軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

909 クマさん、情報をまとめる

「それではジュウベイが妖刀狂華、深夜に現れた男の人が妖刀魔花を持っているんですね」

誰がなんの妖刀を持っているかの話になり、城で会話をした内容をサクラに教えてあげた。

「師匠が狂華を持っている可能性は高いっす。刀を握った者が人を斬りたいって言っていたっすから」

「こっちは魔力を吸収したからね」

確定じゃないけど、ほぼ間違いないと思う。

「それにしても、お主は厄介な男に目をつけられているのう」

「あのときに心をへし折るほど、叩き潰したはずなんだけどね」

まさか、リベンジをしてくるとは思いもしなかった。

復讐ってよりも、わたしとの戦いを楽しんでいる。

戦闘狂って、あの男のことを言うんだと思う。

それにしても妖刀が厄介だ。

土魔法で作ったクマが斬られるとは思わなかった。

斬られたと言うよりは土クマの魔力が吸い取られ、強度が弱くなったところを斬られた感じだ。

「ジュウベイは大丈夫でしょうか。もし、狂華に飲み込まれていたら」

サクラが不安そうに子熊化したくまゆるの頭を撫でる。

「わたしと会ったときは会話ができていたから、大丈夫だよ」

ジュウベイさんの様子が少しおかしかったけど、サクラを心配させたくなかったので、そのことは言わない。

「そうっすよ。師匠なら妖刀の力なんかには負けないっすよ」

「なら、いいのですが……」

サクラの顔から不安な表情は消えない。わたしたちの言葉だけでは不安は取り除けないみたいだ。

「そうなると妖刀赤桜、妖刀風切、妖刀右京の3本の行方が分からないってことですね」

「残りの妖刀はジュウベイが一本、サタケが一本、残り一本は盗んだ男が持っていたが殺されて行方不明じゃな」

子熊化したくまきゅうを撫でながらカガリさんが言う。

「わたしが逃した妖刀は誰が持っているのかな」

飛んで、どこかにいってしまった。

「可能性としてはジュウベイかサタケになるじゃろうな」

そうなるよね。

ジュウベイさんが拾ったのか、サタケさんが戦った男が持っていたのか。

「それじゃ、わたしと戦った妖刀は誰が持っているんすかね」

「盗んだ男の可能性もあるから、分からんよ」

カガリさんが身も蓋もないことを言う。

確かに、シノブが戦った相手が黒男と一緒に城から盗んだ男の可能性もある。

そして、その男は死に、妖刀は行方不明だ。

「カガリさんが探している妖刀右京の持ち主も気になるけど」

「それもジュウベイかサタケか行方不明の一本じゃな。ジュウベイが持っていたら厄介じゃから、他の者が持っていることを祈る」

「誰が持っていても厄介じゃないの? いろいろな技を出せるんでしょう?」

「技が出せると扱えるは別問題じゃ」

「同じじゃないんですか?」

わたしが思っていることをサクラが尋ねる。

「人によって体格が違うじゃろう。技を出しても威力が異なる。速度、力、全てが違う。妾とジュウベイを比べれば分かるじゃろう」

確かにそうだけど。

「つまりモノマネは本物には勝てないってこと?」

「そうじゃ。じゃが、右京は技の扱い方を教えてくれる。何度も扱えば、いつかは限りなく本物になる。ジュウベイほどの者が扱えば自分のものにするじゃろう」

ゲームで言えば、アイテムで必殺技を覚え、レベル1のキャラが必殺技を使うのと、レベル100のキャラが必殺技を使うのでは威力が違うのは言うまでもない。

「それを言ったらサタケさんも?」

「それはジュウベイとサタケ両方と戦ったことがある、お主が分かっているじゃろう」

2人の本当の実力は分からないけど、どちらが戦いやすいかと言われたらサタケさんだ。

サタケさんの実力はジュウベイさんに劣る。

「確かにジュウベイさんのほうが厄介だね。ちなみにシノブの意見としては?」

「サタケさんとは関わりが少ないっす。会話はするっすけど、戦ったりはしないっすから。ただ、周りの評価は師匠のほうが上っす。実際、ユナの実力を確かめるために戦うことになったのは師匠っす。師匠が選ばれたっす」

大蛇のときのことだね。

確かに、人であるジュウベイさんに勝てないようでは大蛇に勝てない。

だから、この国で強いジュウベイさんがわたしの相手に選ばれたのかもしれない。

「それで、みなさんは情報があるまで、ここにいるんですよね」

サクラは今日はみんながいるので、嬉しそうにする。先ほどまでジュウベイさんのことで不安そうにしていたけど、わたしたちがいることで、不安が少し和らぐみたいだ。

「妖刀を持っている人物は分かっておる。今はすぐに情報を得られるように待機じゃ」

もし外出している間に情報が入ったら面倒だ。

まあ、もしもの場合はサクラがクマフォンを持っているから連絡はつくけど。

ちなみに隊長の2人が行方不明のため、情報収集の管理はサタケさんの副隊長が引き継いでいるらしい。

隊長の2人がなにをやっているんだかと思う。

「シノブは探しに行かないの?」

「わたしだけ働かせる気っすか?」

「それがシノブの仕事かなと思って」

わたし的にはシノブは情報収集が仕事ってイメージがある。

まあ、それもシノブが忍者っぽいからだと思うけど。

「わたしも待機するっす。もし、三本同時に情報が入ったら困るっすから」

「それって、わたしが黒男の相手をして、カガリさんがジュウベイさんの相手をすることになるから、シノブがサタケさんを相手にするってこと?」

「妾がジュウベイか?」

「もし、シノブがジュウベイさんと戦うことになったら、シノブは死んじゃうと思って」

「妾もジュウベイと戦うのはイヤじゃが」

「ここは話し合う必要があるっすね」

確かに、妖刀の情報が入ったら、誰が行くか決めたほうがいいかもしれない。

全員で行ってもいいけど。シノブの言葉じゃないけど、三本同時に情報が入る可能性もある。

そんなわけで、わたしたちが誰が誰のところに行くか話し合っていると廊下が騒がしくなる。

「なんじゃ」

「なんでしょう?」

みんなの視線が襖に向けられる。

「カガリ様!」

襖を開けて部屋に入ってきたのは若い女性。

「スズラン!」

部屋に入ってきたのはカガリさんをお世話をしているスズランさんだった。

「どうして、こちらに来ていることを教えてくださらなかったんですか。わたし、お屋敷まで行ったんですよ」

スズランさんは幼いカガリさんに抱きつく。

「どこを探してもいなくて、わたし、わたし」

「すまない。忘れていただけじゃ」

それも酷いと思うけど

「うぅ」

カガリさんはスズランさんを宥める。

「それで、どうしてこちらに。それにえっとユナさんでしたよね?」

カガリさんに抱きつきながら、わたしに目を向ける。

スズランさんにはノアたちと一緒に和の国に旅行に来たときに会っている。(737話参照)

「妾とユナは仕事をするため、ここに来ておる」

「仕事ですか? 食っては、お酒を飲んだり、寝てのカガリ様が?」

やっぱり、そうなんだ。

わたしの理想の暮らしを体現している。

まあ、それは昔の話で、今はフィナやサクラたちと一緒にいるのが楽しい。

だから、引きこもりはよくないと思い始めている。

わたしも成長しているんだなと思う。

「お主、妾をなんじゃと思っておるのじゃ。お主が知らぬところで仕事ぐらいしておる。今回は仕事が終わるまでサクラのところで世話になっておるだけじゃ」

「どのような仕事をしているか分かりませんが、カガリ様は長い間、1人で頑張ってきたのです。ですから無理はしないでください」

「大丈夫じゃ。これが終われば、いつもの生活に戻る」

「約束ですよ」

スズランさんは本当にカガリさんを心配しているし、大切なんだと思う。

「でも、カガリ様がいらっしゃっているなら、サクラ様も教えてくださっても」

スズランさんがサクラに目を向ける。

「申し訳ありません。失念していました」

サクラは申し訳なさそうに謝る。

「わたしも言い過ぎました。申し訳ありません。でも、こちらにカガリ様がいらっしゃるなら、本日からわたしがカガリ様のお世話をしますね」

「ここでは不要じゃ。サクラが飯と寝床を用意してくれている。それだけで十分じゃ。お主も自分の仕事をせよ」

「わたしの仕事はカガリ様のお世話です」

「お主が島に来たり、遠くの屋敷まで来てくれているのは助かっておる。じゃが、ここにいる間は妾の世話は不要じゃ。お主も休め」

「カガリ様」

「仕事が終わり、屋敷に戻ったら、世話になるから、そのときは頼む」

「わかりました。でも、なにかありましたら、他の者ではなく、わたしを呼んでください」

スズランさんは渋々と部屋から出ていく。

「カガリ様、好かれていますね」

「悪い奴ではないが、小言が多いのが難点じゃな」

「小言を言うのも、カガリ様を心配しているからですよ」

確かに、どうでもいい人には、なにも言わないし、関わらない。

相手の体調を心配するから、食生活を心配する。

死んでもいいと思っているなら、なにを食べようが気にしない。

相手のことを心配するから、小言を言うんだと思う。

わたしの両親は、わたしに無関心だった。

「お昼をお持ちしました」

昼食を運んできたのはスズランさんだった。

「どうしてお主が。世話は不要と言ったはずじゃが」

「カガリ様のお世話ではありませんよ。みなさんのお世話です」

そう言って、スズランさんはテーブルに食事を並べていく。

カガリさんもそう言われたら、なにも言い返すことができない。

「それで、仕事って言う割には部屋にいるようですが」

「別にサボっているわけじゃない。今は連絡待ちじゃ」

結局、この日は連絡が来ることはなかった。