軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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完全に使い物にならなくなってしまったレオルドは、頭を下げて国王からの言葉を待つのみ。

どれだけの時間が経過したのだろうか。既にレオルドの体感時間は狂っていて全くわからなかった。

ポタリ、ポタリと、汗がレオルドの顎から床に落ちていき、染みを作る。

その染みを数えながら、レオルドは国王からの言葉を待つ。ある意味、死刑宣告を待つ囚人のような気持ちになっているレオルド。白髪が増えたのではないだろうか。

「面を上げよ、レオルド」

「はっ!」

嫌な汗を流しているレオルドは、背中に服が張り付いている感触に嫌悪しながら国王の言葉に従い顔を上げる。

レオルドが見上げた先には、微笑ましいものを見ているかのような顔をしている国王の顔があった。一体何があったというのだろうかと、レオルドは生唾を飲み込む。

(もしかして、死刑宣告なのでは?)

などとレオルドは邪推するが、国王の内心は違う。国王は以前までのレオルドとの違いに喜んでいるのだ。友人の息子なので何度も会ったことがあり、その性格はよく知っていた。

だから、今のレオルドの変わり様に驚きつつも、人としての成長が見られて嬉しいのだ。

親子ではないのだが、世間で屑人間と評されていた友人の息子が立派に成長しているのだから。

「レオルドよ、お前の言い分は理解したが、やはり褒美は与えねばならない。

何故ならば、お前は多くの騎士の命を救った。話は私にまで届いておる。ゼアトの騎士を纏め上げて、モンスターパニックの対応に尽力したとな。

だから、レオルド。お前には受け取る権利があるのだ。今は黙って褒美を受け取るといい」

「は……はい。その、光栄でございます」

何が何だか分からないがレオルドは死ぬ事はないと分かった。だが、意外にも褒められたので戸惑っている。慌てながらも、礼儀を尽くしてレオルドは頭を下げる。

そして、国王の出番は終わったのか、横に控えていた宰相がレオルドの褒賞について話す。

三千万Bをレオルドに与えるとの事だ。

B(ベイン) とは運命48でアルガベイン王国で使われている通貨のことである。一Bは日本円で一円だ。

つまり、レオルドは日本円だと一軒家が建てられるほどの大金を受け取る事になる。

基本的に運命48は中世ヨーロッパ風な世界観だが、製作陣は日本人なので日本に近い部分が存在する。

レオルドは大金を貰える事になったが大した喜びはない。確かに日本でならば三千万という数字は両手を上げて喜ぶ程の金額だが、レオルドは腐っても公爵家の一員なのだ。

今更、三千万では喜ばない。ただ、このお金はレオルド個人のものとなる。だから、それを知ったら喜ぶことになるのだが、今はまだ知らないので喜ぶことはない。

こうして国王への謁見が終了して解散となる。レオルドは案内された部屋へと赴き、待機していたギルバートとシェリアに合流する。

「はあ~~~! 死ぬほど緊張した!」

帰ってくるなり、大きな溜息を吐いてレオルドは服のボタンを外して楽になる。そしてソファに腰掛けると、足を伸ばして天井を見上げる。

そうしていると、疲れているであろうレオルドを気遣ってシェリアが紅茶を用意した。レオルドは差し出された紅茶を一口飲んで、また天井を見上げる。

「ああ~~~、うめえ~~~」

「あのレオルド様?」

「ん? なんだ?」

「謁見というのはそこまで緊張なさるものなのですか?

レオルド様は公爵家ですから、何度も国王陛下には会っていると思うのですが」

「ああ。まあ、その通りなんだが……ほら、俺は色々とやらかしているだろ?」

「ああ~……そうですね」

「ゼアトに幽閉されて以来の謁見だったから緊張が凄くてな。はっきり言って死刑宣告でもされているような気分だったよ」

笑っているレオルドだが、対照的にシェリアは顔が引き攣っていた。なんとなく気持ちが理解できたから。

理解できた理由は、レオルドとギルバートの三人でゼアトへと向かうと聞かされた時のことを思い出したからだが。

「あ、あはは~、そうなんですね~」

悟られまいと必死に笑顔を浮かべるシェリアだった。

レオルドがシェリアに淹れてもらった紅茶を飲んでいるとギルバートが話しかける。

「レオルド様。本日の昼食なのですが、奥方様から久しぶりに家族水入らずで食べましょうとのことです」

「ぶっ!?」

「きゃっ!」

鼻から勢い良く紅茶を噴出したレオルドに驚くシェリア。

その様子を見ても一切動じることなくギルバートは話を続けていく。

「既に店を予約しているので時間が来たら、お店に来るようにとのことです。あと、遅刻厳禁ですと」

「おう……母上がそう言ってたんだな?」

「はい。まだ、しばらく時間はありますがどうしましょうか?」

「そうだな……しばらくは休んでおきたいから、ここで過ごすとしよう。

ああ、それとシェリア。ゼアトで待機している使用人に土産を買っておいてくれ。

ギル、シェリアに土産代を」

「ええ!? いいんですか?」

「構わん。いいだろう、ギル?」

「ええ、問題ありません。たまには、そういうのがあってもよろしいでしょう」

「そういうことだ。あっ、それとバルバロトのも頼む」

「わかりました! ご期待に応えるよう選んできます!」

「あまり気負いすぎなくてもいいんだぞ」

興奮しているシェリアをギルバートが宥めてから、土産代を渡す。お金を受け取ったシェリアは使命感から、いつも以上にやる気に満ち溢れていた。

シェリアが買い物へと出かけている間は特に何かをするわけでもなく、レオルドはギルバートと他愛もない話を続けていた。

「そういえば、一人で行かせてよかったのか?」

レオルドは一人で買い物に出かけたシェリアを心配してギルバートに尋ねてみた。

「心配ありません。ここは王都ですし、シェリアの格好は貴族に仕える使用人ですから、おかしな輩に捕まる事はないでしょう」

「そうならいいんだが……」

やはりレオルドは少し心配らしい。シェリアは運命48でサブヒロイン枠として存在し、あまりパッとしないキャラだったが、普通に可愛いのだ。

リアルに可愛い。真人の記憶を持つレオルドは、シェリアなら現代日本でアイドルとしてもやっていけるほどの美貌の持ち主だと思っている。

そんなシェリアが一人、買い物に行っているのだから心配で仕方がないのだ。王都だからとギルバートは安心しているが、王都だからこそ変な輩はいるのだ。

「ギル。俺の事はいいから今からでもシェリアに付き添ったらどうだ?」

「坊ちゃまは心配性ですなぁ」

レオルドの予想は当たることになる。このときのレオルドは知る由もないが。