軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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会議が終了し、レオルドはマルコと共に会議室を飛び出して、自動車を製造している工場へ向かった。

ゼアト郊外に建てられた工場ではレオルド主導のもと、自動車が作られており、マルコが工場長として製造に携わっている。

レオルドも知識を有しているが領主という事もあり、今はほとんどマルコに任せて、領主の仕事に専念していた。

「完成間近と聞いたが実用段階まではどれくらいだ?」

「そう時間は掛からないと思いますよ。テスト走行をクリアすれば販売する事も可能です」

「ほう! それは楽しみだな!」

ワクワクが抑えきれないレオルドは普段より歩く速度が速かった。

少し遅れるようにマルコはレオルドの後ろをついていく。

いつもより歩く速度が速い事に気がついたマルコは、レオルドも楽しみにしている事が嬉しくて微笑みを浮かべた。

「おおーッ!」

辿り着いた場所ではローラーを使って最後の耐久テストを行っていた。

その光景を目にしたレオルドは感動に目を輝かせている。

「今は時速何キロで走行距離は何万キロだ?」

「時速120キロで走行距離は90万キロってところです」

「ほう! もうそこまで行ったか!」

「はい。やはり、素材を変えたのが良かったですね」

以前は鉄といったありふれた素材で作っていたのだが、如何せんレオルドの知識だけでは車の完成には辿り着けなかった。

そこで思い切って鉄ではなく別の素材で作ってみようとアプローチを変える事にしたのだ。

その結果、見事に成功し、今に至っている。

「材料は確かミスリルだったか?」

「それだけじゃないですよ。他にも色々と使ってます」

「ふむ。しばらく携わってなかったから忘れているな……」

最初の頃は一緒になって作業をしていただけにレオルドは寂しそうに息を吐いた。

「何言ってるんですか。レオルド様がいたからここまで来れたんです。皆、その事は忘れてませんよ」

「そうか……そうか! そう言って貰えるのは嬉しいな!」

誰一人忘れてはいない。

レオルドがいたからこそ実現できたことだという事を。

そして、苦楽を共にしてきた仲間だという事も。

「それで量産化は出来そうか?」

「難しいですね~。ほとんどハンドメイドなんで時間がかかり過ぎます」

「う~む。なんとかオートメーション化して量産体制を整えないといけないか……」

「魔法でいくらか出来ますけど、細かい作業は難しいですね。精密部品なんか特に」

「ルドルフとシャルロットと相談してみるか~」

「それがいいと思います。あのお二人なら何とかしてくれるでしょ」

「しかし、不安ではないか? 爆弾魔と問題児だぞ?」

苦虫を噛み潰したような顔をするレオルドを見てマルコは「こいつ何を言っているんだ?」と顔を顰める。

「レオルド様も人の事言えないと思いますけど?」

「俺が? ハッハッハッハ。面白い事を言う。俺はあの二人に比べたら常識人だぞ」

「……ソウデスネ」

もう何を言っても無駄であるとマルコは察し、この話を切り上げる事にした。

「それよりもレオルド様。こいつの走行テストを行うサーキットの建設はどうするんですか?」

「そうだな……。明日からでも始めようと思う。こういうのは早い方がいいからな!」

「場所は決まってるんですか?」

「ゼアトにはまだまだ未開発の土地が多くあるからな。場所については問題ない」

「規模はどれくらいにするんです?」

「一応、お披露目もあるから楕円形の大きなサーキットにするつもりだ。今後は娯楽としても取り入れたいからな!」

「娯楽って車をですか?」

「ああ、そうだ。どの車が一番速いかを競い合うレースなど見物だろう?」

「確かに。面白そうですね。でも、まだまだ車は少ないですよ? そこはどうするつもりですか?」

「実は車の製造方法を公表するつもりでいる」

「えッ!?」

マルコは驚きにたじろいでしまう。

自動車の製造はこれまで秘匿され、厳重に警備や監視を配置して行われていた。

革新的な発明である事は勿論だが、それ以上に莫大な利益を生みだすだろう。

それこそ、転移魔法陣に匹敵するくらいには利益を生むとマルコは見込んでいる。

転移魔法陣は安全に遠方への移動を可能にしてくれたが、やはりどうしても移動費用が高い。

庶民にはおいそれと使う事は出来ない。

悪用されないように厳重な警備を配置しており、堅牢な建物で守られているので維持費も高い為、どうしても使用料が高くついてしまうのだ。

しかし、そこに自動車が登場すれば話は変わってくる。

レオルド達が開発した自動車はミスリルを始めとした希少な鉱石を使用しており、かなり頑丈に出来ている。

そのおかげで多少魔物に襲われてもビクともしないものとなっていた。

しかも、販売する事を視野に入れて開発していたのでコストはかなり抑えられている。

とはいえ、決して安くはないが一度買ってしまえば壊れるまで使えるので長い目で見ればお買い得な商品だ。

「あの、いいんですか? 自動車はきっと売れると思います。それなのに製造法を公開しても本当にいいんですか?」

「利益の事を考えてるのか?」

「はい。独占しようと思えば出来ますよね?」

「そうだな。でも、それじゃあ面白くないだろ?」

「面白くない? どういう意味ですか?」

「簡単な話だ。色んな企業が切磋琢磨した方がより良いものが出来るだろう? そうすれば俺達が作ったものより凄いものに出会えるかもしれない。その方がワクワクするだろ」

そう言われてマルコは納得してしまった。

そもそもレオルドは既に莫大な富を築いているのだ。

今更、自動車販売で生まれる利益など微々たるものではないが、独占するほどのものでもないのだろう。

「とはいっても、しばらくはうちの独占状態だがな!」

「まだ完成してないのに気が早いですよ。レオルド様」

「そうだったな!」

マルコの指摘にレオルドは豪快に笑う。

釣られてマルコも笑い、しばらく二人で笑っていた。

「おっと、笑っている場合ではなかったな。そろそろ、見に行こうか」

「そうですね。100万キロを突破すれば十分でしょうから」

「完成が実に楽しみだな!」

レオルドとマルコはローラーで耐久テストを行っている所まで行き、今後について話し合う。

「ところでレオルド様。テスト走行は誰がするんですか?」

「勿論、俺だ!」

ズビシッと自分を勢いよく指差すレオルド。

とても純粋な笑みを浮かべており、拒絶出来そうにない。

「やはり、一番に運転したいじゃないか!」

「一番最初に運転した奴はあそこにいますけど……」

「試作品をだろ! 完成品ではないだろう!」

「まあ、そうですけど……」

細かい事に拘るレオルドに対してマルコは苦笑いである。

「とりあえず、サーキットを作ったら俺が一番最初に走る!」

「それは分かりましたけど、お披露目するんですよね? 王様にするんですか?」

「ああ。一応、本家であるハーヴェスト公爵家と王族を招待する予定だ。というか、多分呼ばないと何してくるか分からん」

「今のレオルド様なら問題ないのでは?」

「武力でなら問題ないが経済や政治で攻められたら面倒ではある」

面倒なだけで勝てない訳ではない。

今のレオルド率いるゼアトには数多くの臣下がいる。

そこに王族のシルヴィアまでいるのだから負けるはずがない。

数で攻められると厳しい戦いにはなるだろうが、帝国との戦争で披露した魔法を使えば勝利は間違いないだろう。

もっとも、現国王はレオルドと敵対する事は決してない。

勝てない事を理解しているから。

「まあ、スポンサーになってもらわらないと困るからな!」

「ああ。投資してもらうんですね」

「そうだ。向こうにも利益があるんだから断るはずがない! それに自動車を欲しがる事は間違いないからな!」

絶対的な自信があるレオルドは高笑いを上げる。

庶民向けの自動車と富裕層向けの高級自動車を普及させれば、経済が活性する事は間違いない。

そして、国王及びに貴族は新しいものが好きだ。

盛大に吹っかける事が出来ると確信しているレオルドは笑いが止らなかった。