軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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謁見も無事に終わり、レオルドは適当に時間を潰そうとしたが父親であり、公爵家当主であるベルーガに呼び止められる。

「レオルド。これから何か予定はあるのか?」

「いえ。特にないので、どこかの宿を借りて寝ようかと思います」

「そうか。ならば、一緒に帰ろう。オリビアが待っている」

「母上がですか。分かりました。すぐに用意致します」

「うむ。待っているぞ」

一礼するレオルドを見て微笑むベルーガは踵を返して、レオルドの前から去ろうとするが去り際に一言残す。

「レオルド。恐らくだが、今のお前を見たらオリビアはお前を服屋にでも連れ出すと思うから準備しておくんだぞ」

「……は?」

ベルーガが意味深な事を言っているが、全く分からないレオルドは困惑するばかりである。

先程の言葉はどういう意味だったのだろうと考えながら、レオルドはギルバート、バルバロト、イザベルの三人を引き連れてベルーガの元へと向かう。

用意された馬車に乗り込むレオルドは父親と二人きりという空間に僅かながら息苦しさを感じていた。母親であるオリビアならば、多少お喋りな所はあるが息苦しいとは感じない。

だが、ベルーガが相手だとレオルドはどうしても苦手意識を持つ。嫌われている訳では無いと思うのだが、和解出来たとは思っていない。

ジークとの決闘に敗れて、辺境へ飛ばされる際にはベルーガはレオルドに怒りを通り越して呆れていた。だから、レオルドは今もその事が頭から離れていないので、ベルーガは少し苦手であった。

仕事の話ならば、取り繕う事は出来るのだが家族としての場合はまだ難しい。レオルドは以前はどのような事を話していたのだろうかと、ボンヤリと思い浮かべる。

「……」

「……」

沈黙だけが支配する馬車の中という小さな空間。気まずい時間が続き、レオルドは何か話題でも振ってみようかとしたら、先にベルーガが口を開いた。

「レオルド。お前の成した功績、いや、歴史的偉業は恐らくだが多くの人に知れ渡るだろう」

「そうですね。でも、そこまででしょうか?

私がしたのは所詮書物に描かれている魔法陣を書き写しただけに過ぎませんよ?」

「お前にとってはそうだろうが、噂とは尾ひれがつくものだ。その事に関してはお前が一番知っているだろう?」

「ええ、確かに。では、父上は私が転移魔法を復活させたと言う事になるとお思いなのですか?」

「そうだ。そうなれば……レオルド。お前を手に入れようと良からぬ事を企む者が出てこよう」

「まさか……私にはなんの能力もありませんよ」

「真実を知らない者からすれば関係ない。お前は転移魔法の使い手だと勘違いされる恐れもある。だから、レオルドよ。お前は護衛を増やすべきだ」

「ええ? ギルが付いてますから、増やす必要はないかと思いますが?」

「確かにギルがいれば護衛を増やす必要は無いかもしれんが、万が一という事もある。それに、話は他にもある」

「まだ? 一体他に何があると?」

「お前と縁を結びたいと多くの者から娘を紹介されたよ」

「はあっ!? それはつまり、俺に婚約者をという話ですか!?」

レオルドにとっては突拍子もない話題だったので、思わず素が出てしまう。

対してベルーガはある程度は予想していた。レオルドが成した歴史的偉業は多くの利益を生み出し、王家からも評価されるのは間違いない。

そして、レオルドは過去に 元婚約者(クラリス) を襲ったとされているが、未遂で終わっている。その為、婚約破棄をしており、今はフリーなのだ。

これはもう狙わない手はないと多くの貴族達がレオルドの父親であるベルーガに言い方は悪いのだが、自分の娘を売り込みに来たのだ。

「それで、レオルド。流石に私も断れない方がいたのだ……」

「ま、まさか…… 第四王女(シルヴィア) 殿下では?」

コクリとバツの悪そうな顔で頷く父親を見て、レオルドは泣きつく。

「父上! 何とかならないのですか!!」

「すまない。こればかりはどうする事も出来ない……」

「そ、そんなっ!!!」

「ま、まあ、良いでは無いか。相手は王族だぞ?

本来ならば、次期当主となったレグルスにこそと言う相手なんだ。光栄な事ではないか」

「断る事は出来ますかね……?」

「……」

「父上! 何故、目を逸らすのです! 父上、答えて下さい!!!」

「私はお前の幸せを願っているぞ」

「本当に俺の幸せを願ってるなら目を見て話せっ!!! 顔を背けてんじゃねえぞっ!!!」

「お、親に向かってなんて口の利き方をするんだ!!!」

「親なら助けてくれよっ!!!」

「だから、相手は王族だと言っているだろうが! お前がどれだけ嫌がろうとも、必ず会わねばならないのだ! それに何が不満なのだ!

第四王女殿下はその美貌もさることながら知性に溢れ、勤勉家であり慈愛の心を持っているのだぞ。どこに不満があると言うのだ!?」

「猫被ってんだよ!!! 父上は殿下の本性を知らないから、そんな事言えるんだ!」

「お、お前! 王族に対してなんと無礼な……!

はあ……もういい。分かった。おまえがあまり乗り気ではないことが」

「おおっ! 分かってくださいましたか、父上!」

「ああ。だが、殿下には会ってもらうぞ」

「ぐっ……分かりました。ですが、この件に関しては父上は口出ししないでもらいましょうか」

「分かった。しかし、先程のような発言は決してするなよ?」

「分かってますよ、父上」

ベルーガの答えに満足したレオルドは満面の笑みを浮かべた。ベルーガは久しぶりに見た愛息子の笑顔に毒気を抜かれて笑う。

「ふっ……」

「どうかしましたか?」

「いいや。久しぶりだと思っただけだ」

何が久しぶりなのか見当もつかないレオルドは首を傾げるばかりであった。

ベルーガはいつぶりだろうかと、物思いにふける。レオルドとこうして会話が弾み、笑い合ったのはと。