軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

148

四人が辿り着いた場所はレオルドの屋敷からそう遠く離れていない場所で周囲には何もない場所だった。空き地になっているので、ちょうど良かったのだ。

さて、これからレオルドはサーシャのデザインを元に作業を行っていくことになる。まずは基礎工事からだろうが、そこは魔法でどうとでもなる。流石は奇跡の所業、魔法である。面倒な作業も手間が省けて大助かりだ。

では、次にメインとなる外観作りだ。レオルドはサーシャが画いた通りのデザインを作っていく。サーシャは上下左右の全ての方向からのデザインを描いてくれているおかげで作業は捗った。

しかし、順調に思えた作業もサーシャからの細かい注文により負担が大きくなっていく。

「す、すいません……こ、ここはこうして貰えると……」

「ああ、分かった」

「あの、そこはそうじゃなくてこうして……」

「む、そうか」

「えっと……あそこの部分はもっと――」

途中からレオルドの顔から表情が消え去った。無心でサーシャの指示通りに作る 機械(マシン) と化していた。その様子にシャルロットは大爆笑である。

「アハハハハハハッ! ひぃ〜、ダメ。お腹痛い!」

「ご、ごめんなさい。領主様であるレオルド様に……私つい甘えてしまって……」

「気にするな。確かに立場上俺の方が上ではあるが、今この場ではお前が監督だ。俺を上手く使って理想の家を手に入れろ」

「で、でも……」

流石にサーシャにはそれほどの度胸がない。レオルドがいくらこき使っていいと言っても、相手は領主であり伯爵だ。平民のサーシャからすれば雲の上の存在なのだ。

助けを求めるようにサーシャはマルコへと顔を向けると、マルコはサーシャに力強く説得した。

「レオルド様がそう言ってるんだから、サーシャ。遠慮なくやっていいんだ」

「い、いいのかな?」

「うん。そうだろ、レオルド様?」

「ああ。ただし、後で一つ頼みたい事があるから、それは覚えておいてくれ」

「オイラにか?」

「いいや、サーシャにだ。この話は終わった後に話そう」

会話を挟みながらもレオルドは作業を続けていく。ただ、何度もダメ出しをされては修正を何度もしている。ストレスでレオルドの頭皮は不味いかもしれない。流石に 父親(ベルーガ) は禿げている様子がないのでレオルドも遺伝していれば問題ないだろう。

ここまで時間が掛かってしまったが、やっと外観が完成した。まだ、外観だけと知ってレオルドは膝から崩れ落ちそうになった。

「ねえ~レオルド。何人かで手分けしてする作業だって、ようやく理解できた?

魔力が沢山あっても出来る事は限りがあるの。だから、沢山の人が必要なのよ」

「……なら、手伝ってくれるのか?」

「さあね~」

(ああ、この感じはお願いすれば手伝ってくれるやつだ。あとで、何か要求されるかもしれないけど、ここは素直にお願いしよう)

頭の後ろに両手を組んでそっぽを向くシャルロットは、チラチラとレオルドを見ていた。その様子にレオルドは、お願いすれば手伝ってくれるだろうと確信する。

「すまん。手伝ってくれ」

「ん~、どうしようかな~?」

あと少しといったところだろう。シャルロットがお願いを聞いてくれるまで。

「頼むよ……」

詫びるように目線を落とすレオルドにシャルロットは悪戯が成功したかのように笑い、家作りを手伝う事を了承する。

「んっふふふ~。そこまで言うなら仕方ないわね~。私に任せなさ~い!」

自慢の胸を揺らすように見せ付けるシャルロットは自信満々に笑っている。その姿を見たレオルドはどこまでその自信が続くのか楽しみになっていた。

外観工事が終わり、次は内装工事に入る。レオルドとシャルロットの二人掛りで作業が進んでいく。

しかし、サーシャは相手が世界最強の魔法使いであるシャルロットであろうとも引くことなく意見を述べる。

「あ、あの……そこ間違ってます」

「ええっ!? どこどこ?」

「こ、ここです……」

シャルロットが担当していた箇所の間違いを指摘するサーシャは恐る恐るといった様子ではあるが、しっかりと間違っている箇所を教えてあげた。

「これ?」

「は、はい……」

(え~! すっごい細かい部分なんだけど!

別にちょっとくらいはいいんじゃないかしら?)

修正をして欲しいと頼まれてもシャルロットが作った箇所はデザインと大した差はなかった。だから、シャルロットは妥協させるべきだろうと反論する。

「ねえ? これくらいなら修正する必要はないんじゃないかしら~?」

「だ、ダメです……」

「ど、どうして?」

「均等に取れているバランスが崩れちゃうから……」

「ええ~。でも、そこまでじゃないような気がするんだけど?」

「おい、シャル。俺達は黙って言う事を聞いてればいいんだよ。お前の意見なんて誰も聞いちゃいないんだから」

「ちょっと、それどういうことよ~!」

「あ、あの! 直してもらえませんか?」

「うっ! もう! 直すわよ。直せばいいんでしょ~!」

泣き言を言うようにシャルロットは作業を再開していく。こんなことになるなら、安易に引き受けなければ良かったと後悔しているシャルロットを見ながらレオルドは笑った。

「その、レオルド様も間違ってます」

「……」

「アハハハハハッ! 人のこと笑えないわよね~」

悔しそうに歯軋りするレオルドをシャルロットが高笑いをして見下す。二人は口喧嘩をしながらも作業を続けていった。