軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第105話 1日目

俺とアンジェラは部屋に入ると、立ち尽くす。

そこには温かい灯りが反射する白い壁と柔らかな絨毯が敷かれた部屋が広がっていた。

中央にはL字型の大きなソファーとガラステーブルが置かれ、壁際にはこれまた大きいベッドが2つ並んでいる。

手前には重厚な木製のキャビネットと共に高級そうな木材で作られたテーブルが置かれていた。

「5万ミルドね……」

「確かにそのくらいはしそうだな」

それが1万ミルドだ。

ランドルさん、すごいわ。

俺達はソファーまで行き、腰かけた。

「メアリー達は騒いでいるかしら?」

「メアリーだけ騒いでいると思う」

カトリーナとシャーリーはこちら側だ。

「うーん、まあいいわ。せっかくのご厚意だし、楽しみましょう」

「ああ。そうしよう。アン、風呂に入ってこいよ。入りたいだろ?」

「そうね。そうするわ。お先にもらうわね」

アンジェラは立ち上がると、風呂場の方に向かった。

「ふぅ……」

ソファーの背もたれに背を預け、天井を見上げる。

さすがに俺も疲れたのだ。

「ローレンスにも会わないとな……」

まだいるかはわからないが……

「エリック、エリック! お風呂がちょー広いよ!」

アンジェラが興奮した様子で顔を出す。

その際に綺麗な肩と足が見えた。

「良かったな。俺も後で入るよ。ゆっくり入れ」

「はーい」

ご機嫌なアンジェラが扉を閉めた。

「楽しそうで何より」

その後、アンジェラが風呂から上がると、俺も風呂に入る。

アンジェラが言っていた通り、広い風呂だったし、ゆっくりできたのでかなり疲れが取れた気がした。

もっとも、余計に眠くなってきたが……

風呂から上がると、アンジェラと共にソファーに座り、お茶を飲む。

「淹れてくれたのか?」

「ベルを鳴らして持ってきてもらった」

これも無料か……

「すごいな」

「ええ」

俺達はお茶を飲みながらまったりと過ごしていく。

「今日は私達も部屋でゆっくりしましょうか」

俺の肩に頭を乗せているアンがつぶやく。

「そうだな。俺もベッドが恋しい」

「ホントにね。明日はどうする?」

明日か……3日後にランドルさんと約束しているから明日、明後日は空いているんだよな。

「明日は観光でもするか」

「5人で行く?」

うーん……

「いや、あいつらはあいつらで行くだろ。2人で行こう」

「うん」

アンが手を繋いできた。

正解だったようだ。

「もう10年経っているが、案内くらいはできると思う。見たいところはあるか?」

「見たいところばっかりね。わかんないから適当に案内してよ」

観光名所……城、大聖堂……まあ、外から眺めるくらいか。

「そうだな。ぐるっと回ってみよう。それとジャラジャラしてない指輪でも買いに行くか」

「うん」

俺達はそのままゆっくりと過ごしていった。

18時になると、部屋を出て、正面の9号室をノックする。

すると、扉が開き、カトリーナが顔を出した。

「あ、エリックさんとアンジェラさん」

「よう。すごい部屋だな」

「本当ですよ」

カトリーナが笑い、中に入れてくれた。

メアリー達の部屋も俺達の部屋と同じように豪華だが、こちらの方がベッドが3つあるし、ちょっと広い。

部屋ではシャーリーがソファーにちょこんと座っており、メアリーがベッドの上で横になっていた。

「ん? あ、エリックとアンジェラちゃん。ご飯はもう頼んだからもうすぐ来るよ」

メアリーがそう言ってベッドから下りる。

「早いな」

「さっきまで下で受付のお姉さんと話をしていたんだよ。王都のことを色々聞いてた」

こいつ、本当にすごいな。

「お前、全然臆さないよな」

「なんで臆すのさ。宿屋じゃん」

すげーわ。

「メアリーちゃん、すぐにベルを鳴らして普通にお茶やお風呂用のアロマを頼んでましたよ」

「私はおかわりを頼む勇気はなかった……」

やはりカトリーナとシャーリーはこちら側だ。

「それが仕事じゃん。別に品なく頼みまくったわけじゃないし、必要なことを頼むだけだよ。向こうも気にしてないって」

メアリーってたまに上級出身の顔を出すんだよな……

ちょっと尊敬の目でメアリーを見ていると、ノックの音が聞こえてきた。

「はーい?」

上級メアリーが聞く。

『お食事をお持ちしました』

男性の声が聞こえてきた。

「どうぞー」

メアリーが許可を出すと、燕尾服のような制服を着た若い男性が料理を乗せたワゴンを押して、部屋に入ってきた。

そして、テーブルまで運ぶと、料理を並べていく。

「……明らかに高そうね」

アンジェラが囁いてきた。

「……そりゃそうだろ」

このホテルの質で料理がしょぼいわけがない。

「ねえねえ、ラシェルに餌あげたー?」

メアリーが料理を並べている男性の店員に聞く。

「もちろんですよ。美しい馬ですね。それによく食べますし、ストレスはないようです」

「そっかー。朝とかに会いに行ける?」

「ええ。裏口から出れば厩舎です。1階の者に言えばいつでも会えますよ」

「じゃあ、そうするー」

メアリーが頷くと、店員が料理を並べ終える。

「食べ終えられた後はワゴンを外に出していただければこちらで回収いたします。また、追加がございましたらお気軽にお呼びください。それでは失礼します」

店員はそう言って、一礼すると、部屋から出ていった。

それを確認すると、テーブルの方に向かう。

「おー……」

メニューはパン、ステーキ、サラダ、スープであり、フルーツまである。

「食べよー」

メアリーの言葉で席につく。

やはり俺とアンジェラが並び、対面にメアリー、カトリーナ、シャーリーが座った。

そして、料理を食べていく。

「うん、美味いな」

「ええ」

サラダは新鮮だし、肉も程よい脂身で柔らかく、ソースと合わさって、非常に美味しい。

「これが頑張った報酬かー」

「すごい報酬だね」

「ホントにね……」

もし、ランドルさんの紹介割引がなかったら2部屋で10万ミルドか……14日で140万ミルドだ。

信じられない。

まあ、その場合は泊まらないけど。

「帰るまでの2、3週間、楽しんでくれ。お前らは明日、どうするんだ?」

「観光ー」

「大聖堂もね」

「それとギルドな」

やはり3人も王都を回るようだ。

「明日は俺達も王都を回るが、夕食はどうするんだ?」

「ちょっと近くで探してみるつもりー。高級レストランにも行くけど、普通の大衆店も行ってみたい」

気持ちはわかる。

「そうか。遅くなるなよ」

「ならないっての。私ら女子だよ? 娼館とか夜のおねーさんの店に行くのは男子でしょ」

俺は行かないぞ。

「そうかい。わからない場合は通りに面した店を選べよ。まず優良店だから」

そんなところでぼったくりをすると、すぐに取り締まられてしまう。

「わかったー。魚介の店を探そうよ」

「うん。良いね」

「昼のパスタ、美味しかったもんな」

確かにそういうのも良いな。

「俺達もそうするか」

アンジェラに提案する。

「うん。良いと思う」

俺達は明日の予定を決めると、食事を続けていく。

そして、食べ終えると、アンジェラと共に部屋に戻り、再び、2人でゆっくりと過ごしていった。