にすごいわ。

「でも、ちょっと疲れちゃったね。カトリーナとシャーリーなんか連日はしゃいでいるから」

お前だ、お前。

カトリーナとシャーリーのツッコミが聞こえてくるぞ。

「それで休憩か。良いことだな。時間はあるし、焦らずに楽しめよ」

「そうするー。それでさー、今日の夕食だけど、中央の広場でお星さまでも眺めながら皆で食べようよ」

あー、屋台な。

「アンジェラ、どうする?」

乗り気じゃないアンジェラちゃん。

「まあ、いいんじゃない? こんな機会ないしね。でも、カトリーナとシャーリーは大丈夫? 疲れているんじゃないの?」

確かに。

「昨日、夜にあの辺を歩いたんだよ。そしたら楽しそうって話になって、2人も誘おうってなったんだよ。だから早めに帰って休んでいるわけ」

最初からその予定だったわけか。

「ふーん、2人が大丈夫ならいいわよ」

「じゃあ、18時前に迎えに来るからねー。あ、エリック、奢ってね」

「はいはい」

メアリーが部屋から出ていったのでさすがに金をしまう。

そして、お茶を飲みながらゆっくり過ごしていくと、時間になり、3人がやってきたので一緒に宿屋を出た。

「カトリーナ、王都はどうだ?」

中央の広場に向かいながらカトリーナに聞く。

「楽しいです。大聖堂はやはり自分の中で何かが変わったような感じがしましたね」

そうか……俺達は外から見ただけだ。

「シャーリーは?」

今度はシャーリーに聞く。

「どこに行っても人が多いのがすごいですよね。ギルドや外で魔物退治もしましたけど、皆さん、強そうです。刺激になりますね」

お前も十分に強いぞ。

「2人共、楽しんでいるようで何より」

話をしながら歩いていくと、中央の広場にある公園にやってきた。

公園は昼間よりも屋台が増えているし、人も多い。

さらには多くのテーブルが並んでおり、広場全体がビアガーデンになっているかのようだ。

「へー、すごいわね」

アンジェラが広場を見渡す。

「でしょ? さて、まずは席を確保しないと」

「ある?」

「どこもいっぱいっぽい……」

ぱっと見、空いている席はない。

しかし……

「カトリーナ、シャーリー、相席でもいいか?」

「え? まあ」

「相手がいいなら大丈夫ですけど」

じゃあ、問題ないな。

「こっちだ」

歩いていくと、他の4人もついてくる。

「あ」

「ローレンスさんだ」

アンジェラとメアリーも気付いた。

1人でテーブル席を独占し、酒を飲んでるローレンスがいるのだ。

「ん? あれ? エリックじゃないか」

ローレンスもこちらに気付く。

「よう。ローレンス、可愛い子供達のために席を取ってくれたんだな」

「え? あー……空いてないのか。まあ、いいぞ」

さすがはローレンスだ。

「座れ、座れ」

そう促すと、4人がテーブルについた。

「ローレンスさん、ありがとう」

「あんがとー」

「ありがとうございます。んー? あれ? ミルオンの町にいませんでしたか?」

「あ、エリックさんと森にいた人だ」

カトリーナとシャーリーも思い出したようだ。

「ああ。神父様と一緒に採取をしていた子達だな。改めまして、エリックの友人のローレンスだ」

ベティさんと採取をした時に会っている。

ただ、その時は神父さんにしか紹介していない。

「カトリーナです」

「シャーリーです」

2人がぺこりと頭を下げる。

「ああ。よろしくな。俺はすでに始めているし、ここは確保しておくから料理とかを取ってきなよ」

「はーい」

「何にしようかな?」

「串焼きかなー」

3人は楽しそうに屋台の方に向かった。

「エリック、エールでいい?」

アンジェラが聞いてくる。

「ああ。悪いな。料理は任せる」

「了解」

アンジェラもまた、3人のあとを追っていった。

「良い子だねー」

良い子だよ。

ちょー良い女と評判なんだぞ。

「ローレンス、お前、1人で飲んでいたのか?」

「知り合いがいないし、そりゃそうだろ。仕事を終えた帰りに一杯やっているだけだ」

ふーん……

「これから西区に繰り出すのか?」

「繰り出さねーよ。俺はそういうところに行かないんだ」

嘘つけ。

「かっこつけるんじゃねーよ。独身なんだし、別にいいだろ」

「いや、本当に行かないの。数年前に美人局っぽいのに遭ってから行かないようにしている」

マジかよ……

「そんなのがいたの?」

「飲み屋のねーちゃんと良い感じになって、アフターで家に誘われたんだ。それでホイホイついていったらムッキムキの旦那がいた」

っぽいじゃなくて、美人局そのものだな。

「それで?」

「隙を見て、逃げた」

「そのエピソード、アーヴィンにも話していいか?」

ちょっと面白い。

「好きにしろよ。あ、でも、隊長はダメな」

それはさすがに言わない。