軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

861 クマさん、アドバイスをする その1

でも、相談って言われても大会の主催者なんてやったことがない。

学校の文化祭実行委員とか、体育祭実行委員とか、何かの委員になったこともない。

まあ引きこもっていたから、参加自体したことがないんだけど。

この手のことは専門家の仕事だと思うんだけど。

社会人ならイベント企画会社とか?

まあ、そんな会社がこの世界にあるとは思えないけど。

もし、イベント会社に勤めていた人が異世界に転移したら、その経験を生かした商売ができるかもね。

「ちなみに、フィナとシュリは参加するの?」

「リアナさんに頼まれたので出ます」

「でる〜」

どうやら2人も参加する予定らしい。

食事を終えたわたしは、フィナと一緒にリアナさんに会いに行くことになった。

ちなみにティルミナさんとシュリは、夕食の買い出しに行くと言って別れた。

わたしとフィナは商業ギルドにやってくる。

商業ギルドの中は、相変わらず人が多く忙しそうだ。

「えっと、リアナさんは」

受付のほうを探す。

「あっ、ユナさん!」

わたしがリアナさんを見つけるよりも先に、リアナさんが声をかけてくる。

リアナさんは他の受付嬢に仕事を頼むと、わたしのところにやってくる。

「ユナさん、どこに行っていたんですか」

「ごめん、ちょっと仕事で王都に……」

謝る必要はないと思うけど、リアナさんの「やっと会えました」的な顔を見たら、謝罪をしないといけない感じがしてしまった。

「もしかして、フィナちゃんが連れてきてくれたの? ありがとう」

リアナさんはフィナの手を握るとお礼を言う。

「こっちにきてください」

わたしとフィナは奥の別室に連れて行かれる。

「仕事はいいの?」

抜け出したように見えたけど。

「少し遅い昼食をいただくってことで、抜けてきました」

「それで、リバーシの大会の件でわたしに相談がある、って聞いたけど」

「はい。リバーシは凄く売れているんです。だから、大会をやって盛り上げようとしたんですが、あまり人が集まらなくて」

「そんなに売れているの?」

「老若男女問わずできるゲームってことで売れています」

「なのに、参加者が少ないってこと?」

「はい」

まあ、リバーシって家族や友達とやって楽しむもので、大会に出てまでやるものじゃないかも。

でも、人によっては自分の実力を確かめたいから、他の人とゲームをしたいと思う人もいるはずだ。

「ミレーヌさんには相談したの?」

ミレーヌさんは商業ギルドのギルマスだ。

ギルマスになるだけのことはあって優秀な人だから、人を集めるアイディアの一つや二つはもっているかもしれない。

「ギルマスは忙しいので、相談はしにくくて。それにこれはわたしが考えたことなので」

迷惑をかけたくないってことか。

それならわたしならいいの? と考えるのは性格が悪いね。

それに頼られるってことは、信頼されているってことだ。

リアナさんにはお世話になっているし、無い知恵を絞り出すことにする。

「参加者リストはある?」

「はい。こちらに」

資料はすでに用意されているようで、すぐに出してくれる。

参加者リストには名前と年齢が描かれている。

人数は10人ちょっと。

フィナとシュリの名前もある。

「参加者の目標は?」

「多ければ、多いほどいいかと。流石にこの人数では……」

確かにこの人数は少ない。

「大会の資料も見せて」

すぐに差し出してくる。

えっと、参加者は自由、トーナメントのように勝ち抜いて、最後の一人になった人が優勝。

シンプルだ。

う~ん、どうすればいい?

わたしにイベントを主催した経験はない。

でも、イベントを開催する漫画を読んだり、ゲームのイベントにも参加したことがある。

そこからアイディアを貰うことにする。

「今から大会のルール変更は可能?」

「ルールですか? 大きなことじゃなければ」

「それじゃ今から言うけど、できることとできないことを教えて」

「はい、分かりました」

「まず、年齢制限を付けた大会をしたほうがいい。そうすれば子供も参加しやすいし、大人も子供と当たらないから、気兼ねなく参加することができる」

年齢制限が設けられている大会は多い。

例えばスポーツなら、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人とクラスが分けられている。

もちろん違う場合もあるけど。

「確かにそうかも。お父さんも誘ったんだけど、『お前たちに勝っても 顰蹙(ヒンシュク) を買うかも』って言っていました」

大人が子供に勝っても面白くないし、負ければ恥を掻くことになる。

大人が子供に勝ってもメリットはないし、デメリットしかない。

ゲンツさんの言葉じゃないけど、大人が出るメリットがない。

「大人が子供に勝てば、見ている人は大人を批判するかもしれないからね。だから、大人は参加しにくいかも」

手加減しろ、とか言う人もいるかもしれない。

「そうですね。そのあたりは深く考えていませんでした。年齢、性別、関係なく参加してくれると思っていました」

「とりあえず、年齢制限で大会を分ければ、子供も大人も参加しやすいと思うよ」

「何歳ぐらいがいいのでしょうか?」

そのあたりは分からない。

判断がつけられない。

「えっと、12歳で」

フィナが口を開く。

「12歳? なんで?」

「13歳から、冒険者ギルドに登録ができるから」

冒険者登録をするときに、そんな話を聞いた覚えがある。

「13歳が子供か大人か分からないけど、子供にとって13歳は大人への入り口だと思います。大人に半分認められた感じがします」

「確かにそうかも。商業ギルドでも似たようなものね。13歳になったから、仕事を任される子たちもいます」

「それじゃ、子供部門は12歳までってことで」

元の世界だと小学生ぐらいかな。

「いいと思います」

「それじゃ、大人部門は13歳以上ってことで」

13歳なら大人に挑戦する年齢でもおかしくはない。

逆に子供部門に参加したら、中学生が小学生を苛めているようにも見える。

「あと、男女別や高年齢に分けるとかもあるけど」

「その辺りは人数が増えるかどうか分かりませんので」

確かに、年寄りの参加者が1人の可能性もある。

「まあ、男女別と高年齢のことは置いておいて、次は参加する意欲を出させないと」

「意欲ですか?」

「メリットだね。優勝賞品はないの」

賞品や賞金があると、参加する人が増えるのは人類の常識だ。

まあ、中には名誉って人もいるけど。

「一応用意しています。少ないですが賞金を」

金額を聞いたら少なかった。

「それじゃ集まらないよ」

「でもポスターを作ったり、場所の手配をしたりと、いろいろとお金がかかるんですよ」

まあ、イベントをやるにはお金がかかる。

タダでできるものではない。

「資金は、リバーシに関わっている人からも出してもらっていますが、多くありませんから」

どこからお金が出ているかと思ったら、そんなところからも出ているんだね。

「それじゃ、わたしからも提供するよ。優勝、いや、上位3位までに入ったら、『クマさんの憩いの店』の食べ放題チケットを出すよ」

「食べ放題ですか?」

「そうだね。一位は家族全員。二位は本人のみ二回分の食べ放題。3位は一回分の食べ放題とか?」

「ユナさんの店にメリットはないと思いますけど」

「店にメリットはないけど、盛り上がってリバーシが売れれば、わたしの懐にもお金が入ってくるでしょう」

リバーシ利権だ。

リバーシの利益の1割がわたしの懐に入ってくることになっている。

つまり、何もせずにお金が入ってくるってことだ。

その金を還元していると思えば、なんてこともない。

それに、お金の使い道を考えていたところだ。このぐらい許容範囲だ。

「そうすれば参加者も増えるでしょう」

「確かに増えるかと思います。でも、家族全員ってどこまでにするんですか?」

「子供の部なら、親、祖父、祖母まで。子供がいる大人なら子、親までかな」

優勝者家族は二親等までの制限をつける。

遠く離れた親戚まで呼ばれたら困るからね。

「あのう、もしお爺ちゃんやお婆ちゃんが優勝したらどうしますか?」

子供がたくさんいて、孫がいっぱいいたら大変なことになる。

絶対に優勝しないとは限らない。

最初に決めておかないとトラブルの元になる。

「う~ん、何名でもいいよ」

「いいのですか?」

「別に100人とかなるわけじゃないでしょう。多くても30人とか? そのぐらいだったら問題はないよ」

「いや、問題ありですよ。どれほどの金額になると思っているんですか?」

リバーシ利権もあるし、今回魔物を売ったお金も入ってくるし、お金の使い道に困っていたところだ。

30人分ぐらい、問題はない。

そもそも、お爺ちゃんやお婆ちゃんがどれだけ参加することやら。

さらに、優勝する確率はかなり低いと思う。

「もし今回、そんな大家族のお爺ちゃんやお婆ちゃんが優勝したら、次にするときに人数制限を付ければいいよ」

逆に年寄りがリバーシをやってくれて、強い人がいたらそれはそれで嬉しい。

「ユナさんがいいなら」

わたしは問題ないので、この話は終わる。

「あとは……」

なにかあるかな?

「あのう、くまゆるとくまきゅうのぬいぐるみをプレゼントしたらどうですか?」

わたしたちが考えているとフィナが口を開く。