軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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言質を取った二人はレオルドに何をしてもらおうかと考える。

「レオルドに何をしてもらう~?」

「そうですね~。色々あり過ぎて悩んじゃいますね」

「そうよね~。困っちゃうわよね~」

楽しそうにシルヴィアとシャルロットは話し合っている横で、レオルドは一体どのような要求をされるのだろうかと不安で胸が一杯だった。

「お願いだから俺に出来る範囲で頼むぞ……」

念を押す事を忘れないレオルド。

金銭的な要求なら大抵の事は叶えられるのでレオルドは、二人がそういう方面でお願いしてくれないだろうかと願う。

しかし、シャルロットもシルヴィアもお金には困っておらず、まず間違いなく金銭的な要求以外なものになるだろう。

果たして、レオルドが叶えられるだろうか。

「お買い物に付き合って貰うとか?」

「一日私達に付き合って貰うのはありですね」

二人の会話を横で聞いているレオルドはゾッとする。

女性の買い物に付き合わされるというものがどういう事かを理解しているからだ。

何せ、妹のレイラ、母のオリビアに散々付き合わされて苦労したからだ。

荷物持ちは当然として、商品選びに長考、そして他者の意見の要求。

これらが合わさり、心身共に疲労させるのだ。

レオルドも意見を求められ、その度にダメ出しを喰らった事か。

思い出すだけでもレオルドは辟易とする。

「…………」

出来ればそれ以外で、と頼みたい所だがレオルドに反論する権利はない。

これはレオルドにとって罰であり、二人へのお詫びでもあるのだから。

「買い物以外にシルヴィアは何かある?」

「私はその……」

自動車のお披露目会で使う会場の建設予定地に向かいながら、シャルロットとシルヴィアは先程の話題から変わらず、ずっと話続けている。

「正直に言うと、今がとても幸せなのでこのままでも構いませんわ。レオルド様が傍にいて、シャルお姉様が見守ってくれて、この素敵な時間が永遠に続けばと思っております」

「「シ、シルヴィア……!」」

レオルドとシャルロットはシルヴィアの儚く、そして幸せな発言に感極まり、思わず涙ぐんでしまう。

レオルドはあまりの愛おしさからシルヴィアを抱きしめようと踏み出すが、それよりも先にシャルロットが動いた。

シャルロットはその豊満な胸にシルヴィアを抱き寄せ、慈しむように彼女の頭を撫で始めた。

「も~う! シルヴィアったら可愛いんだから~! お姉さんが絶対、ぜ~ったい守ってあげる!」

「ふふ、苦しいですわ、シャルお姉様」

むぎゅむぎゅとシルヴィアの頭を胸に抱きしめるシャルロット。

シルヴィアはほんの少しの息苦しさはあったが、シャルロットから漂う甘い香りと優しい手つきに幸せそうな笑みを浮かべる。

母親とは違った優しさが伝わったシルヴィアは嬉しそうにシャルロットの背中に手を回して、貰った愛情に応えるように抱きしめた。

「レオルド! この子は私が幸せにするわ!」

「俺がするからお前は見守ってろ」

「だって、可愛すぎるじゃない!」

「それについては同意するが俺の婚約者だ。勝手に取ろうとするな」

「レオルド様。シャルお姉様。私の為に争わないでくださいまし」

「大丈夫よ! レオルド程度敵じゃないわ!」

「事実だが……癪に障る言い方だな」

「シャルお姉様。レオルド様も日々成長されていますので、もしかすると、という事もあるかもしれませんわ」

帝国最強の炎帝、戦神に乗っ取られた教皇、といった強敵と戦い、勝利したレオルドは国内どころか世界でも有数の強者だ。

もしかすると、シャルロットにも手が届くもしれない。

「まあ、そうね~。レオルドも強くなってるもんね~」

「……強くなればなる程、お前との差を感じて嫌になるがな」

一つ壁を乗り越え、強くなる度にレオルドはシャルロットとの差を顕著に感じていた。

やはり、世界最強の魔法使いは伊達ではないのだ。

とはいえだ、小さな歩みではあるが少しずつシャルロットの強さに近付いていっているのは間違いない。

しかし、シャルロットもレオルドと同じく成長し続けている。

レオルドの方が成長速度は早いが、それでもまだその差は埋められる程のものではない。

「まあ、まあ、その話はそれまでにして先に進みませんか?」

シャルロットの胸に顔を埋めていたシルヴィアが顔を上げて、そう言うのでレオルドは話を切り上げて、再び歩き始めた。

意図してやった訳ではないがレオルドはシルヴィアとシャルロットの不穏だった要求の話題を変える事に成功していた。

その事に気がついたのは歩き始めて、しばらくの事であった。

「(このまま有耶無耶になってくれればいいのだが……)」

人生そう上手くはいかないものだ。

三人は歩き始めて下らない雑談で盛り上がっていた時、ふと思い出したかのようにシャルロットがシルヴィアへ顔を向ける。

「そういえばさっきの話なんだけど、レオルドに何させる~?」

「ヒュッ……」

その話は出来れば一生忘れていて欲しかったが、そう甘くはないらしい。

悪夢再びといった感じでレオルドは呼吸が止まってしまう。

「でしたら、先程も話していたようにこの三人で買い物へ行きませんか? レオルド様は勿論、荷物持ちで拒否権は無しです」

「アッハイ……」

「シルヴィア~。もっと我が儘言っていいのよ~? ここには私達しかいないんだから、少しくらい羽目を外しても大丈夫よ!」

「え、そう言われましても……」

「もしかして、何かイヤらしい事でも考えてたのかしら~?」

「そ、そんな事はありませんわ!」

「本当に~? 怪しいわね~……」

シャルロットの問いかけにシルヴィアは顔を赤くしてソッポを向く。

その反応にシャルロットは怪訝そうに眉を顰めてシルヴィアを見詰める。

ジ~ッと見詰めてくるシャルロットにシルヴィアは顔を背けたままだが、視線に耐えられなかったのか、チラリと一瞥する。

「あら~、やっぱり、イヤらしい事を考えてたのね~」

「ち、違います! そのような事は決して考えていません!」

「そうやって強く否定されると、益々怪しくなるわね~」

「シルヴィア。俺はエッチな事なら大歓迎だぞ」

親指をグッと上げてサムズアップするレオルドは満面の笑みである。

対してシルヴィアはレオルドの露骨なからかい交じりの笑みに腹を立てた。

「レオルド様! そう言う事はじょ、冗談でも言わないでくださいまし!」

「そうよ! レオルド、それはセクハラよ!」

「突然、敵に回るな……」

最初にからかっていたはずのシャルロットが敵に回り、レオルドも虚を突かれてしまった。

呆れたように溜息を吐くレオルドはシャルロットを見てから、シルヴィアに目を向けて頭を下げる。

「シルヴィア。すまなかった。先程の発言は確かに不適切だった」

「い、いえ、分っていただけたのなら……」

「シルヴィア、ちょっと動揺してる辺り、やっぱりエッチな事を――」

「シャルロット!」

「シャルお姉様!」

レオルドとシルヴィアの二人から、お叱りを受けたシャルロットは流石にこれ以上茶化す事は出来ないと判断して素直に謝った。

「ごめんなさ~い」

「素直に謝れるのはいい事ですよ。シャルお姉様」

まるで小さな子を褒めるようにシルヴィアはシュンと頭を下げているシャルロットの頭を撫でた。

「おおう……。流石はシルヴィアだ」

世界最強の魔法使いの頭を撫でた事があるのは世界でもシルヴィアとシャルロットの母親くらいだろう。

レオルドはヘッドロックを決めているが撫でた事は一度もない。

むしろ、ヘッドロックをする方が相当な勇気が必要だろう。

普通ならシャルロットの逆鱗に触れて消し炭にされるのがオチだ。

そうならない辺り、やはりレオルドとシャルロットは特別な関係と言える。

「……でも、やっぱり本当は考えてたりしたんでしょ?」

「…………秘密です」

「大丈夫よ! 防音結界を張ったわ! これでレオルドにも聞こえないから私にだけ本当の事を教えて」

「…………ほんの少しだけ考えましたわ」

「キャー! シルヴィアのエッチー!」

「シャルお姉様!」

「ウフフ、冗談よ。シルヴィアもそう言う事に興味があってもおかしくないわよね。厳しいお目付け役がいるから大変だろうけど」

厳しいお目付け役と言うのはイザベルの事だろう。

確かにイザベルがいればシルヴィアはレオルドと気軽に触れ合う事は出来ない。

シルヴィアからすればままならない事だが、婚約しているとはいえ未婚の女性であるのだから仕方のない事だ。

「イザベルは少し厳しすぎると思います」

「まあいいじゃない。それだけ貴女を大事に思っている証拠よ。多分、レオルドが貴女を泣かせたら、死ぬ覚悟で報復するんじゃないかしら」

「そうはならないよう幸せにしてもらいますわ」

「安心して。必ず、貴女は幸せになるわ。ならなかったら、その時は私がレオルドの尻を蹴り上げてやるわ!」

「その時は是非ご一緒させてください」

「それがいいわね! 幸せにしなかったら尻を蹴り上げましょう!」

レオルドは防音結界のおかげで二人の会話を聞く事が出来なかったが、聞かなくて良かっただろう。知らない方が幸せという言葉もあるのだ。