軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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先行した騎士が戻ってくる。バルバロトとレオルドに他の騎士達は先行した騎士から報告を聞いた。

「報告します。ここから先に真っ直ぐ進んだ場所にゴブリンを三匹確認しました。その内、一匹は錆びた剣を装備しています」

「他にはいなかったか?」

「はい。周囲を探索しましたが三匹だけのようです」

「そうか。ご苦労」

「はっ!」

バルバロトは先行した騎士から情報を貰い、労った後は顎に手を当てて思案する。チラリとレオルドに目を向けて、判断を下す。

「レオルド様。報告を聞いたと思いますが敵はゴブリンが三匹。その内一匹が武装しています。討伐しましょうか」

「ん、ああ」

「勿論、レオルド様お一人で」

「いやいや、待て待て。最後は聞き捨てならんぞ!」

「大丈夫です。今のレオルド様ならゴブリン三匹程度相手になりませんよ。自信を持ってください」

「そういう話じゃない! 俺一人というのは流石に厳しいだろう。初めての実戦なんだぞ!」

「全く問題ありません。念のために回復術士を連れてきていますし、多少の切り傷ならば御安心を」

「話を聞いてくれ! おい、他の者達も何か言ってくれ!」

レオルドは必死にバルバロトを説き伏せようとしているがバルバロトは聞く耳持たず。

これでは、自身の身が危険に晒されると判断したレオルドは周囲の騎士に助けを求める。だが、騎士達はレオルドに目を向けられても逸らすばかり。

誰も助けてくれないとわかったレオルドは絶望に染まる。どうにかして、この窮地から抜け出さなければと覚悟を決めるが、バルバロトの前に儚く散る。

「言っておきますがここで逃げれば次の稽古はギルバート殿と話し合う事になりますからね」

「ふ、俺に任せておけ。ゴブリン程度、瞬殺してくれるわ」

「その意気ですよ。レオルド様」

レオルドは内心泣いていた。逃げても地獄、逃げなくても地獄。最早、レオルドに安息の地はない。レオルドは精一杯の虚勢を張ることしか出来なかった。

そうと決まれば話が早い。調査隊一行はバルバロトを先頭にゴブリンの元へと進む。逃げ出したい気持ちで一杯のレオルドは心臓をバクバクと鳴らせながら進む。

やがて、ゴブリンがいる場所へと調査隊一行は辿り着いた。報告のあったように調査隊の視界の先に三匹のゴブリンがうろうろと歩いていた。

恐らく、食料でも探しているのだろう。先程から、三匹は周囲をキョロキョロと見回してはお互いに話し合っている。

レオルドはワイバーン以来となる魔物にゴクリと喉を鳴らしていた。画面の向こう側に描かれていたゴブリンが視界の先にいる感動と、これから戦わねばならないといった恐怖の感情が入り混じっていた。

「レオルド様。落ち着いてください」

「バ、バルバロト。やはり、俺には――」

「俺の目を見てください」

震えて焦点が定まっていないレオルドの顔を掴んでバルバロトは無理矢理レオルドと目を合わせる。

(恐怖に呑まれている。このままだと本当に危ないな……)

顔を固定して視線を合わせているがレオルドは恐怖により視線が定まらない。バルバロトの目を何度か見るもののすぐに逸らしてしまう。

「レオルド・ハーヴェスト!」

突然、怒気を含んだ声でフルネームを呼ばれてビクリと肩を震わせるレオルドは目の前にいるバルバロトに釘付けとなる。

「よく聞け。お前はゴブリンが怖いと思うか?」

完全に縮こまってしまったレオルドは言葉が出なくなっていた。機械のようにコクコクと首を動かしてバルバロトの質問を肯定する。

「ならば、俺がゴブリンより怖くないと言う事か? ギルバート殿がゴブリンよりも下だと思うか?

お前はいつも誰と戦っている? 思い出せ。日々の稽古を。お前が常日頃相手にしているのは誰だ?

俺とギルバート殿だ。俺達二人に比べたら、あそこにいるゴブリンなど恐れる相手ではないだろう?」

「それは、そうだが……」

(ああ、きっとレオルド様はこれから命のやりとり、殺し合う事を恐れているに違いない)

バルバロトの推測は当たっていた。レオルドはバルバロトに言われて少しは勇気付いたが、やはり初の実戦に命のやりとり、殺し合いに怯えている。

レオルドは真人の記憶があり、人格に強く影響を及ぼしている。現代日本という平和な世界で育った真人の記憶がレオルドの心を恐怖で縛り付けていた。

(なにか……何か決定的な理由がいる……)

今のレオルドを動かすには別の要素が必要だとバルバロトは推測する。しかし、その要素が分からない。

「レオルド様。以前、お屋敷にワイバーンが襲撃してきた際には勇敢に立ち向かったと聞いておりますが?」

「あ、あれはシェリアを助けねばと無我夢中になってたからで……」

「なるほど、そういうことですか」

バルバロトはレオルドの話を聞いて納得した。要は恐怖心を越えるような刺激を与えてやればいいのだと。

答えが分かったバルバロトは驚きの行動に出る。

「何を……している?」

「レオルド様が戦わないというならば俺は死にます」

バルバロトは身に着けていた鎧を脱いで、武装を完全に解除した状態でレオルドの横を抜けてゴブリンの方へと向かう。

「な、何を考えている! 馬鹿な真似は止せ!」

聞く耳持たずとバルバロトは足を進めていく。やがて、バルバロトはゴブリンの元へと到達した。

ゴブリンの一匹が近付いてきたバルバロトに気が付いて爪で無防備なバルバロトを引っかいた。

「なあっ!?」

本当に何もしないバルバロトにレオルドは驚愕する。冗談でもなんでもない。レオルドが助けてくれると信じた上での行動だ。

「だ、誰か! バルバロトの救援に!」

それでも自分で助けに向かおうとしないレオルドは近くにいる騎士へと指示を飛ばす。

「恐れながら、その指示には従えません。これはバルバロト殿が望んだ事ゆえに」

「そ、そんな馬鹿な話があるか! このままじゃバルバロトは――」

「レオルド様。決断の時です。このままバルバロト殿を見殺しにするか、それともご自身が助けに向かわれるか。さあ、お決めください」

「あ……あぁ……」

眼前にいる騎士に迫られ、今もゴブリンに痛めつけられているバルバロトと騎士を見比べるレオルド。

(くそ、くそ、くそ! こんなどうしようもない俺を信じてくれたバルバロトを死なせるわけにはいかないだろう!

勇気を出せ!

覚悟を決めろ!

俺が……俺が!

やるしかねえだろうが!!!)

戸惑いはない。覚悟は決まった。レオルドは自分を信じてくれた男の思いに答えるために走り出した。