軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

295

「ンバボオ〜〜〜〜ッ!」

「ガガボ〜〜〜〜〜ッ!」

どこぞの蛮族のようにレオルドとゼファーは上半身裸で腰巻だけしか着ておらず、頭には被り物をしていた。レオルドは獅子のような被り物でゼファーは鹿のような被り物だ。二人は焚き火を中心として奇妙なダンスをしながら焚き火の周りをグルグルと回っている。この世の終わりのような光景に誰もが腰を抜かすであろう。

という事にはならず、レオルドとゼファーは食料を求めて森の奥まで来ていた。しかし、獲物が見つけられないまま時間だけが過ぎていた。

「なにもいないな」

「だね。まあ、野生動物だから僕たち二人の存在を察知して隠れたんじゃないかな?」

「む……そういうこともあるか」

「とりあえず、二手に分かれる? 別に一緒に行動したところであまり意味はないし」

「ふむ。ならば、俺は海にでも魚を取りに行こう」

「釣りでもするの? なら、今夜は魚にしようか」

「まあ、それでいいんじゃないか?」

急遽、献立を魚に変更して二人は森から海へ方向転換する。

早速、海辺に辿り着いた二人は道具を作成していく。レオルドは土魔法で 銛(もり) を作り、ゼファーは風魔法で木を加工して竿を作った。

「器用なものだな。風魔法だけで竿を作るとは」

「銛の方が良かったかもね。糸も針も作らなきゃだし」

「その辺に落ちてるかもしれないから頑張って探すんだな」

「そうするよ。じゃあ、頑張って」

「ふっ、任せろ!」

ゼファーは足りない道具を探しに海辺を歩く事にして、レオルドはパンツ一丁になると銛を片手に海へ飛び込んだ。

今更なのだが、この世界は異世界ではあるが日本人が考えたなんちゃって中世ヨーロッパ風な世界だ。故に海の生き物の生態系もおかしいことになっている。

「グボバァッ!」

海に勢い良く潜ったレオルドにまるで魚雷のようにマグロが激突した。身体強化を施してはいたが、油断していたところに思わぬ一撃を受けてしまったレオルドは豪快に息を吐いて海水を飲んでしまう。

緊急事態にレオルドは急浮上しようとする。しかし、そこへ再びマグロ魚雷である。レオルドの背中目掛けてマグロは突進する。海の中で魚の泳ぐ速度に敵うはずもなくレオルドは避ける事もできない。

「オボォ!」

まさか、まさかである。直近の死亡フラグである炎帝という強大な敵に打ち勝ったレオルドだったが、ここで新たなる死亡フラグが立ちはだかった。

(お、おのれぇ、たかが魚ごときにぃ!)

悔しそうに歯を食い縛りながらレオルドは空気を求めて海面に向かう。その度にマグロ魚雷を受ける事になったが、日々の鍛錬に数々の戦場を乗り越えたレオルドは見事に耐え切った。

「プハッ……! 一先ず陸に上がろう」

海では不利だと悟ったレオルドは陸へ上がり難を逃れる。

「くそ……! 雷魔法で! いいや、ダメだ。なんかそれだと負けた気がする」

勝ち負けの話ではない。食うか食われるか、生きるか死ぬかの話なのだ。レオルドはその事を忘れており、ただ己のプライドを守る為に戦う事を選んだ。

「負けたままでは許さん! 見てろよ……!」

ちっぽけなプライドを守る為にレオルドは怒りに顔を歪ませて、握り締めていた銛をさらに力強く握り締めた。そして、次は勝つと意気込んで海へもう一度飛び込んだ。

ゴーグルもないので視界はぼやけて見えないが、それでもこちらへ向かって来る 黒い影(マグロ) をレオルドは視認した。銛をマグロに向けて構え、接近してきたところへ渾身の突きを放つ。

しかし、マグロは急停止から急降下してレオルドの渾身の突きを見事に避けた。そして、空ぶったレオルドに向かって加速。

「オブゥッ!」

腹にマグロの突進を受けてレオルドは海面へ押し上げられると、そのまま海上へ突き抜けた。そのあと、放物線を描くようにザッパーンッと大きな水飛沫を上げてレオルドは再び海へ落ちる。

「見事なり……」

プカプカと浮きながらレオルドは敵であるマグロを称える。たかが魚と侮っていたがマグロは強敵であった。だが、まだ負けを認めてはいない。レオルドは再び海へ潜りマグロと対峙する。

銛を構えてジッと待つ。レオルドは集中をして、ただその時が来るのを待った。そして、ついにその時が訪れる。

海の中を風のように駆け抜け、一条の流星となったマグロがレオルド目掛けて向かって来る。それに気がついたレオルドは極限までに高めた集中力で銛を構えて迎え撃つ。

(さらば! 強敵(とも) よ!!!)

ついに激突する両雄。互いに一切の手加減なく放った一撃は海を轟かせた。

その音は遠く離れていたゼファーの耳に届いた。

「わ! 今の音はなんだろ? 彼が潜った方向から聞こえてきたけど……とりあえず様子を見に行こう」

釣りをしていたゼファーは音が聞こえてきた方向へ向かう。

すると、ゼファーが見たものは海に浮かび、銛に刺さったマグロを天に掲げている一人の 男(アホ) がいた。

「わ~、凄いの捕まえたね」

驚くゼファーであったがレオルドが捕まえたマグロを見て喜んだ。これで今晩の食料は確保できたと。

しかし、流石に二人でマグロ一匹は無理である。到底食べきれる量ではない。どうにか保存しておかないと腐るだけで勿体無い。

ゼファーはどうしたものかと悩んでいた時、シャルロットとシルヴィアが転移してくる。思わぬ来客にゼファーは驚いたがレオルドが来ていたので今更かと呆れて笑った。