軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

260

四人が手分けをしてセツナを探している頃、レオルドは必死にグレンから逃げていた。

「ええい、くそ! くらえ!」

逃げながらレオルドは電撃を放つ。しかし、グレンが障壁を張って電撃を防ぐ。それを見て、レオルドはますます苛立ちを募らせる。

(くそ! このままじゃいつか捕まって殺される! どうにかしなければ!)

城内を駆け回り、グレンから逃げるレオルド。その道中で何度も兵士に見つかり、その度に兵士へ電撃を浴びせて気絶させている。

城に務める兵士は屈強な者が多いのだが、今のレオルドからすれば雑兵に過ぎなかった。確実に強くなっているのだが、戦っている相手が格上すぎるのでレオルドはよくわかっていない。

レオルドは曲がり角を曲がって土の壁で道を塞ぐ。そのまま、前方にいた兵士をなぎ倒してすぐ側のドアを開けて中に逃げ込む。

「ふう……。これで少しは時間が稼げるか?」

ずっと走りっぱなしだったので疲れていたレオルドは一息ついた。しかし、レオルドは自分がどのような部屋に入ったかを理解していなかった。

一息ついて休もうとしているレオルドの耳に驚きのような叫びが届く。

「だ、誰だ!」

「ん? しまった。誰かいたのか!」

下を向いていたレオルドは顔を上げて前を向くと、そこには家族らしき集団が固まっていた。

「そ、外に兵士がいたはずだ! 兵士達をどうした!」

「お騒がせして申し訳ない。私の名はレオルド・ハーヴェスト。兵士は邪魔になるかと思いましたので気絶してもらいました。ところで貴方方は?」

「レオルド・ハーヴェストだと? あのアルガベイン王国の金豚か?」

(ひっさしぶりに聞いたな、おい! まあ、俺が痩せたのはここ最近だからな。でも、転移魔法を復活させた件で有名にはなったと思うんだけど……? あ、名前は知っていても顔までは知らないってことか)

ひさしぶりに聞いた呼び名にレオルドは顔を顰めることなく小さく笑った。

「なにを笑っている?」

「いえ、随分と懐かしい呼び方をされたもので。それよりもこちらの質問に答えていただきたいのですが?」

「そんなことよりも、どうしてお前がここにいるんだ! 今、王国と帝国は戦争の真っ只中のはずだぞ。それなのにどうしてここに?」

「ええ? まあ、何と申せばいいのやら……」

「いや、すまない。さっきから城内が騒がしいのは君のせいなのだろう? 恐らく君は直接皇帝を押さえにきたのではないかな?」

(この人、鋭いな〜。いや、よっぽどの馬鹿じゃない限りはすぐに察しがつくか?)

どうにか誤魔化そうとしたレオルドだったが、ここにいるはずのない人物がいる時点である程度は予想がつくだろう。

「じゃあ、どうします? 私を捕まえますか?」

もう自分が侵入者だとバレてしまったのでレオルドは開き直って目の前にいる男へ問い掛けた。

しかし、目の前にいた男は首を横に振るとソファに座りなおした。

「いいや。私は君を捕まえないよ。そもそも、私達は今の皇帝に捕まっている身だからね」

「それはなんと! でしたら、協力願えないでしょうか? そうすればお助けします」

「無理だ。皇帝の下には私の父、炎帝のグレンがついている。しかも、古代の魔道具で皇帝は父を意のままに操っているんだ! 悪いことは言わない。今すぐ引き返すんだ……」

(おう……! まさか、グレンの家族だったか! 人質に取られている事は知っていたけど、こんな所で遭遇するとはな~)

思い掛けない出会いにレオルドは驚いたが、協力できない訳を知ることができた。確かに実の親子ならば、その実力は誰よりも理解しているであろう。ならば、諦めるのも無理はない。

だがしかし、レオルドはその程度のことで諦めたりしない。今は逃げているが、それは諦めたからではない。確実に勝利するために逃げる事を選んだのだ。

「そうですか。残念ですが仕方がありません。それでは、私はこの辺で――」

ドアを開けて外を確かめようとしたら、丁度グレンがレオルドを探していたようでキョロキョロと首を動かしていた。

運が悪い事にレオルドがドアを開けたタイミングでグレンの目がレオルドに向いた。それを察したレオルドは慌ててドアを閉める。

「出て行くのではなかったのですか?」

「本当に申し訳ないが今は伏せてください!!!」

「え?」

膨大な魔力を感知したレオルドは全力で障壁を張り巡らせた。すると、次の瞬間ドアの向こう側からグレンが魔法を放った。

尋常ではない火力の魔法がレオルドを襲う。グレンの放った炎は部屋ごとレオルドを燃やし尽くすかのように思われたが、レオルドはなんとか耐え凌いだ。

城内の一部屋が丸ごと焼けたがグレンは気にすることなくレオルドの下へと向かう。しかし、途中で足を止めてしまう。

そこにはグレンの家族がいたからだ。隷属の首輪によって操られてはいるが家族を見間違える事はない。

「そこだーーーっ!!!」

家族の姿を見て一瞬だけだが動きを止めてしまったグレンを見てレオルドは、その僅かなチャンスを見逃さず鋭い蹴りをグレンの腹部に叩き込んだ。

レオルドの蹴りをまともに受けたグレンは身体をくの字に曲げて吹き飛び壁に激突した。

(なんで止まったんだ? 俺の後ろにいた家族を見たからか? だとしたら、隷属の首輪の効果を家族愛が上回ったってことか? そんなこと有り得るのか?)

試してみたいところだが、下手に試せばグレンが激昂してしまう恐れがある。なんと言っても家族の姿を見て隷属の首輪に抗い動きを止めてしまうほどだ。家族を盾にでもしようものなら、どのような風になってしまうのか想像もしたくない。そう考えるレオルドは今の内に逃げることを決めた。

「すいませんが私はご覧の通り狙われているので、逃げさせてもらいます!」

手短に別れの挨拶を済ませてレオルドはグレンの家族の前から走り去る。逃げていくレオルドを目にしたグレンは迅速に体勢を整えてレオルドの背中を追いかける。その光景を見ていたグレンの家族たちはあまりの出来事に誰も言葉を発することが出来なかった。