軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

05

「君たちのことは従兄妹のランディとエステルからもよく聞いているから」

だから自分の方は勝手に知っていてごめんなさいねと、なんとも気を使われて。

ハーコート公爵家は、この国にある三大公爵家のうちの一つ。

そしてランディとエステルとは。

彼らこそが筆頭公爵家のアスター家の御子様たち。

アスター公爵家跡継ぎのランディと、アルフレッド王太子殿下の最愛の婚約者さまであるエステル。

今では気安くお付き合いさせていただいている二人だったが、本当は身分差で恐れ多いのもあった。

ランディとは先に仲良くなったエステルよりご紹介頂いていた。彼は妹エステルに良い友人ができたことも嬉しいと喜んでくれていた。

何せ王太子殿下の妹愛の服飾方面で協力――暴走を止めてくれるのだから。

何故か出会った日に感謝された。

筆頭公爵家の次期さまにも後援いただいていることは恐れ多いがありがたく。

「エステルとは母方の従兄妹だから良く、ね。母とアスター公爵夫人も義理の姉妹としても仲が良くて。君たちが仲良くしてくれるのも彼女も嬉しいみたいだから本当に良く、話に」

「こ、こちらこそです」

「これからも身分差も気にしないで欲しいって、本当に思っているそうですよ」

「あ、あわわわ……」

「とくにアルフレッド王太子殿下に対して、文句言ってくれるのがありがたいって。服のことだけでも」

「ひぃえええ……」

ルイスの母、ハーコート公爵夫人はアスター公爵の姉なのだ。

「だから目の色……あ」

思わずリーシャがつぶやいたことに、ルイスはにこりと微笑んでうなずいた。

「兄弟の中で僕だけこんなに派手なんだよね」

と。

派手。

ルイスは鮮やかな赤毛に琥珀色の瞳の美青年だ。

確かに派手――煌めいている。

ハーコート三兄弟のうち、母方から三男の彼だけが琥珀色の瞳を受け継いだ。そして鮮やかな赤毛は先代のハーコート夫人、つまり彼らの祖母譲り。次男は同じ赤毛でも落ち着いたブラウンの瞳を父から。ちなみに長男は落ち着いた薄茶色の髪色と瞳を同じく父方かららしい。

ちょっとややこしいが、エステルの琥珀色の瞳に慣れてきた二人にはそんなに派手とも感じない。

それが伝わるのかルイスも二人に好感を持ったようだった。

「確かにちょっと目に痛い。まぶしい」

「酷いなぁ」

セオドアの感想に、悪いがちょっとうなずきかけたりもしたが。

「セオドアには留学を譲ってもらったから」

そもそもが友人だから、そんなやりとりもいつものこと。

ちなみにセオドアは灰色みある銀髪に明るい新緑色の瞳だ。目に優しいのかまぶしいのか。婚約者のスピカはツッコミを頑張って飲み込んだ。

ハーコート家の三男は、家を継ぐ長兄と、その広大な領地を補佐することを選んだ次兄とは違う道を選んだ。

ルイスは幼い頃に読んだ冒険譚に憧れ、世界を見に行きたい、と。それを将来の仕事にしたいと考えていた。

「従姉妹に借りた探検家サリエットの物語なんだけどね」

「あ、私も小さなころ好きでした」

リーシャも愛読書だった。

「私、知らない……」

「読んでみる? 貸すわよ?」

幼少期は平民であったスピカは知らなかったので、親友にありがたくお借りすることに。ちなみに絵本に近い児童書籍的な本だ。

「まぁ、あれは空想の世界だけれど、外国に行ってみたいってきっかけにはなるね……」

当然セオドアも幼い頃に読んだことがあり。友人の気持ちもわかる。

「うちはもう長男が家を継ぐのは決定だから。もうその次の、甥っ子もいるし」

だから跡継ぎ問題もしがらみもなく。

歳の少し離れた兄たちは可愛い弟の進路を応援してくれている。

「だから留学したいって考えていたんだけど、セオドアが辞退してくれたおかげで枠がまわってきたよ」

セオドアも留学希望だった。

それはレティシアから、バーディ家を継ぐことをそれとなく逃げていたからで。

けれども一ヶ月ほど前に事態がかわった。

気が合う婚約者もできた。

そうして少しばかり腹黒い気がするが、仕えても良いかと思う――王太子には、いろいろと外堀を埋められているし。

「気をつけて、ルイス。たぶん君も王太子に気に入られているから」

公爵家の三男でエステルの従兄妹であるルイスは、アルフレッドとも幼いころから顔を合わせている。だから友人の忠告に苦笑してうなずいた。

「うん。でも真面目に頑張るうちはきちんと見てくれる方だから」

それなー。

婚約者のことで時に斜め上になりがちなアルフレッド王太子を侮れないのは、そういうところだ。

未来の王様が彼ならと、安心もある。

「将来の外交官として頑張るよ」

ルイスの言葉に、リーシャは――少し羨ましくなりつつ。

自分も――自分自身も、外交な仕事ができたら。

母のように、妻として夫の功として外交にたずさわる女性を否定するわけではないが。

それでも少し、赤毛の青年を羨ましく。

――その鮮やかさも。