軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

046

場所を変え、今度はmobとの戦闘を想定した〝対魔物部屋〟へとやってきた二人。

「攻撃能力も高いし、スキルも使いこなせてるから文句なしの合格ね。次はモンスターを想定して戦ってもらうわ。攻撃されてもLPの数字が減るだけで、実際は痛くも死んだりもしないから安心してね」

「わかりました!」

再び元気よく入っていく修太郎。

キャンディーは食い入るようにその小さな背中を見つめている。

(ちょっと意地悪だけど、複数想定に設定しちゃおう)

本来であればパーティ戦闘は 盾役(タンク) でもない限り 攻撃役(アタッカー) へ複数の敵が向かってくる状況はイレギュラーなのだが、キャンディーはそれよりも修太郎の実力の 底(・) を見たい気持ちの方が優っていた。

ポリゴンが集合していく演出と共に現れたゴブリン、ゴブリンメイジ、ウルフの三匹。

修太郎は再び剣を抜き、構える。

ゴブリンとウルフが駆け出した。

修太郎も同じように駆け出す――

「《連撃》」

視線を左右に動かした後、修太郎は青色に光るその剣をウルフの顔面にたたき込み、弾け飛ぶウルフには見向きもせず返す刀でゴブリンの体を断ち切った。

(ノーアシストの強みを最大限に発揮してる! それに 優先度(プライオリティ) の理解もある。この子、間違いなく戦闘慣れしてるわね)

その戦いぶりに震えるキャンディー。

ウルフはまだ少しLPがあるようだったが、修太郎はジグザグに走りながら、今度はゴブリンメイジに近付いてゆく――

ゴブリンメイジの前に魔法陣が現れ、火の壁が立ち昇る。しかし修太郎は速度を緩める事なく 斜めに(・・・) 飛び上がり、火の壁を飛び越えるようにして剣を掲げた。

「《断頭剣》」

飛翔からの急転直下――

ゴブリンメイジの体を真っ二つに叩き斬ると同時に、着弾点から発生した赤色の斬撃が地面を滑り、今まさに起き上がろうとしたウルフの体に吸い込まれた。

二体のmobが同時に爆散する。

ゆっくりと立ち上がる修太郎はキャンディーへと振り返ると、笑顔で手を振った。

(なんて子なの……ッ!)

一連の動きを見ていたキャンディーは怖気を覚えて身震いする――特に最後のスキル《断頭剣》の中で見せた修太郎の動きに、キャンディーは末恐ろしい才能を見出していた。

修太郎があの場面で斜め上へと飛んだ理由……それが《断頭剣》の一撃で、ゴブリンメイジだけでなくウルフまでを確実に倒すためだと分かってしまったから。

断頭剣はレベル30で覚える剣術スキルであり、特徴としては攻撃前に大きく跳躍するモーションから始まる。その後、加速度的に落下し地面を抉るように打ち付けられた剣の延長線へ斬撃が飛んでいくというもの。

(あのまま真っ直ぐ上に跳んでいたら、延長線にいないウルフには当たらなかった……彼は全て分かってて、あの位置取りをした)

当然そんな事は誰でもできるわけではない。

戦いを何手先も読む頭のキレと広い視野、そしてスキルの性質への深い理解、知識、加えて戦闘中にそれを考える発想力と実行する胆力があって為せる技だった――

キャンディーは目を伏せる。

修太郎の才能が一流だと分かったから。

(最後にPvPを想定してたけど、こんなの見せられちゃったらやるだけ野暮ね)