軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ミニミニショートストーリー クマグッズの販売

最近、クマさんの憩いの店でパンではないものが売り出されている。

それはクマグッズ。

初めはミレーヌさんがくまゆるとくまきゅうぬいぐるみを見たときに、これは売れると思ったらしく、わたしとティルミナさんに話を持ちかけてきた。

とりあえず、くまゆるとくまきゅうぬいぐるみが、わたしの知らない人たちに広まることを想像をすると、嫌な気分? 嫉妬? のようにモヤッとしたので、却下した。

それならと普通のクマをモチーフにした物ならと言われた。

まあ、くまゆるとくまきゅうに似ていなければいいかと思い了承した。

「でも、わたしの店で販売するの?」

くまゆるとくまきゅうでなければ、別に他の店で販売してもいいと思うんだけど。そもそも、わたしがクマを独占しているわけではないので、わたしの許可は必要ない。

「他の店で売ってもいいんだけど、クマをモチーフにしたものを販売するなら、ユナちゃんのお店が一番いいでしょう。なにより、ユナちゃんのお店にはクマ好きが多いはずだからね」

ミレーヌさんの言い分もなんとなくわかる。クマパンは売れているし、テーブルなどに置かれているクマも評判はいいし、クマの格好で働いている子供たちも大人気だ。

クマ好きが集まる店と、クマに興味がない人が集まる店で販売するのでは、間違いなく前者のほうが売れる。

「それで、ユナちゃんにはデザインをお願いをしたいの」

「デザイン?」

「うん、ユナちゃんの描く絵っていうの? 絵本も置物も凄く可愛らしいでしょう。他の人は難しいみたいなのよ」

確かにこの世界ではリアル的な絵が多い。

簡略的な絵は見ることはあるけど、多くはない。

デフォルメって概念がなければ、誰も描こうとは思わないかもしれない。

まあ、絵を描くのは嫌いじゃないし自分の描いた絵が商品化されるのも楽しみだ。

なので、わたしは了承した。

なにより、暇だし。

わたしはデフォルメされたクマの絵を描いていく。

リンゴを頭に乗せているクマ、ハチミツの壺を抱えているクマ、パンチをしているクマ、走っているクマ、寝ているクマなど、作れるかどうかは別にして、いろいろと描いていく。

「あと、なにかあるかな?」

わたしはアイディアに詰まったので、子熊化したくまゆるとくまきゅうを召喚して、いろいろなポーズをしてもらい、絵の参考にすることにする。

「そんなわけでポーズをお願い」

「「くぅ〜ん」」

くまゆるとくまきゅうは「任せて」って感じに鳴くとポーズをしてくれる。

あらためて見るとポーズだけでなく表情もつけてくれる。

笑っているクマ、泣いているクマ、怒っているクマ、悲しそうなクマ、いじけるクマ。

くまきゅう、いじける姿、上手すぎるから。

それ、演技だよね?

そんな感じで描いてみたのはいいけど、表情まではマスコット人形で作るのは難しいかも。ポーズもそうだけど、その辺りの判断は作る職人に任せることにする。

わたしの役目はクマの絵を描くことだ。

あらためて思うけど、わたしもクマに侵されたものだ。

初めの頃を考えると、ここまでクマが好きになるとは思わなかった。

わたしは目の前でポーズをとるくまゆるとくまきゅうを見る。

これもくまゆるとくまきゅうのせいかもしれない。

そして、あらためて描きあげた絵を見ると、これってキャラクターのラバーストラップ?

好きなキャラクターのラバーストラップを通販で購入したものだ。

そして、わたしの絵を見たティルミナさんとミレーヌさんは感動していた。

「かわいい」

「ユナちゃんって、本当にいろいろなことができるのね」

「難しいのもあるけど、作れそう?」

「それは職人に任せましょう」

やっぱり、そうなるよね。作れるかどうかは実際に作る職人次第だ。素人には判断はできない。

まずはお店のクマの制服や、くまゆるとくまきゅうのぬいぐるみを作ってくれたシェリーのお店に頼むらしい。

とりあえずは手提げカバンなどに付けられる、小さなクマのマスコットぬいぐるみキーホルダーを作るという。

その辺りの案はシェリーが作った小さいくまゆるとくまきゅうのマスコットぬいぐるみを見たかららしい。

そして、数日後、クマのマスコットぬいぐるみキーホルダーが完成した。

「ユナちゃん、どう?」

わたしは手にする。

手のひらサイズで、手の上に乗る。クマの頭には紐が付いており、手提げカバンなどに付けられるようになっている。

おお、ちゃんとわたしの絵に近い感じのクマのマスコットがちゃんと作られている。

でも、色がカラフルだ。

いろいろなクマの色がある。黒や白はもちろん、赤や青といった色のクマまである。

「いろいろな色があるんですね」

わたしは色の指定はしなかった。

普通に黒のペンでクマを描いただけだ。

「ああ、それはね。余った生地で作ったからよ。本来なら、服など作ったときに余った生地は、修繕に使ったりするんだけど、それだって全てが使われるわけじゃないわ。余った生地が増えれば、捨てるしかなかったんだけど。それはもったいないと前々から思っていたのよ。でも、小さいクマのぬいぐるみなら、使えるでしょう」

流石、商業ギルドのギルドマスターだ。

本来は捨てる生地が職人の手によってお金になるなら、材料費は0といっていいかも。

縫い合わせる糸ぐらいだ。

クマの種類はそれほど多くはない。

まあ、当たり前だけど、種類が多くなれば、それだけ作るのは大変だ。

作られたのはリンゴを頭に乗せているクマとハチミツの壺を持っているクマ。寝ているクマ、笑っているクマ、それから、いじけているクマの5種類だった。

それでも、作るのは大変だったと思う。

「ふふ、これは間違いなく売れるわ」

ミレーヌさんは悪どい商人のように微笑む。

そんなわけで、クマさんの憩いの店のパンが並んでいる端に、クマのマスコットぬいぐるみのキーホルダーが並べられることになった。

販売価格はお店の利益、職人の利益(一つ作る時間などから計算)、多少の材料費などいろいろと計算されて決められた。安くはないけど、価格は抑えてある。

まあ、手作りだから、その辺りは仕方ない。

あと販売方法で、わたしは一つだけお願いをした。

そして、パンを買いに来た常連さんがさっそく、クマのマスコットキーホルダーに気づく。

「可愛い」

「全部ほしい」

「えっ、パンを購入した人限定で、1人一点だけ?」

そう、1人一点だけにした。

1人だけがたくさん購入して、ほかの人が購入できなかったらよくないので、わたしが決めた。

それにパンを購入しないと買えないことにしたのは、何度も並んで買う人がいるかもしれないからだ。

まあ、そんなことをしてもクマのマスコットぬいぐるみキーホルダーのために、毎日パンを購入する人がいそうだけど。

頭の中に金髪美少女の顔が浮かんだのは言うまでもない。

そして、販売状況といえば、50個ほどあったクマのマスコットキーホルダーは初日で完売した。

それから、クマのマスコットぬいぐるみキーホルダーは手作りのため、店頭に並ぶタイミングは不定期で、『購入できたら幸運』と言われるようになった。

今では幸運のクマのお守りと言われている。

ちなみに、偶然に販売をしているところに遭遇したノアが「全部ください」と言ったのは言うまでもない。