軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

871 クマさん、大会を見守る その2

13歳以上のほうでも順調に進んでいる。13歳から年配の方までいる。

12歳以下と13歳以上の試合は別々の時間にすることも考えたけど、会場も広かったこともあって、まとめてやることになった。

これがギルド職員が多く必要になった原因でもある。

その13歳以上の参加者の中にも知り合いが混ざっている。

ルリーナさんとギル。

ルリーナさんはお店に来たときに飾ってあるくまゆるとくまきゅうのぬいぐるみを見て、参加を決めたらしい。

それで、少しでもぬいぐるみを手に入れる確率を上げるためにギルにも参加を頼んだらしい。

話を聞いたとき、ギルは参加しないと思ったら、了承したようだ。

ぬいぐるみが欲しいなら、ルリーナさんならプレゼントしようかと思ったけど、当時は参加人数が少なかったので、その提案はしなかった。もし、手に入れられなかったら、プレゼントしようと思っている。

参加者には冒険者ギルドで見たことがある人たちもいる。

話は聞いていたけど、こちらは食べ放題に惹かれて参加したと聞いた。

右のほうへ目を向けると、くまゆるとくまきゅうのハチミツを購入するときにお世話になっているレムおじさんもいる。

それから、顔見知りの門番の人。

街の入り口、大丈夫だよね?

無断欠勤じゃないよね?

あそこにはアンズとセーノさんがいる。

今日は「くまさんの憩いの店」と同様に「くまさん食堂」も休みだ。

ミリーラから来たフォルネさんとベトルさんは参加してないみたいだけど、2人を応援している姿がある。

2人が参加している理由は、まだ参加者が集まっていなかったときに、ティルミナさんに話を聞いて応募したらしい。

参加者が増えたと聞いたときアンズは断ろうとしたけど、セーノさんに押される感じで、そのまま参加したそうだ。

フィナの話によるとゲンツさんも食べ放題を手に入れるために参加しようとしたけど、仕事を休むことができず、参加できなかったと聞いた。

今頃は娘たちの応援もできず、仕事をしているとのことだ。

その13歳以上のほうも対戦が終わりつつある。

知り合いだとルリーナさんが負けて、ギルが勝っている。

ギルの大きな手が上がったときは驚いた。まさかギルが勝つとは思わなかった。

それから、レムおじさんも勝ち、アンズは負けて、セーノさんは勝った。門番のおじさんは負けていた。

ギルが勝ったのは予想外だけど、相手が萎縮したのかもしれない。

対戦相手にギルみたいな体が大きい男の人が座っていたら、怖いよね?

わたしだったら、嫌だ。

そして、負けた人は会場から出て行くことになる。

負けた人たちは勝ち残った友達や知り合いを応援するために残る人と帰る人に分かれる。

帰る人がいるのは、こればかりはしかたない。

「シュリちゃんは残念だったけど、フィナちゃんは勝ったみたいね」

対戦相手が悪かった。

いきなり年上の男の子だった。

頑張って練習していたけど、勝負は時の運だ。

「それとノアとミサも勝ったみたいだね」

「ノアールちゃんとミサーナちゃん?」

わたしの言葉にミレーヌさんが首を傾げる。

「参加しているの?」

ミレーヌさんは対戦会場に目を向ける。

「どこにいるの?」

どうやら、見つけられないみたいだ。

「2人は変装しているよ」

「変装?」

わたしは貴族であるノアが参加すると騒ぎになったり、相手が手加減したりするかもしれないので、領主の娘だと分からないように変装をしていることを伝える。

ミサについても知っている人がいるかもしれないので、同様に変装をしていることを話す。

「どこにいるか全然分からないわ」

「遠くからじゃ分からないと思うよ。ちなみに、あの右側の黒茶の髪をしたのがノアで、あっちがミサだよ」

わたしがクマパペットで指したほうをミレーヌさんが見る。

2人の席は近い。

「あの黒茶の髪の女の子?」

「髪を染めて、髪型も変えて、服装も一般的な服を着ているんだよ」

「ここからじゃ、全然ノアールちゃんとミサーナちゃんだとは分からないわね」

「近くでも分からないよ」

変装したノアは対戦をしていた孤児院の子供たちでも気付かなかった。

口調でノアと気付いたぐらいだ。

クリフとグランさんも2人の変装を見て、すぐには気付かなかったぐらい変装は完璧だ。

「凄いわね。今度、わたしも髪の色を変えてみようかしら?」

それって、仕事から逃げるためじゃないよね?

そして、1回戦の対戦が終わるとリアナさんが中央に立ち、次の対戦相手が発表される。

対戦相手は隣だ。

席がトーナメントみたいになっている。

勝った隣同士が戦い、勝ち上がっていくことになる。

「それでは始めてください」

リアナさんの言葉で2回戦が始まる。

負けたシュリはティルミナさんと一緒にフィナを応援している。

フィナの対戦相手は年上の男の子みたいだ。

ルリーナさんはギルに向かって「負けないでよ」と大声で応援している。

孤児院の子供達にも声援が飛んでいる。

そして、順調に2回戦も終わる。

2回戦の結果はノアとミサが勝ち、フィナが負ける。

ここからでもシュリの残念そうな顔が見える。

それだけ、お姉ちゃんには頑張ってほしかったんだと思う。

孤児院の子は2人とも勝ち残っている。

13歳以上ではギルとレムおじさんが勝ち、セーノさんは負けた。

「負けちゃいました」

「お姉ちゃん、あんなところに置くから」

フィナとシュリがやってくる。

「ティルミナさんは?」

「リアナさんに呼ばれたので」

それで2人はこっちに来たわけか。

「負けたのは残念だったけど、2人とも頑張ったよ」

「一回も勝てなかったよ。クマさんバッジ欲しかった」

シュリは少し悲しそうな顔をする。

勝利バッジはクマバッジだ。

参加賞みたいなものだ。

でも、一回勝たないと貰えない。

「次は頑張ろうね」

「次? 次もあるの?」

口にしてから気付く。

「それは、リアナさん次第かな」

こればかりは、わたしの一存で決められることではない。

毎年は無理でも2年に一回とか、3年に一回でもいいかもしれない。

「とりあえず、今日は勝ち残っているみんなを応援しよう」

12歳以下のベスト16に勝ち残っているのはノア、ミサ、孤児院の2人。

13歳以上のベスト32に残っているのはギルとレムおじさん。

まさかのギルとレムおじさんが勝ち残っている。

「ユナお姉ちゃん、あそこを見てください」

フィナが指さす。

ノアとミサが同じテーブルにいる。

席が近かったから、予想はしていた。

「あっちも」

孤児院の2人が同じテーブルに。

これはトーナメントだ。勝ち続けば対戦することになる。

でも、できれば決勝で対戦してほしかった気持ちもある。

「どっちを応援したら」

「両方でいいと思うよ」

わたしの言葉に、フィナとシュリは頷く。

「ノア姉ちゃん! ミサ姉ちゃん! 頑張って!」

「ノア……」

わたしはフィナが声を出す瞬間、クマパペットでフィナの口を塞ぐ。

「名前は呼んじゃダメだよ」

わたしはクマパペットをフィナの口から離す。

「そうでした。呼びそうになりました」

ここで大きな声でノアの名前を呼んだら、気づく人もいるかもしれない。シュリはお姉ちゃん呼びだけど、フィナは「様」と敬称付きだ。

普通は友達のことを「様」付きで呼ばないからね。

「2人とも頑張ってください!」

フィナとシュリの声に気づいたのか、こちらを見て、手を振ってくれる。

孤児院の子たちの方を見るとリズさんやコケッコウのお世話をしている子たちもいる。

間に合ったみたいだ。

声援が飛ぶ中、3回戦が始まる。

「ノア様、ミサ様……」

フィナは不安そうにノアとミサのほうを見ている。

どっちが勝ってもベスト8だ。

石の配置はここからだと見えないけど、ノアが長考している。

知っている相手だからこそ、動けないのかもしれない。

ノアは石を置き、石を裏返す。

ミサも真剣に盤面を見ている。

まるで、将棋や囲碁みたいだ。

アニメや漫画でしか見たことがないけど、将棋や囲碁のプロみたいだ。

ここまで残る人たちは誰しもが真剣だ。

「見ているだけなのに緊張します」

ただの裏返すだけのゲームなのに。

それが面白いのかもしれない。

早いところでは手が上がり、それを境に次々と勝った人が手を上げる。

「ノア様が勝ちました!」

本当だ。ノアが手を上げている。

孤児院対決も決着がついたみたいだ。

お互いに握手をしている。

まるで、スポーツみたいだね。

「ノアお姉様に負けちゃいました」

負けたミサがやってくる。

「お疲れ様」

「ミサ様、残念でしたね」

「ノアお姉様、いつもよりも強かったです。真剣な表情でした」

魔法の勉強でもそうだったけど、ノアの集中力は凄い。

13歳以上のほうでは、ギルとレムおじさんが勝つ。

ギルの相手、萎縮していないよね?

予想外なのがレムおじさん。

これで、こちらもベスト16が決まる。

これで、会場には12歳以下の8人と13歳以上の16人が残る。

知り合いが4人。

「あれだけいたけど、対戦が進むと寂しくなるわね」

ミレーヌさんは会場を見ながら言う。

会場には200人近くいたのに24人だ。

一割ほどしか残っていない。

使われない対戦テーブルがたくさんある。

「そうだね。次回やるなら、ルールを変えるといいかもね」

「例えば?」

ミレーヌさんが尋ねてくる。

「このバッジの取り合いをするとか?」

わたしはフィナのバッジを手にする。

「バッジの取り合い?」

「初めは3つあって、勝つと相手からバッジを手に入れて、バッジが多かった人が上位の試合に参加できるとか?」

「面白そうね。最低でも3回は対戦ができるわね」

「まあ、欠点もあるけどね。知り合いがわざと負けるとか、知らないところでバッジを譲渡するとか。脅迫もあるかも」

10人仲間がいたら、10個のバッジを手に入れることができる。

わざと負けるのはトーナメントでもできるけど、トーナメントの場合は対戦ができるかは運になる。

「確かに、ありえそうね」

「まあ、リバーシの大会で、そんなことまでして勝とうと思う人はいないと思うけど」

優勝賞品が凄い金額ならまだしも、賞品は食べ放題とぬいぐるみだ。

そんなことを話している間に4回戦が始まる。