軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

789 クマさん、氷竜と別れる

氷竜と話を終えたわたしとカガリさんはリーゼさんたちのところに戻ってくる。

「ユナさん、カガリちゃん」

わたしたちのことが気になっていたのか帰ってくると、リーゼさんたちが駆け寄ってくる。

わたしは氷竜の赤ちゃんが産まれ、明日にも立ち去ることを伝える。

「本当ですか!?」

「長かったな」

氷竜の赤ちゃんがいつ産まれるか分からず、いつ立ち去るか分からなかった。

でも、赤ちゃんが産まれ、明日立ち去ることを知ったリーゼさんたちは、昨日以上に喜ぶ。

「最初見たときは、変な格好した嬢ちゃんじゃと思っていたが」

「クマの格好だもんね。クマの家からクマの格好した女の子が出てきたときは驚いたよ」

どこに行ってもクマの着ぐるみは変な格好らしい。

カガリさんの和装だって、珍しいと思うけど、着ぐるみのほうが珍しいみたいだ。

「ユナさんとカガリちゃんは、今度こそ帰るんですよね?」

「氷竜が立ち去るのを見てから、帰るよ」

やっぱり、氷竜が立ち去るところまで見てからじゃないと気になる。

その辺りのことはカガリさんとも話し合って、ちゃんと決めた。

そして、まだ日が高いので、わたしとカガリさんは、残っているアイスゴーレムを討伐することにした。

わたしとカガリさんはくまゆるとくまきゅうに乗って手分けをして、アイスゴーレムを討伐する。

やっぱり、氷には炎だよね。

アイスゴーレムは溶けていく。

炎が効くのは、やっぱりいいね。

そして、一通りのアイスゴーレムを討伐して戻ってくると、漁師のバランさんが魚を釣ってきてくれて、もてなしてくれた。

なんの種類の魚か分からなかったけど、美味しかった。

食べているときにお爺ちゃんが「酒があればのう」と言うと、カガリさんがアイテム袋からお酒を出し、みんなにお酒を振る舞う。

そして、カガリさんも一緒になって、お酒を飲もうとしたので流石に止めた。

カガリさんには恨めしそうな目で見られたけど、こればかりはしかたない。

幼女姿で、みんなの前でお酒を飲ますわけにはいかない。

「さっきのあれは冗談ですよね?」

カガリさんがお酒を飲もうとして、わたしが止めたことをリーゼさんが尋ねてくる。

「冗談だよ」

「でも、本当に残念そうにしてました」

最近は、カガリさんは氷竜が来たときに備えてずっとお酒を飲むのを控えていたから、すごく飲みたかったのかもしれない。

「でも、どうしてカガリちゃんは、お酒なんて持っていたんでしょうか?」

普通、子供はお酒は持ち歩かないよね。

わたしも持っているけど料理酒に使うお酒ぐらいだ。

だから、「両親に買い物を頼まれたんじゃないかな」と適当に誤魔化しておいた。

リーゼさんは信じていない様子だったけど、それ以上は追求はしてこなかった。

だって、本当のことを言えないからしかたない。

そして、夜遅くまで、宴会もどきは行われた。

翌朝、ペチペチ攻撃をされる。

目をうっすら開けるとくまゆるが目の前にいた。

窓を見ると明るい。

でも、まだ眠い。

「もう少し寝かせて」

「妾も、もう少し寝かせるがよい」

隣の布団を見ると、カガリさんがくまきゅうにペチペチ攻撃をされている。

昨日、遅くまでリーゼさんたちとお話をしていたから眠い。

これも、カガリさんがみんなにお酒を飲ませるからだ。

お爺ちゃんたちは騒ぎ、わたしたちは付き合うことになった。

そんなわけで、寝たのが遅かったので寝足りない。

もう、危険なことも起きないんだから、少しの寝坊ぐらい許されるはずだ。

わたしはくまゆるの小さい手を払いのけ、目を閉じようとした瞬間、ドスンと大きな音がして、地面が揺れる。

「なんじゃ!」

わたしとカガリさんは起き上がる。

それと同時に窓の外に影がさす。

わたしは窓を開けると氷竜がいた。

眠気が一気に吹っ飛ぶ。

氷竜の口には氷竜の赤ちゃんが咥えられている。

もしかして、挨拶に来てくれたのかもしれない。

「もう出て行くの?」

氷竜は咥えた赤ちゃんを地面に下ろす。

「ヒトノコヨ。ワレガイタトコロニイクガヨイ」(※人の子よ。我がいたところに行くがよい)

「それって、どう言うこと?」

「ワレハリーレン」(※我はリーレン)

「リーレン? それがあなたの名前なの? わたしはユナ」

「妾はカガリじゃ」

「ヒトノコヨ。ユナ、カガリ、セワニナッタ」(※人の子よ。ユナ、カガリ、世話になった)

氷竜は言いたいことだけ言うと地面にいる赤ちゃんを咥え、翼を大きく広げる。

今度こそ、行ってしまうみたいだ。

「今度は人が住む場所で、卵は産まないでね」

不幸になる人が、これ以上増えないでほしい。

氷竜に悪気がなかったとしても、氷竜の存在は人に迷惑をかける。

人だって、魔物、動物、さらに言えば植物が生えている場所に踏み入る。

悪気が無くても共存はできない。

こればかりは仕方ないことだ。

だから、お互いに踏み込まないのが一番だ。

氷竜はわたしの言葉が聞こえたのか、聞こえないのか分からないけど、頷いたように見えた。

大きく翼を広げた氷竜は飛び立っていく。

わたしとカガリさんは窓から飛んで行く氷竜を見つめる。

「まさか氷竜リーレンだったとはのう」

「知っているの?」

「本当に、お主はなにも知らぬのう」

呆れるように言う。

「いや、わたしの百倍以上生きている人に言われても困るよ」

生きている年月が長ければ、知識量も多い。

お婆ちゃんの知恵袋って言う言葉があるぐらいだし。

もちろん、まだ死にたくないから、そんなことは口に出して言わないけど。

「それで、有名なの?」

「たまに物語に出てくる程度にはのう。タールグイみたいなものだと思えばいい」

そう考えると、フィナは知らなくてもシア辺りは知っている名前なのかもしれない。

「そういえば、氷竜がいた場所に行けと言っていたけど」

「なにかがあるのかもしれぬ」

「もしかして、金銀財宝!」

ドラゴンは宝を集めるって聞いたことがある。

巣の中に金銀、宝石がたくさんあるのかもしれない。

迷惑料として、くれるとか?

金や宝石には興味はないけど、売ればお金になる。

お金は嫌いじゃない。

なんだかんだ言って、お金はあって困るものじゃない。

わたしが嬉しそうにしていると、カガリさんが水をさす。

「お主、一度、氷竜が飛び立ち、卵だけの様子を見ておるじゃろう。そのときに、そんなものがあったと思っておるのか」

思い返す。

氷竜との戦いになったから、じっくり見たわけじゃないけど、金銀財宝があった記憶はない。

もし、金銀財宝があれば目立っていたはずだ。

「それじゃ、なにがあるのかな?」

「行ってみれば分かるじゃろう」

まあ、確かにそうだ。

カガリさんと話をしていると、外にリーゼさんがいるのが見えた。

リーゼさんはゆっくり歩き、氷竜が飛んで行ったほうを見ている。

「リーゼさん!」

名前を呼ぶとリーゼさんは振り返る。

「ユナさん、カガリちゃん!」

わたしとカガリさんは着替えると、クマハウスの外に出る。

「氷竜、本当に出て行ったんですね」

もう、氷竜は見えない。

「もう、あんなに遠くじゃのう」

「そうですね」

ここには視力が良い人間がいた。

わたしには見えないよ。

わたしの視力は1.2だったから、それ以上ってことだ。

まあ、ゲームをやったり、漫画を読んでいたわりには、良い方だと思う。

「これもユナさんとカガリちゃんのおかげですね」

「わたしたちは何もしてないよ。どっちにしても、赤ちゃんが産まれたら、出て行く予定だったから、わたしたちがなにもしなくても出ていったよ」

ただ、新しい氷竜が現れたのは予想外の出来事だったけど。

「でも、こんなに朝早くにどうしたの?」

まだ、日が昇ったばかりだ。

「氷竜が出て行くと聞いて、目が覚めてしまったんです。それで、外に出て山頂を見ていたら、氷竜がやってきたので、驚きました」

どうやら、氷竜がやってきたところを見ていたらしい。

「そしたら、ユナさんの家の前に降りてきて、ユナさんたちとなにか話してましたが」

「出て行くと伝えに来ただけだよ。それと、山頂に行ってみろって言われたぐらいかな」

「山頂ですか? なにかあるのですか?」

「分からないけど、氷竜の巣になにかあるみたい。それをあとで見に行こうと思って」

「……迷惑じゃなければ、わたしも一緒に行っていいですか?」

氷竜はいないし、アイスゴーレムの討伐もした。

もし、いたとしてもアイスゴーレムぐらい敵ではない。

「別にいいけど」

「ありがとうございます。お父様たちが心配するといけないので、書き置きをしてきます」

「書き置きって、他の者たちはどうしているのじゃ?」

「まだ寝ています。どうやら、お酒を飲み過ぎたみたいです」

ああ、カガリさんが出したお酒だ。

お爺ちゃんたちは久しぶりに飲んで嬉しかったのか、たくさん飲んでいた。

リーゼさんのお父さんも飲んでいた。

「情けないのう。あれだけのお酒で」

そうは言うけど、わたしたちもくまゆるとくまきゅうに起こされるまで寝ていた。氷竜が現れなければ、くまゆるとくまきゅうも起こさなかったと思うので、ずっと寝ていたと思う。

「それもあると思いますが、氷竜が立ち去ると聞いて嬉しかったんだと思います。あんなに嬉しそうなみんなを見ることができるのはユナさんたちが来てからです」

「しかたないのう。それじゃ、もう少しお酒を置いていってやろう」

「あまり、飲み過ぎはよくないので、わたしが管理しますから、お爺ちゃんたちには渡さないでくださいね」

まだ若いのにしっかりしている。

それだけ苦労してきたんだと思う。

リーゼさんは出かける旨の書き置きをするために鉱山にもどっていく。

「急がなくていいよ。朝食を食べてから向かうから」

鉱山の入り口に入って行くリーゼさんに声をかけて、わたしとカガリさんはクマハウスの中に入り、簡単な朝食を食べる。

そして、クマハウスを片付け、くまゆるとくまきゅうに乗った、わたしとカガリさん、それからリーゼさんは山頂に向かって出発する。