軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

122.闘技場初戦

唖然として組み合わせ抽選の結果を眺めている現在。白が参戦登録してくれた、パーティー戦だけでスクロールするほどのブロック数、多少調整が見られるものの1ブロック20組のようで、初戦は闘技場のキャパは無視で一斉に行われる。この辺はゲームの便利さだ、初めての闘技大会だし、お試し参加の 異邦人(プレイヤー) も多い。実際の試合会場のキャパに合わせて試合をしていたら一週間あっても終わらない。

事前に闘技場RankをSまで上げておけば途中参加も可能、恐ろしいことにSSSを持っている私は『闘技大会最終戦エントリー権』で決勝戦に乱入できる。SSで準決勝のシード参加、Sで準々決勝の試合にシード参加できる。

うん、何かこの席視線が痛いのだがSSSのボックス席だってバレている気がする。王族のいる席とは別にこちらも大きなボックス席が四つ、私のいる場所を合わせて五つ、すり鉢状に段になった座席に混じって等間隔に配置されているのが遠目でもわかる。そのボックス席の脇には一回り小さなボックス席があり、その隣にはさらに一回り小さいものがある。たぶんSSランク席とSランク席。間に個室ではないが余裕がある座席ブロックがあるのはAランク用というところか。

参加ブロックが決まって悲喜こもごもらしく、先ほどにも増して騒がしい。サイドテーブルのメニューで外部からの音声を40%落とす。普通のメニューからも選べるが、サイドテーブルのメニューの方が闘技場に特化したインターフェイスになっており、解りやすい。

初戦から参加することにした私のブロックは52ブロックだ。

おイタをした白の肉球をむにむにしながら確認する。召喚獣や 従魔(ペット) はパーティー戦はフィールドと同じ扱い。ソロ戦の場合は召喚士・調教士もいるため、それぞれ一戦一匹喚ぶことができる。本職は途中で種類を入れ替えることが一度だけできるが、その場合二匹目はステータス半減で喚ばれる。召喚獣とペットが両方呼べるので召喚士・調教士を両方持っている 異邦人(プレイヤー) は有利か? ただ、職業についていなくても私のように召喚獣やペット――本職のほうは従魔と表示されているらしい――も持つものも多いため微妙なところではある。闘技場ルールも覚えないとそのうち慌てることになりそうだ。

『白、召喚時間切れたら私ソロじゃないか』

『ふふん、普段の行いが悪いからじゃ』

待ち時間の間、思う存分もふってやるとばかりに白の毛並みを堪能していると、扉がノックされた。

「レンガード様、SSランクのホルス様とバベル様が面会を希望されています」

閉じたままの扉の向こう側から来客を告げられる。

「どうぞ」

何だろう? 今度は勝つぜ! 的な試合前の挨拶か?

「【剣帝】レンガード様! 久しぶりです」

「【賢帝】レンガード様、お久しゅう」

待ちかねたように入ってきたのは、 牛乳(うしぢち) 、じゃない、露出の多いチョコレート色の健康的な乳、じゃない、大柄な肢体の美女と、ゆったりとしたローブを纏った白磁の肌にトロンと眠そうな目をした美女。ーー誰だ?

「レンガード様、私めの胸もバベルに劣らず大きいですよ? 着痩せする躰です、確かめますか?」

にっこり微笑んでローブをはだける仕草をする美女。

「何を言うホルス! 最初に目に止まったのはオレだ! レンガード様、どうぞこの胸ご自由に」

胸を叩くように手を当て迫ってくる美女。

ちょっ……っ!

『お主、この二人どこで引っ掛けた?』

白の視線が痛い。

「誰だ、貴様ら」

それだけ露出しててバインバインな胸してれば十人中十人見るだろう? ……見るよね? 何だこの羞恥プレイ。冷や汗流しながら案内係に目を向けるとにっこり笑って告げられる。

「先ほども申し上げましたが、こちらSSランクのホルス様とバベル様。レンガード様が大会に参加されない時、代理を務める【皇帝の騎士】です。レンガード様に敗北後、荒れてらしたのですが周囲の説得もあり、今は【皇帝の騎士】としてレンガード様一筋でらっしゃいます。お姿が少々お変わりになられているのは、自ら性別変換 玉(ぎょく) をお使いになられたからです」

……まて。

じゃあ何か? この美女二人は あの(・・) バベルとホルス? ガハハと笑いそうなガタイのいい男と、嫌味ったらしく笑いそうな細めの男の成れの果て?

胸の谷間からヘソまで一直線に露出してる水着みたいな服(?)にマント姿のコレと、大きなフード付きローブを着て華奢な肩してるコレが。

少々変ったどころじゃないだろ!!!!!!

ついでに言うなら若返ってないか!? 若作り!?

「オレはレンガード様に誠心誠意お仕えする。頭のてっぺんからつま先までこの躰、どうぞご自由に」

「私めも全てを捧げ、お仕えいたします。この躰いかようにも」

二人揃って跪く。

「帰れ」

『お主、ひどいのぅ』

白が呆れたように言う。いくら美女でも却下する、なんでこうなった。

まだ私に対する忠義(?)をワーワー言い立てる二人を、案内係が華麗に言いくるめて扉の外に追いやった。強いな、案内係。

「【皇帝の 騎士(・・) 】と言うなら男でよかった気がするんだが、何故ああなった」

少々遠い目になるのは仕方がないことだと思う。

『男のままでも迫ってきそうじゃがの、あの勢い』

『ヤメテクダサイ』

「申し訳ございません。お二人とも荒れた時の所業がひどかったものですから、皇帝に忠義を尽くすべきと、闘技場職員で洗……説得したのですが、行き過ぎてしまったようです」

おい、今、洗脳って言おうとしなかったか? 案内係の営業スマイルが怖いんだが。

「こちらの個室には許可がない限りどなたも入れませんのでご安心を」

そう言って案内係も出て行ったのだが、突撃の不安でいっぱいな現在。あの二人もだが案内係がっ! 闘技場でヤンチャしたら性別変えられて18禁なお仕置きが待ってると想像しかけて、思わず身震いする。ちょっとこの椅子、拘束具とか出ないだろうなオイ。戦いの前にどっと疲れた。

ペテロ:ホムラ、ブロックどこ?

お茶漬:見つけられにゃい

シ ン:ホムラ登録、レンガード? ホムラのままか?

レ オ:どっちもみっかんねー! 全員ブロック別れた!w

ペテロ:両隣のブロックにも皆んなの名前ないから、勝ち進まなきゃ当たらないね。

ああ、通常営業なクラン会話に癒される。

個人戦に参加するのはペテロ、シン、レオだ。昨夜別れる時に闘技大会用に各種薬品を三人に渡し、ペテロにはギリギリ間に合った『認識阻害』を指定されたアイテムにつけている。一応、入賞をしなくても勝ち進んだ分だけ賞金やアイテムが出るのでクランハウスの資金にすると息巻いているシンとレオだ。

ホムラ:登録はレンガード。粗相をしてパーティー戦にソロ参加、52ブロックです。

シ ン:ぶっほ!

レ オ:わははははははは!

菊 姫:さすがでし

お茶漬:ひどい

ペテロ:装備もいいし、レベルも高いからマッチング次第ではいけるかも?w

シ ン:せっかくだから派手に登場しようぜ、派手に!

ホムラ:無茶言うな

菊 姫:『浮遊』かけて登場してみるでしw

お茶漬:派手じゃないけど騒ぎになりそうね『浮遊』

ペテロ:登場してからかけてもちょっと間抜けですよw

お茶漬:間髪入れずにかけるんだ

薬や魔法の類は事前にかけておいても打ち消されてしまうのだ。

なのでそっと『浮遊のサイハイブーツ』に履き替えてみたり。

シ ン:お互いがんばろーぜぃ!

レ オ:おう!

ホムラ:ああ、頑張ろう。

《総合第1試合を開始いたします》

ちょうどアナウンスがあり、 自分(さんかしゃ) を囲むように、揺れる光の筒が現れる。六十秒のチェック時間が与えられ、特に問題ない場合は時間切れ前にO.K.を選ぶこともできる。マッチングの相手も選んでいれば六十秒経過前に試合開始となる。

装備よし。

『白、準備は?』

『完了じゃ』

さあ、試合開始だ。

◇【レンガード】vs 【カリビアン】◇

◇Ready◇

◇Go!◇

四十メートル四方の一段高くなった石畳の上に転移されたと思えば、対戦テロップとアナウンスが流れる。

パッと見た限りどうやら私の相手は、盾職・剣闘士・戦士・魔法使い・回復職・弓職の平均的パーティー構成な相手のようだ。レベルは31、32と5レベル以上も低い。

「レンガード!?」

「偽称かと思ったら本物っぽい!?」

「生産じゃなくって魔法使いが正解!?」

「【鑑定】できねぇ!」

何だ本物って?

私が疑問に思っている間に白が駆け抜ける。

あ。

全員麻痺ってますが。

白が得意満面に戻ってきたところで、いいのかコレと思いつつ、驚愕に引きつっている六人に【雷魔法】で覚えたての『雷神の鉾』×3。多勢に無勢だからな、容赦しないぞ私は。

単体攻撃魔法なのだが、【範囲魔法】で一網打尽、相手が散開する前に白が痺れさせているので余裕で範囲に入る。ちなみにこちら、状態異常中に食らうとダメージ倍加の効果でございます、白と相性のいい魔法だ。

《レンガード WIN!》

アナウンスと共にまた白い筒状の光に包まれ席に戻された。余韻も何もないが、試合数が多いので仕方がないのかもしれない。友人知人を応援しているのか、観客席のざわめきも大きくなっている。

『白さんや、私が言うのもなんだが5レベル下の相手にひどい気がするんだが、せめて姿見せない?』

たぶん相手には白の姿は見えていない。何がしかの【眼】か【看破】のような隠蔽を見抜くスキルを持っていない限りは。始まった途端、訳も分からずに【麻痺】にかけられた状態だろう、せめて姿を見せていないとホラーなんじゃあるまいか。

『人間は好かんし、時間をかけては我が次の試合に出られんのじゃ!』

『白、私たちの試合が終わっても、他の試合が終わらないと2回戦始まらないぞ』

白がちょっと固まった。固まっている白の耳の裏をこしょこちょと撫でる。人間嫌いなのに私の膝に収まってなんだかんだ言っても撫でさせてくれるのが感慨深い。時々噛まれるが。

『ええい! 大体、相手が異邦人なら大抵お主よりレベルは下であろう』

フリーズから戻った白が言う。

『え?』

『……』

白、またか、みたいな嫌そうな顔するな。

『お主、ガラハド等に周りを【鑑定】してみろと何度か忠告を受けておらんかったかの?』

『じと目で見るのやめてください』

言われて顔を背ける私。

そういえば言われた気がする。だが、つい【鑑定】のレベル上げのための見流し作業になっていて鑑定はしても詳細は見ていない。

『お主は【ドゥルの寵愛】でレベルが上がりやすくなっとるじゃろが! 広場なんぞで見かける大抵の者は高い方でも、いいとこ32、3辺りじゃ』

えー?ペテロ、35だって言ってた気がするのだが。

お茶漬:ホムラ、試合終わった?

ホムラ:終わったぞ

お茶漬:登録レンガードだよね?

ホムラ:うん?

お茶漬:この短時間に実況掲示板がカオスww

うん?