軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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危ない所を助けられて、運命のような出会いをしたシェリアは意気揚々と帰路に着く。そのご機嫌なシェリアの横には、運命48の主人公ことジークフリートが歩いている。

「こっちでいいのか?」

「はい!」

元気良く返事を返すシェリアとは反対に、ジークの表情は硬い。なにせ向かっている先は王城なのだから。

ジークは、もしかしてシェリアはかなり身分の高い御方に仕えているのではないのだろうかと予想している。

大正解だ。シェリアはハーヴェスト公爵家に仕える使用人で、ジークと因縁のあるレオルドのメイドだ。

しかし、ジークはレオルドとの決闘で二つの罰をレオルドに科した。一つはクラリス、レオルドの 元婚約者(クラリス) と関わらないこと、そして、もう一つはとジークたちの前から消えること。

既にこれらは果たされている。レオルドは学園から退学して、今はゼアトに幽閉されており、ジークたちの前からは姿を消している。

そして、クラリスとは婚約も解消しており、二度と関わらないような場所にいる。

だが、現在レオルドは、モンスターパニック終息の立役者として王都へと呼ばれている。レオルド自らの意思ではないので責められることはないのだが、ジークの感情がどうなるかはわからない。

道中、雑談で盛り上がっていたが、楽しい時間は終わりを告げる。王城の前まで二人が辿り着くと、迎えに来たギルバートが出てくる。

「迎えに来たぞ、シェリア。少し遅かったが何かあったのかね?」

「お爺ちゃん!」

ギルバートに駆け寄るシェリアを見て、ジークは自分の役目はここまでだと挨拶をして帰ろうとする。

「じゃあ、俺はこれで」

「あっ! 待って!」

ギルバートに抱きついていたシェリアは帰ろうとするジークを引き止める。

引き止められたジークは足を止め、ギルバートは孫娘が連れてきた男に興味が湧いている。

「シェリア。彼とはどういう関係なのだ?」

「えっと、買い物している時に絡まれてる所を助けてもらったの!」

「その話、詳しく聞かせてもらえるか?」

シェリアは三人組に絡まれた時の事をギルバートに詳しく説明する。ギルバートは表情こそ変わっていないが内心は怒りに満ちていた。

レオルドが危惧していた通りになり、自分の浅はかさに怒り、孫娘を脅かした三人組に怒っていた。

しかし既にジークが助けたとあって、シェリアに深く傷ついている様子もない。その点だけは良かったと言えるだろう。

「孫娘から話は聞きました。ジークフリート殿、この度は孫娘を悪漢の手からお救い頂きありがとうございます。

このお礼は必ずや致しますので」

「いえ、そんなお礼なら既にシェリアから頂いてるので」

ジークがシェリアを呼び捨てにした瞬間、ギルバートの表情が一瞬固まったが、すぐに穏やかな笑みを浮かべる。

「そういうわけにはいきません。私は公爵家執事長として、そしてシェリアの祖父として、貴方には改めてお礼をさせてください」

流石のジークもギルバートにここまで言われたら断ることは出来ない。

「わ、わかりました」

「我が侭を聞いてくださりありがとうございます。それでは後日、私の方からお伺いさせていただきます」

「はい。わかりました」

これでやっと帰れるとジークが踵を返した時、シェリアが駆け寄ってくる。

「あの、また会えますか?」

「え? あ~、機会があればその内会えると思う……」

パアッと花が咲いたかのような満面の笑みを浮かべるシェリアに、ギルバートは目を見開く。

ある程度予想はしていたが、ここまで露骨だとギルバートにも分かる。

孫娘は恋をしたのだと。しかも、レオルドと因縁深いジークフリートに。

「では、またいつか!」

「ああ。またな」

手を振る二人を見て、ギルバートはどうしようかと顔を手で覆う。

孫娘が恋をした相手はレオルドと因縁があり、しかも男爵家の跡取りだ。応援してやりたいが、身分差もある上、現在の主であるレオルドとのいざこざもあるので複雑な気持ちだ。

だが、やはりギルバートは孫娘に甘い。険しい道のりにはなってしまうが、恋が実ることを願ったのだ。

ギルバートとシェリアはレオルドが待っている部屋へと戻る。道中、シェリアはジークの話題ばかりでギルバートは微笑ましく思っていた。

しかし、そのせいで忘れてしまっていた。レオルドとジークの因縁を。

「ただいま戻りました!」

「ん、おかえり。どうだった? いい土産は見つかったか?」

「はい! それよりレオルド様! 私、大変だったんですよ!」

「なにかあったのか?」

「はい! 買い物が終わって帰ろうかとしていた時に男爵家の三男だと名乗る三人組の男に絡まれたんです!

でも、そこにジークフリート様が颯爽と現れて私を助けてくれたんです。あの時のジークフリート様、かっこよかったな~」

「……」

レオルドの目は点である。最早、感情は何を示しているのかわからない。シェリアはそんなレオルドの様子に気がつかず、ジークのことを大絶賛している。

(ほえ?)

本日二度目のフリーズである。レオルドは、まさかシェリアの口から聞くとは思わなかったジークの名前を聞いて思考が止まってしまった。

そしてなによりも、目の前でジークを絶賛しているシェリアの顔があまりにも恋する乙女にしか見えなかったからだ。

ゼアトに飛ばされて、ギルバートとバルバロトに毎日鍛錬と言う名の地獄を味わい、シェリアに介抱されていた。

シェリアはレオルドにとっては心のオアシス、唯一の癒しと言ってもいい。そのシェリアが、よもやジークフリートに恋をするとは思いもしなかっただろう。

レオルドはぎこちない動きでギルバートに目を向けると、孫娘を微笑ましい目で見つめているお爺ちゃんになっていた。これは頼りにはならないと、レオルドは顔を下に向ける。

(これが主人公補正か! くそぅ、俺だって頑張ってるんだ! でも、どう足掻いても俺はかませ犬なのかよ~!

ちくしょう! せめて死ぬ運命だけはぶっ壊してやるからな!)

あわよくばシェリアと大人な関係にと下心を抱いていたレオルドだったが、すでにシェリアはジークフリートに夢中だ。

もうレオルドに振り向くことはない。権力を使って無理矢理迫ることも出来るが、ギルバートに首を蹴り折られるだろう。

悲しいことにレオルドは、改めて自分がかませ犬なのだと痛感することになってしまった。