軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

905 クマさん、確認する

シノブが部屋から出ていくのを見て、カガリさんが立ち上がる。

「サクラも待っておる。妾たちは帰るとするか」

「ちょっと待って、聞きたいことがあるから」

そう言って国王を見る。

「妖刀魔花と妖刀狂華は初めて聞いたんだけど、過去について、分かることは? 戦うときに役に立ったりするかもしれないから教えてほしいんだけど」

妖刀赤桜と妖刀馬鉄はサクラから、妖刀右京についてはカガリさんから、妖刀風切も聞いたけど、妖刀魔花と妖刀狂華は名前を初めて聞いた。

「魔花は魔力を吸う刀だ。持ち主だけの魔力だけでなく、相手のあらゆる魔力を吸って強くなり、狂華は刀を持つと暴れ出すと伝聞が残っているぐらいだ」

「魔力吸収に狂暴化」

黒男の言葉を思い出す。

わたしの魔力が欲しいと言っていると黒男は言っていた。

「黒男が持っている妖刀は妖刀魔花の可能性が高いかも」

黒男に言われたことを2人に伝える。

「あとで、共有しておこう」

と国王は言う。

「それにしても狂華が盗まれているのに、今までに殺された者がいないのは奇跡じゃな」

「シノブの話を聞くと裏町にあったのが狂華かもしれない」

「ジュウベイさんが持って行ったんだよね。狂暴化しないよね?」

わたしの問いに、カガリさんと国王は黙り込む。

ジュウベイさんの狂暴化はやめて欲しいんだけど。

「ジュウベイの奴なら大丈夫と言いたいところだが、シノブとお前さんの話を聞くと、五分五分ってところだろう」

「会話はできている。でも、行動が読めん」

できればジュウベイさんとは戦いたくない。

今、思い出してもジュウベイさんは強かった。

どうにか殺さずにすんだけど、ジュウベイさんが強くなればなるほど、手加減はできなくなり、もしものことがある。

「とりあえず、ジュウベイさんが妖刀を回収してくれていると考えて、残りは3本だね」

「黒男とサタケ、盗んだ男が持っていると考えれば、全ての妖刀の持ち主が分かっていることになるな」

それから、今後のことを話していると、お金を受け取ってきたシノブが戻ってきた。

「外に馬車が残っていたから、戻ってきたっすけど、まだいたんすね」

「今、帰るところじゃ」

カガリさんが立ち上がる。

「お主はどうするつもりじゃ?」

「う〜ん、お金を渡しに行く前にサクラ様に会いに行くっす。わたしのことを心配しているっすよね?」

「ああ、死んでもいいから、顔は出してやれ」

「死んだら無理っすよ」

カガリさんの言葉にシノブは笑う。

そして、報告を終えたわたしたちはサクラの屋敷に戻ってくる。

「シノブ?」

一緒にいるシノブを見てサクラは驚く。

「城で会ったんだよ」

「怪我はしてませんか?」

「してないっすよ」

その言葉に安心した表情をする。

「怪我がなくてよかったです」

「心配かけたっす」

シノブは部屋に入ると座布団に座る。

そして、サクラに情報を伝える。

「盗まれた4本を持っている持ち主がいることが分かっただけでも、よかったです」

「これをよかったと言うべきなのか分からんがのう」

ジュウベイさんの様子が変なのと、サタケさんが妖刀と行方不明。

一概によかったと言えない。

下手をしたら最悪とも受け取れる。

せめての救いは大きな被害が出ていないことぐらいだ。

シノブの話だと、妖刀を拾ったと思われる男の人が暴れて、殺されたらしいけど。

なんとも言えない気持ちになる。

お茶を飲んだシノブは例の裏町にお金を渡しに行くと言うので、見送る。

裏町は気になったけど、シノブの話を聞くと、戦いを挑まれる可能性があると言うので、今回は諦めた。

シノブが出て行ってから、わたしとカガリさんは現状では情報を待つしかない。

ジュウベイさんとサタケさんのことを知っている人たちに任せたほうがいい。

黒男は待っていたほうが、向こうから来るような気がする。

サクラの家で書物の確認をしたりして時間を潰していると、城から妖刀を盗んだ男の報告がサクラに届いた。

サクラが確認するように手紙を読む。

「殺されたみたいです」

「殺された?」

「刀傷があったそうです」

国王から届いた手紙を読み上るサクラ。

「それで、妖刀は?」

「なかったみたいです」

「知り合いに殺されたか?」

「もしくは、あの黒男に殺されたか」

「誰に殺されたかは分かっていないそうです。伯父様の手紙には、男の周辺関係を調べると書かれています」

これで、1本は完全に行方が分からなくなった。

少しでも妖刀のことを調べていると、シノブが疲れた顔をして帰ってくる。

「大変だったっす」

「なにが大変だったの?」

「聞いてくださいっす」

なんでも裏町を仕切る息子に会いに行ったそうだけど、簡単に会えなかったそうだ。

想像してみる。

裏町を仕切る人の息子。

裏町、つまりマフィア、ヤクザのトップの息子ってことになる。(※ユナの想像です)

「昨日、一回会っただけなんでしょう。そんな簡単には会えないと思うよ」

わたしでも分かる。

「約束をしたわけじゃないんでしょう」

「そうっすけど」

「それで、どうしたのじゃ?」

「知り合いに頼んで、どうにか会えたっす。お金を渡そうとしたっすが、いらないと言われたっす」

仁義とかプライド?

頭に漫画に出てくるようなヤクザが頭に浮かぶ。

「普通なら受け取ると思うんだけど」

「そうじゃな。建物は壊され、怪我人も出ているのじゃろう。金は必要じゃろう」

「シノブが女の子だから、受け取らなかったのでしょうか?」

話を聞いていたサクラも首を傾げる。

「理由は言っていなかったの?」

「実は、国に尻尾を振る犬の金は受け取れないと言われたっす」

「お主、国王が関わっていると言ったのか?」

「言っていないっすよ。師匠の顔が知られていたっす」

確かに、部隊長であるジュウベイさんの顔は知られててもおかしくない。

「でも、ジュウベイとお主の関係が知られていなければ」

確かに、関係ない。

「それが、競売所に師匠が現れたときに、師匠って呼んでしまったっす」

「それで関係が知られてしまったってことじゃな」

「そうっす」

それじゃ、国の犬と言われてもしかたない。

「それじゃ、渡せなかったの?」

「渡したっすよ。妖刀のせいで怪我人も出ているっす。さらには師匠が競売所に入るときにも怪我をさせているっす。それにわたしも建物の一部を壊したっす。あとで請求されたり、付け回されたり、文句を言われたりしても困るっすから、無理やりに渡したっす」

マフィアやヤクザとトラブル。考えただけでも怖い。(※ユナの妄想です)

マフィアとかヤクザは身内も脅してくる。(※ユナのイメージです)

想像してみる。

わたしがいないうちにフィナやシュリを襲うかもしれない。

店に嫌がらせをするかもしれない。

店内を荒らされたり、窓を割られたり、客を脅したり……。

考えただけで、ムカついてくる。

もし、フィナや店の子が傷付いたらと思うとブチ切れそうだ。

「その裏町を潰す?」

脅しができないほどに潰せば……。

「なに、物騒なことを言っているっすか」

「いや、シノブが付け回されたり、脅かされたりするのはいいけど」

「よくないっす!」

「もし、それがサクラやカガリさんまで、被害が出たらと考えたら無くしたほうがいいかなと思って」

「なるほど、いい考えじゃな」

カガリさんもわたしに賛同してくれる。

「冗談っす。しないと思うっす。そんな男じゃないっす。だから、2人とも落ちつくっす」

「少しでも、可能性があるなら」

わたしはクマパペットを握りしめる。

「そのときは妾も手伝おう」

「ユナとカガリ様が言うと冗談に聞こえないっす」

「別に冗談じゃないけど」

「妾も」

「余計に質が悪いっす!」

シノブが声をあげる。

「それじゃ、結局どうしたの?」

「渡して来たっすよ。正確には、あいつの顔にお金が入った袋を投げつけてきたっす。男は受け止めたっすから、お金を受け取ったことになるっす。あとはその場を離れたっす」

本当に投げつけてきたみたいだ。

「それって大丈夫なの?」

「シノブ、もうこの屋敷には来るな。他人のフリをせよ」

「酷いっす」

部屋に笑いが起きる。