軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

25.ギルド・古本屋・鍛冶屋

「こんにちは」

「やあいらっしゃい」

資料室にいた係は眼鏡をかけた男性だ。

やせ気味で猫背気味の姿勢のいかにも活字中毒らしい外見。資料室の中は本棚とその本棚一杯の本、重ねられた紙の束でいっぱいだった。

「お勧めの見ておくべき資料はあるか?」

「ここにある資料はみんなお勧めだけどね、欲しがられるのはモンスターの分布図や、弱点の資料かな? 僕的には『冒険の心得』」

「じゃあその心得を。あとは分布図があるなら地図もある?」

「この国の地図なら」

「写しても?」

「個人で使う分には。売るのは違法だよ、結構重罪」

「国益に反する?」

「そう」

にやりと笑って1冊の本を渡してくる。

国の地形を他の国に知られるのは国防の点で色々支障があるのは理解できる。冒険者があちこち行っている時点であまり意味はない気がしないでもないが、そのうち立入の規制がかかる地域があるのかも知れない。

「『冒険の心得』は僕が趣味で複写して希望者に配布しているものだから返さなくていいよ」

「趣味で?」

「そう、資料室にきてお勧めを聞く僕が気に入った冒険者に。独断と偏見で」

中身は旅の知識的な内容だった。地味に【生活魔法】を覚えた!

『着火』やら、コップ一杯の飲料水を出す『飲料』とか、攻撃や索敵などに関わらないちょっとした魔法の詰め合わせだ。

火口(ほくち) で火をつけるのが楽しいので『着火』は無くてもいいが、雨の日やきっとあるだろう雪山フィールドなど火のつけにくい場所では重宝するだろう。

この世界で多少なりとも魔力のある人なら使える便利な魔法なため、覚えている人は多いらしい。まあポケットから水も料理も取り出せるので、私が焚き火など手動で色々するのは趣味なだけだが。雰囲気は大事だと思います。

あ、『掃除』もありました、すばらしいと思います! この世界に自分の部屋ないけどな!

一人でテンションあげていたら、アルに微笑ましく見守られていた……

書写のための紙とペンを売ってもらい、トレースを始める。

結構細かい上に等高線まで入ってやがるんですが。省略してもいいのだがここは真面目に写そう。マップに反映されるはずだ。

この国には王都を含めて五つの街と八つの村があることがわかる。それになんだか怪しい洞窟が二つと廃墟っぽい印。やることが増えた気がする。

三時間ほど作業して写し終えた、なかなかいい仕上がりだと思う。資料室での作業は本日は終了、資料係のアルに挨拶をして部屋を出た。

相変わらず隠蔽をかけ続けているので腹が減る。資料室は飲食禁止とのことなので一階の食堂で食事をし、鹿の皮やら熊の皮など依頼にあるもので自分が使わなさそうなものを納品して外に出た。プラムは休憩中なのかカウンターを見ても姿が無かった。

ところで街中で使える魔法は治癒系統とライトとシャドウ、要するに攻撃魔法は使えないようだ。

こちらも気がついたらかけるようにしている。

さて、調合を始める前に古本屋で例の本を買おう。

調味料や野菜などはカエデとモミジの二人についでに買ってきてもらったので補充は済んでいる。杖も新しくしたいが、鹿皮は兎も角、熊皮は高く売れたが、本代で金が無くなる気がする。つい買ってしまったけれど煮込むのレシピ、もう少しレベル上がった後に買えば良かったか。

古本屋は相変わらずそうと認識していないと見落としそうな店だ。ここも入るとイベントフィールドになる様だが私が購入して無くなった本は他の人なら買えるのだろうか? あの本がすでに売れてたら泣く。

「こんばんは」

挨拶するとこちらをチラッと見てまたお前かという様に片眉が上がっただけですぐ読んでいた本に顔を戻してしまう。相変わらず無愛想な店主だ。

おめあての本を早々に確保してあとは少し立ち読みならぬ座り読みさせて貰おう。隅にある丸椅子に腰掛けて薄い本を何冊か。幼児向けの絵本のようですぐ読み終わる。

次に手に取ったのはこの街の成り立ちらしく、冒険者だった男が仲間たちと辿った冒険や街を作るに至った経緯が物語風に仕上がっている。

細かい字を読むには少し暗いのでライトの魔法を使う。椅子にクッションを持ち込みたくなるが、尻が痛くなった位を引き上げの時としよう。でないと私はいつまでも読みふけってしまう。

「この三冊を」

神々について書かれた本と魔法大全、薬草と毒草の本だ。しめて9,580シル、本当は他にも欲しいのだが自重した。料金を差し出すとカウンターの上に積まれた三冊の本の上に、黒い皮の題名も何も書かれていない本が積まれた。

何だろうと思い本を積んだ犯人を見やると

「おまけだ、10日後までに2,200,000シル持って来ればお前のものだ」

「は?」

いきなり無茶言い出したぞおい。そしてなんでそんな端数のある大金なんだ? 自慢じゃないが私の最高所持金初撃破の賞金もらった時でも五万いってないぞ!

「それは唯の本じゃない。あんた、風と光、闇魔術をもっとるだろう? だったら開けるはずだ」

何だろうと思いつつ本を開く。

《スキル【雷魔術】を習得しました》

うわあぃ?

「その魔法大全を読めばわかるがな、魔術には上位魔法がある、属性単独の上位や複合上位がな。そりゃ風、光と闇の複合だ」

「金を払い切る自信が全くないのだが」

だがしかし習得してしまったぞ、おい。

「せいぜい稼ぎな」

それっきり本に顔を戻してこっちを見ようともしない。

古本屋をでて考える。

金額はレベル×10万なのだろうか。

『月詠草』はNPC買取が100,000シル、根から採取したものもあわせ10本全部売ってようやく半分に満たない。NPC買取でこの値段だ、プレイヤーに売ったらきっと高い。ただ現在『月詠草』を扱える生産者プレイヤーはおらず、買取は見込めない。住人へ売却する値段も結構良いお値段ではあったが、将来『月詠草』を扱えるプレイヤーが出てきたときに売る値段とではきっと雲泥の差がでるだろう。取らぬ狸のなんとやらで、アイテムレベルが高いだけで需要のない安い素材だということも考えられるが。

ギリギリまで酒の販売をしてみて足りない分を思い切って全てのアイテムを売り払う方向でいくか……。払えなかったらどうやって返すのだろうか、本だけ返しておしまいにするのは何か違う気がする。

古本屋に寄る前まで、杖の新調を考えていたせいで、工匠区まで来てしまった。今はさすがに大きな買い物は出来ない。東門の薬師ギルドに寄って手持ちで調合の生産を上げよう、そう思ってきびすを返したところで声をかけられた。

「ホムラ!」

道の反対側でガラハドが手を振っている。

その隣には白い髪の目元が涼しげな男と、黒髪のグラマラスな女性が居る。

「やあ、久しぶりだな」

「おう! レベル上がったか~?」

「22になった」

「ああ、こっちイーグルとカミラね」

顔をついっと二人に向け指し示す。

「イーグルだ」

「カミラよ」

「ホムラだ」

お互い短く自己紹介して挨拶する。

「ところでホムラ、お前酒飲める?」

「飲まん、なんだいきなり?」

飲み会のお誘いか?

「飲めないか~~~、いや鍛冶屋の爺に剣を打って欲しいんだが頑固でな。飲み比べで勝ったら考えるっていう言質まではとったんだが強えぇのなんの」

「迷宮都市の下層に行くのにどうしてもその鍛冶屋に剣を打って欲しいのだがな、剣を打つのを止めていたところを通って説得していたんだが……」

イーグルがガラハドの話を補足したのを更にカミラが引き取る。

「もう剣は打たん! の一点張りだったんだけれど、最近打つなら最初に打ちたい男の剣があるとかいいだしてちょっと心境の変化があったみたいなんだけど」

「でも頼み込んでたのは俺たちが前だから。んで、飲み比べで勝ったら打ってやるって」

ガラハドが言ってため息をつく。

「この男でも酔いつぶせないってバケモノよ」

「あー、酒は飲まんが、私は酔わないぞ? 反則っぽいが手伝うか?」

「飲まないから酔わない?」

言い方が悪かった。

「もともと酒は飲まないが、スキルのせいで飲んでも酔うことはないんだ」

スキルとったあとも飲んだことはないが、馬車酔いしなかったのだから酔わないだろう。

「ええええ!! もったいねぇ!!!!!!」

「なあにアナタ、酒で失敗でもしたの?」

「いや、馬車酔いがひどくてな、取った。酒はもともと好かんので問題ない」

「人生半分損してるって!!」

「ガラハドうるさい」

イーグルがガラハドのボディに一発入れて黙らせる。口頭注意と一緒に手が出るのか、けっこういいの入ったぞ今。

「ではホムラ君、手伝ってもらえるかな?」

涼やかな笑顔を私に向けてくるイーグル、その足元で腹を押さえてうずくまってるガラハド。

カミラは二人のやり取りをスルーだ。これが三人の日常なのだろうか。ガラハドの頼りがいのある兄貴のイメージがどっち方向にとは言わないがちょっと変わった。

「スキルで勝って問題ないなら」

そういうわけで飲み会に参加することになった。

そして、すごく見覚えのある路地に居ます。

「おい、ジジィ! 今度こそ勝ってやるぞ!!」

扉の前で叫ぶガラハド。

「近所迷惑だ」

肘鉄を食らわすイーグル。

うん、日常なのだな。

「また来たのか、お前ら」

迷惑そうなルバが扉を開いて目が合う。

「こんにちは」

「おう! ホムラ」

一転笑顔になり扉を大きく開けてくれる。

今思ったが、この世界の住人はプレイヤーキャラと違ってあまり髪の色のバリエーションが無い。黒・白・白金・金色・茶色・赤・オレンジくらいだ。

「知り合いか?」

びっくりした顔でこちらを見る三人。

「ああ、ここで一度会ったことがある」

招き入れられるままに隠れ家のような家に入ると、実用第一の丈夫そうな椅子を勧められる。石造りの厚い壁と床、奥には鍛冶場があるようだ。床まで石なのは火を扱うからか。

「魔法剣士にはなったのか?」

人数分のコーヒーを出してくるルバ。

「ああ、成るにはなった」

ほとんど剣で戦っていません。

「で、希望は片手剣か?」

……あれ?

「私か!」

「お前か!」

「なんだ剣を造りに来たんじゃないのか」

ここへ来た事情を話した。

「まだレベル10だからな、折角だからいい武器が扱えるようになってから頼みたい」

のだが……

「いいや、今頼めすぐ頼め、そして次にオレの剣をっ!」

「黙れ」

うん、いいパンチです。

「ホムラ、別に打つのは一本じゃなくたっていいんだぞ?」

「あらやだ、おじ様男前!」

ほんとにな!!

というか何で私気に入られてるか謎なんだが。カミラがルバにビールを注ぎ出した、飲み比べように買ってきたものか。

コーヒーを飲みながらルバと話す、どんな剣がいいのか聞かれて今は少し反りのある刀剣を使用していることを伝えると得意な系統だと笑う。

「ホムラは魔法剣士なら金属は魔力を通すやつがいいな」

「俺は迷宮都市のフェル・ファーシが斬れるのをお願いします」

ガラハドが便乗してきたがフェル・ファーシってなんだ。

「阿呆か、あれが斬れる剣といったら材料に『月光石』と『月詠草』が必要になるわ! 大人しく魔法で倒せ!」

「ええっ! ほとんど出回ってねーじゃんか!」

「これか?」

『月詠草』をそっとだしてみるテスト。

「「「「何で持ってる!?」」」」

凄く驚かれました。

「二日前か? 森で採取した」

現実世界の時間感覚と混じってこっちでの日にちの感覚があやしいが確か森で一泊目ででたはず。

「月光石は?」

「私は採掘もっとらん」

がっくりしているガラハド。

「二日……さて何日残っているのか」

「残る?」

「なんだ知らんのか。『月詠草』と『月光石』が取れる場所は、月の女神の涙と呼ばれていて7日で乾く、つまり収集すべきものが消えてなくなるのさ。人が入らんような森の奥、満月の夜に女神が気まぐれに踊った後に残すらしいぞ」

ルバが説明してくれる。

「ああ、月の女神というか闇の女神が踊っていたな」

「見たのか!?」

「綺麗だったぞ」

「おいおいマジかよ」

「さっきからアナタ福の神ね」

カミラに頬チューされたぞおい。あとガラハドはバシバシ叩いてくるの止めろ。

「採掘採取に行きましょう。よほどの場所でない限り残り五日なら余裕で間に合う」

「おー!! ホムラ案内頼む。何処の街からだ? 何処が近い?」

「ここから丸一日近く北だ」

「貴様らは採掘はできるのか?」

盛り上がるガラハド達にルバが聞く。

「持ってないな……」

ガラハドが釣りでイーグル、カミラが採取だった。

「オレが行ってやってもいいが、それでも一つ二つ足らんと思うぞ?」

「ありがとうございます」

イーグルがそう言ってルバにビールを注ぐ。この若々しい老人のイメージ的にビールより日本酒とかスコッチなんだが。

「誰か人を雇うか」

ガシガシと頭をかきながらガラハドが言う。

「ふっかけられるわよ?」

カミラもビールのジョッキを傾けているが扇情的な赤い唇にやはり似合わない。

ここでビールが似合うのはガラハドくらいか?

「背に腹は変えられねーよ」

『月光石』は欲しい者間での売買は高いらしい、『月詠草』も同じだろう。短慮を起こして最初に売っぱらわなくて良かった。ああ、だがガラハドからぼったくるのは出来ないし、これから採取にゆくならそもそも『月詠草』の方は足りるだろう。

「先ほども言ったが大人しく魔法で倒したらどうだ? そこの娘御は格好からして魔法を使うのだろ?」

ルバが聞く。

「もう一回やってんだ。ダメージはいくんだが、あいつ魔法くらうと回復行動とるせいでダウンになんねーんでやんの」

「ダウンをとると落とすという、『フェル・ファーシの雫』が必要なんですよ」

「普通の物理攻撃はフェル・ファーシに通らないけれど、調べたら貴方の打った剣で戦って雫を得た話があったわ」

カミラの言葉を最後に沈黙が落ちる。

お茶漬たちにメールして聞いてみると、お茶漬、シンはすでに売り払っており、ペテロは鍛冶とったし取っておくという答え、レオに至っては無謀にも生産で使ったという返事が来た。

私も無理に売れとは言う気が無いのでペテロに礼を返して、レオには無茶するな! と返したらヤツからは「得意武器補正で評価5だ! わはははは! だが装備出来ねぇレベルたりねぇ!」と返ってきた。

鍛冶にもあるらしい得意生産、ルバは刀系が得意だといっていたし、そういえばレオは鍛冶屋に弟子入りしてたっけな。

「ん、一緒に行った友人たちもそれぞれ売り払ったりした後だな。今スキルポイント足らんので、レベル上げ手伝ってくれるなら、私が採掘取ってもいいぞ? その時間のほうが足らんかな?」

「おおっ! ホムラありがとう!」

ハグして来ようとするガラハドを避けたら、カミラに避けた方向から抱きつかれて頬にキスされた。カミラ、キス魔なのか?

腕と背中に当たる胸の弾力が凄い。背中にまで当たってることで大きさは察しろ。

「確かにホムラ君なら私達と比べてまだ直ぐレベルは上がるだろうけど、いいのかい? こっちはぼったくられるだろうとはいえ、金で解決できるけど、金でスキルポイントは買えないぞ?」

「後にするつもりではいたけれど元々とる予定ではいたんでいい。剣術系のスキル取得を次に回す。というか、鉱物好物という採掘量が増える腕輪を持っているんでな」

「おお、それならホムラの分も月光石が採れるな」

「わかった、レベル一つだけじゃなく上げとけば後回しにしたスキルも取れるだろ! ボスツアー行こうぜ!」

ガラハドのテンションが高い。

「ああ、直ぐ会えるボスだけでもやれば今のホムラ君なら上がるな」

イーグルに"君"は要らないと言いそびれているな、それはともかくそれはなんてパワーレベリング?

「期限があるんだろう?」

「移動手段はあるから任せろ!」

「明日の朝からボス戦して夜は採取に行けるよ」

どんな移動手段だそれは。

「そういう事なら、オレは昼の間は他の素材と炉の準備をしておこうか」

そういうことになった。

□ □ □ □ □

・増・

スキル

【雷魔術】【生活魔法】

□ □ □ □ □

ホムラ Lv.22

Rank D

職業 魔法剣士 薬士(暗殺者)

HP 605

MP 778

STR 34

VIT 22

INT 43

MID 16

DEX 15

AGI 22

LUK 14

NPCP 【ガラハド】【-】

称号

■一般

【交流者】【廻る力】【謎を解き明かす者】

【経済の立役者】

■神々の祝福

【ヴァルの祝福】【ヴェルナの祝福】

■スレイヤー系

【リザードスレイヤー】

スキル(1SP)

■魔術・魔法

【木魔術Lv.3】 【火魔術Lv.5】【土魔術Lv.3】

【金魔術Lv.4】 【水魔術Lv.3】【☆風魔法Lv.3】

【☆雷魔術Lv.1】【光魔術Lv.2】【☆闇魔法Lv.8】

■剣術

【剣術Lv.10】【スラッシュ】

【刀Lv.2】

■召喚

【白Lv.1】

■精霊術

水の精霊【ルーファLv.2】

■才能系

【体術】

■生産

【調合Lv.1】【錬金調合Lv.1】【料理Lv.7】

■収集

【採取】

■鑑定・隠蔽

【道具薬品鑑定Lv.4】【植物食物鑑定Lv.5】

【動物魔物鑑定Lv.4】【スキル鑑定Lv.4】

【武器防具鑑定Lv.2】

【気配察知Lv.4】【気配希釈Lv.4】【隠蔽Lv.4】

■強化

【腕力強化Lv.2】【知力強化Lv.4】【精神強化Lv.2】

【器用強化Lv.2】【俊敏強化Lv.2】

【剣術強化Lv.3】【魔術強化Lv.2】

■耐性

【酔い耐性】

■その他

【HP自然回復】【MP自然回復】【暗視】【地図】【念話】

【装備チェンジ】【生活魔法】