軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

790 クマさん、お宝をゲットする

「何度も、山に登ることになるとはのう」

わたしとカガリさん。それからリーゼさんはくまゆるとくまきゅうに乗って山頂に向かっている。

「この土地で生まれ育ちましたが、わたしは山に登るのは初めてです」

「そうなの?」

「山に好き好んで登る子供ではありませんでしたし、氷竜が住み着いてからは近づくことはなかったです」

確かにそうだ。

山に登るのは、山好きの一部の人だけだ。

まして険しい山に登りたいと思う一般人はいないと思う。

まあ、富士山ぐらいは登ってみたいと思ったことは、ほんのちょっとばかりあるけど。引きこもりのわたしの貧弱な体力では富士山の頂上なんて、夢のまた夢だ。

このクマ装備とくまゆるとくまきゅうがいれば、富士山に登ってもいいかなと思う。

どこからともなく、「それは登ったことにはならないだろう」と言う声が聞こえてくる。

そんな幻聴は無視する。

「これは戦いの跡ですか」

一部山崩れしているところを見る。

昨日も見たけど、酷い有様だ。

「うん」

「あの大きなものはクマですか?」

「氷竜と戦ったときに氷竜の冷気から街を守るために作ったんだよ」

片付けるのを忘れていた。

帰る前に片づけないと。

街に住民はいないけど、出したままにしておくわけにはいかない。

ミリーラの町ではクラーケンを逃さないように囲むために大きなクマを作った。それが未だに残っている。

ミリーラの町の二の舞にはならないようにしないといけない。

わたしたちは山頂までやってくる。

「ここが氷竜がいた場所なんですね」

リーゼさんはキョロキョロとあたりを見回す。

「金銀財宝、お宝、あるかな〜」

わたしは口ずさみながらくまゆるから降りる。

カガリさんとリーゼさんも付いてくる。

「これは、宝じゃのう」

金銀財宝はなかったけど、お宝はあった。

「これって、氷竜の鱗?」

巣には氷竜の物と思われる薄青い綺麗な鱗が落ちていた。

「綺麗です」

リーゼさんは一枚鱗を拾い上げる。

大きさは手の平を広げたぐらい。

それが無数に落ちている。

「生え変わったものじゃろう」

「もしかして、迷惑をかけたから、くれたのかな」

巣に行けと言われなかったら、行かなかった。

そうなると、将来的に誰かに取られる。

「長い年月を生きてきた氷竜じゃ。自分の鱗が価値がある物だと知っていたんじゃろう」

クリュナ=ハルクも鱗や角の一部を貰いに来たと言っていたし。

わたしは、もう一つ気になる物に目を向ける。

「氷竜の卵の殻も価値ってあるの?」

一番目立つのは氷竜の卵の殻かもしれない。

青白い卵の殻がある。

「あるじゃろう」

「でも、鱗や角は分かるけど、卵の殻ってなにに使うの?」

武器や防具には使えないよね。

「なんでもそうじゃが、貴重な物はそれだけで価値がある」

確かに、手に入らない物は価値がある。

元の世界でも、数が少ない動物や植物は希少価値がある。

貴重ってことでいえば、象牙などが、今回の氷竜の卵に当てはまるかもしれない。

「とりあえず、もらっておけばよかろう」

「そうだね」

もらえる物は貰っておこう。

貰っても、誰かの懐が痛むわけじゃないし。

わたしは土魔法で箱を作り、氷竜の鱗を入れていく。

「わたしも手伝います」

「「くぅ~ん」」

リーゼさん、それからくまゆるとくまきゅうも鱗の回収を手伝ってくれる。

カガリさんは、うろうろと周囲を歩き始める。

「リーゼさんも欲しい?」

氷竜の鱗を箱に入れるときに、鱗を見ていたリーゼさんに尋ねる。

「その……綺麗なので装飾品を作ってみたいと思いました。氷竜が現れてから装飾品を身につけることがなかったので」

流石、女の子。

わたしと違って女の子っぽい考えだ。

先ほどまで、金銀財宝って言っていた口を閉じたい。

氷竜の鱗をお金としか見ていなかった。

それだけ、わたしの心が汚れているってことだろう。

「それなら、適当に持っていっていいよ」

「いいのですか?」

「たくさんあるしね」

別に独り占めするつもりは初めからなかった。

欲しいなら、分けるぐらいはする。

問題は加工ができるかどうかだけど、他の街と交流が復活すれば加工もできるようになるだろう。

とりあえず、ここでリーゼさんに渡しても持って帰るのが大変なので箱に入れることになった。

「これは爪?」

鱗を仕舞っていくと、氷竜の爪らしきものや分からないものも落ちていた

とりあえずは氷竜の素材らしき物はしまっていく。

問題は卵の殻だ。卵の中から氷竜が出てきたので、割れて破片が散らばっている。

全部持って帰りたい。

大きさは、わたしの胸あたりまである。

わたしは土魔法で卵と同じぐらいの大きさの箱を作る。

六面の箱の正面だけが開いている状態にする。

そして、一番大きな卵の殻を箱の中に運び入れ、破片も入れていく。

青白く綺麗だ。

ゲームなら薬や錬金術の素材とかになるけど、わたしは錬金術師でもなければ、合成する力も持ち合わせていない。

カガリさんの言うとおりに、インテリアとして飾るのがいいかもしれない。

今度、修復でもしてみようかな。

それには全ての破片を拾わないといけない。

途中からカガリさんも手伝ってくれて、無事に氷竜の素材を全てしまうことができた。

「リーゼさん、カガリさん、ありがとうね」

「「くぅ~ん」」

「もちろん、くまゆるとくまきゅうもありがとうね」

氷竜の素材の回収が終わるとリーゼさんが歩き出し、崖の近くに移動する。

「山の上からの景色はこんなにも綺麗なんですね」

リーゼさんの長い髪が風に揺れる。

わたしもリーゼさんの隣に移動する。

山頂からの景色は、晴れ渡り、白い雲が浮かび、どこまでも広がる青い海。

「綺麗だね」

今までは氷竜に会いに来たり、氷竜と戦うことになったりして、ゆっくり景色を見ることはなかった。

山に登る人は、こんな綺麗な景色を見るために登っているのかもしれない。

くまゆるとくまきゅうに乗って登ってきても感動する。

自分の足で登って、この景色を見れば、さらに感動するかもしれない。

だから、人は自分の足で山に登るのかもしれない。

「ユナさん、ここまで連れてきてくれてありがとうございます」

凍った街が太陽の光に反射して輝いている。

たくさんの人が氷漬けになっている街を見て言うのはよくないけど、幻想的で綺麗だ。

リーゼさんの表情は気持ちの整理ができたような表情をしていた。

もしかすると、心の整理をするために氷竜の巣を見たかったのかもしれない。

「お主たち、いつまで見ておるつもりじゃ」

「そうだね。そろそろ帰ろうか。みんなも心配しているかもしれないし」

リーゼさんがメモ書きしてきたと言っても、氷竜がいた山頂に向かったと知れば、心配しているかもしれない。

わたしたちは鉱山の入り口に帰ってくる。

「心配したぞ」

「お父様、ごめんなさい」

やっぱり、心配をさせたみたいだ。

「山の上から、街を見たかったんです」

「それでどうだった」

「綺麗でした。お母様やお姉ちゃんと一緒に見たかったです」

「そこには、わたしは入っていないのか?」

「もちろん、お父様も一緒です」

わたしたちは山頂で手に入れた物をみんなに見せ、リーゼさんとの約束通りに氷竜の鱗を渡す。

「これが氷竜の……」

「綺麗だな」

わたしは考える。考えた。

そして、口を開く。

「半分ぐらい、もらって」

わたしの言葉にみんな驚く。

「だが、これは氷竜がお嬢ちゃんに」

「でも、これから街の氷が溶けて大変でしょう。船も動かせるようになったら、助けを求めにいけるだろうし」

漁師のバランさんがいるので助けを求めに行ける。

「そのときに、氷竜がいた証拠にもなるし、立ち去ったから手に入ったと言う説明もできるでしょう」

「そうだが」

「それに、売ればお金になるみたいだから、街の復興に役立てて」

考えたくないけど、氷が解ければ凍っていた人たちの氷も溶ける。

言い方が悪いけど、お墓を作ったり、人手は必要になると思う。

「そうですね。もし、お嬢ちゃんが譲っていただけるなら」

わたしは半分置いて行くことにした。

鱗、爪、そして角も一本、譲ることにした。

角は大きいので、街の麓で出すことになった。

わたしはクマバスを出し、みんなを連れて、街に向かう。