軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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モンスターパニックの兆候が確認されてから、かれこれ一週間が経過していた。ゼアトでは緊急事態に騎士達が大忙しで、休む暇もなく動き回っている。

当然、レオルドの住んでいる屋敷も例外ではない。使用人たちがバタバタと屋敷を走り回っており、避難の準備を進めていた。

ただし、その中にレオルドとギルバートの二人は含まれていない。レオルドはゼアトへと幽閉されている身なので逃げる事は叶わない。

そして、ギルバートはレオルドを守るという名目で留まることになっている。

最初は多くの使用人たちが二人にも逃げるように説得したが、レオルドは残念ながら当主であるベルーガから科せられている罰で動けないことを説明して使用人たちを黙らせた。

同じようにギルバートも孫娘のシェリアが必死に説得したが、レオルドを守ると譲らなかったので諦めるしかなかった。

ギルバートが残るからシェリアも残ると騒ぎ出したが、ギルバートが説き伏せて避難することを決めた。

使用人たちはシェリアを筆頭にレオルドの実家である公爵邸へ避難することになる。二人しかいない屋敷は静かであり寂しく感じる。

「父上からはなんと?」

「……騎士と共にゼアトの防衛に務めよ、とのことです」

「ははっ。そうか。なら、父上の期待に応えねばな」

(旦那様は一体何を考えておられるのか……

息子を死地に向かわせるなど……

いや、他の貴族が妨害してきたのか?

それとも、レオルド様の成長を確かめる為か?

だとしても、他にもやり方はあるだろうに……

考えても仕方がない。旦那様のご命令通り、私は最後までレオルド様をお守りしましょう)

ギルバートはモンスターパニックの情報を逐一ベルーガに報告していた。

恐らくだが、ベルーガは国王に報告して情報を共有していたのだろう。そこにベルーガの息子であるレオルドが関与する余地はないが、ベルーガを良く思わない貴族が嫌がらせにレオルドを防衛に加えようと画策したに違いない。

だが、確証はないため断言する事は出来ない。だから、ギルバートはベルーガの命令であるレオルドの護衛に精一杯尽くすと決めた。

「状況はどうなっている?」

「恐らくですが、あと一日も猶予が無いかと」

「騎士団へは俺が参加する事は伝わっているのか?」

「はい。既に通達されています」

「わかった。なら、行こうか」

レオルドはギルバートと共に作戦本部が開かれているゼアト砦へと向かう。

砦内部では既に出撃した騎士が戻ってきており、体力の回復に務めている者もいれば怪我の治療を受けている者もいる。

レオルドは初めて見る悲惨な光景に目を背けそうになるが、この世界で生きていく以上避けては通れぬ道だと、その光景を目に焼き付けた。

「被害状況は?」

「は! 第一部隊に負傷者が続出して撤退、第二部隊が現在は応戦中で、第三部隊が応援に向かっています!」

「ご苦労。下がっていいぞ」

「は!」

作戦本部から出てくる騎士とすれ違うようにレオルドとギルバートが作戦本部に入る。

思わぬ客が入ってきたので、作戦本部を任されている初老の騎士が慌てて立ち上がり、レオルドとギルバートへと敬礼をする。

「良い。今は挨拶よりも戦況が聞きたい」

「は! 今はモンスターパニックの規模が小さい為、ゼアトに務めている騎士団でなんとか戦線を維持しております」

「犠牲者の数は?」

「幸いなことにゼロです。ただ、負傷者が増える一方であまりよろしくない状況とも言えます」

「わかった。王都から連絡があったと思うが、俺とギルが防衛に参加する。

部隊を配置してもらいたい」

「では、第一部隊が今砦内で休息を取っていますので、次の出撃に参加させましょう」

「話が早くて助かる」

「いえ。こちらも猫の手も借りたいほどに切羽詰っておりましたから、お二人の戦力追加はありがたい話です」

「ギルはともかく俺はあまりな……」

「バルバロトから聞いておりますよ。レオルド様なら何かしてくれると」

「あまり期待しないで欲しいのだが……出来る限りのことはしよう」

「よろしくお願いします」

レオルドとギルは頭を下げる騎士へ一言告げて砦内を歩く。

「ギル。俺はどうしたらいい?」

「どうしたらいいとは?」

「俺は実戦経験に乏しい。以前、水源の調査で森を散策した時に魔物と交戦したが、それ以降はお前とバルバロトとの模擬戦しかない。

だから、俺はどうすればいい?」

「ああ……でしたら、簡単なことです。レオルド様は自分がやりたいようにやればいいのです」

「だが、それだと他の者に迷惑がかかるだろう?」

「大丈夫です、レオルド様。私がおりますゆえ」

「……そうか。そうだな。ギル、お前を信じよう」

やがて、時は経ちレオルドとギルバートを新たに加えた第一部隊が再出撃する。

交代のために第二部隊と入れ替わるように第一部隊は出撃した。

森を駆けている途中、何度もレオルドは魔物の死骸を目にした。グロテスクな光景に吐き気を催すが、ここから先にはもっと酷い光景が待っている。

こんな所で挫けるわけにはいかないと、レオルドは己に喝を入れて先へと進んだ。

第一部隊が前線へと向かっている最中に、後退してきた第二部隊と合流する。

「戦況報告! 現在、第三部隊が前線で魔物と交戦中。魔物の数は二百から三百と思われる。確認できたのは、ゴブリン、コボルト、オークの三種。中には上位種も含まれているので注意せよ!」

「了解!」

下がっていく第二部隊を尻目に第一部隊は前線へと向かう。

しばらく進むと騎士の怒号と魔物の鳴き声が聞えてくる。この先で戦っているのだと、はっきりと分かる。

「総員。気を引き締めよ!」

『おう!!!』

「レオルド様。貴方はお好きなように動いてください。ただ、魔法を使う際は大きな声で指示をお願いします」

「わかった」

「では、我々は行きます!」

レオルドとギルバートを除いた第一部隊は戦線へ参加する。

出遅れた二人だったが、すぐに戦線へと合流を果たす。レオルドがそこで見たのは、返り血で真っ赤に鎧を染めて、鬼神の如く奮闘しているバルバロトだった。

「おおおおおおおおおお!!!」

ザシュッとバルバロトは眼前にいるオークを両断した。魔物の咆哮に負けず劣らずの雄叫びを上げながら、バルバロトは次の敵へと向かう。

(ひえっ……映画とかなら迫力満点で大絶賛だけど、現実で見たらおしっこちびりそう。

あっ、ここ現実だった)

少し股を濡らしてしまったレオルドは生き残る為にも戦いへと身を投じる。