軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

563 クマさん、クマさんパーティーをする

誕生日パーティーは無事に終わり、ティルミナさんとゲンツさんは家に帰り、フィナとシュリは残った。

クマさんパーティーをするためだ。

「今日はとても楽しかったです。パーティーはいつも堅苦しいですから」

「そうですね。やっぱり、パーティーは知り合いだけでやるのがいいですね」

ノアの言葉にミサも同意する。

貴族のパーティーとなれば、知らない人や、数年ぶりに会う人もいるだろうし、招待したくない人も呼ばないといけない。その逆に行きたくないと思っても、行かないといけないとか、いろいろと大変だ。

その気持ちはよくわかる。わたしも会いたくないひとのパーティーには参加したくない。(参照、コミック1巻の書き下ろしにて、ユナの祖父は財閥の社長です。ユナも幼いときは参加したことも? 読者様にはコミックによる追加設定でご迷惑をお掛けします)

まして、貴族なら、結婚の話も出てきそうだし、面倒くさそうだ。

パーティーを終えたわたしたちはドレスを脱ぎ、お風呂を借りた。

4人は、背中に乗せて散歩してくれたくまゆるとくまきゅうの体を洗ってあげ、ドライヤーで乾かし、ブラッシングもしてくれた。

ちなみにお風呂では、流石に大きいままだと、洗うのも乾かすのも大変なので、子熊にした。

お風呂を出たわたしたちは、それぞれがクマの服に着替える。

もちろん、わたしもクマの格好をさせられている。といっても、クマの格好はいつものことなんだけど。

ちなみに、わたしの色は白クマだ。今日はドレスを着て疲れているので、迷わずに白クマにした。

クマの服に着替えたわたしたちは、客室に移動する。

そんなクマの格好したわたしたちと、くまゆるとくまきゅうを含めたクマの団体(7人)が廊下を歩くと、奇妙な感じだ。

すれ違ったララさんからは「みなさん、可愛いですよ」と温かい目を向けられた。その中にわたしも入っているのか問いただしたかったけど、含まれていたら精神にダメージを受けるので、聞くのはやめておいた。

わたしたちは、本日泊まることになっている客室にやってくる。客室には5つのベッドがあり、隙間なく置かれている。5人(7人?)で一緒に寝るために、この部屋を用意したみたいだ。

「それで、クマさんパーティーって何をするんですか?」

フィナが尋ねる。

フィナはクマの服を持ってきて、としか言われていなかったらしい。

「クマさんの格好をして、みんなでおしゃべりをすることです」

「それだけですか?」

「それだけです」

その言葉にフィナは安堵する。

もっと変なことをすると思っていたみたいだ。

「お茶も用意してありますから、たくさんおしゃべりができます」

ララさんが用意してくれたお茶が入ったポットがテーブルの上に乗せられていた。そのお茶をノア自らいれてくれる。

「わたしもお手伝いします」

「大丈夫です。今日はみなさんはお客様です。それに、コップにお茶をいれるぐらい、わたしにでもできます」

ノアはそう言うと、全員のカップにお茶をいれてくれる。

わたしたちはお茶を飲みながらクマさんパーティーを始める。

「それにしても、ノアがぬいぐるみを作っているとは思わなかったよ」

「ふふ、驚かせようと思いました」

「うん、驚いたよ」

「でも、ユナさんからもらったぬいぐるみと比べると、見劣りしてしまいます」

ノアは自分のぬいぐるみと自分が作ったぬいぐるみを見比べている。

部屋には、ノアが持っていたぬいぐるみと、ノアがフィナにプレゼントしたぬいぐるみがある。

「まあ、本職が作ったからね。しかも、何十個も作っているから、それと比べたら見劣りするのも仕方ないよ」

元から裁縫が得意だったシェリーが作ったものだ。裁縫が好きで、毎日のようにナールさんに教わっている。そんなシェリーが作ったぬいぐるみと差があるのは仕方ないことだ。

好きな仕事をしている人に追い付くのは至難なことだ。

「そうですね。でも、コツは掴みました。今度は自分用に作ってみます。そして、いつかは上手に作れるようになってみせます」

ノアは力強く宣言する。

今度、ノアの部屋に来たら、部屋がクマのぬいぐるみだらけになっていそうだね。

でも、ノアは偉いと思う。勉強もしているし、これからは魔法の練習もすることにもなる。そこにぬいぐるみまで作ろうとする。本当に偉いと思う。

「頑張るのはいいけど、ほどほどにね」

ぬいぐるみの話から、それから他愛のない話をし、魔法の話になる。

「ユナさんとの魔法の練習楽しみです」

「本当に自己流だから、上手に教えられるか分からないからね」

「お父様も言っていましたが、そのときは別の先生が付くだけです」

つまり、わたしは教師としての無能のレッテルが貼られるわけだね。

まあ、わたしが教えて魔法が覚えられなくて、他の人が教えて魔法が使えるようになったら、教師として無能のレッテルを貼られても仕方ない。

「ノアお姉様とフィナちゃんが羨ましいです」

「うん、ズルい」

魔法を教わることができないミサとシュリは羨ましそうにするが、こればかりは仕方ない。

「魔法って、魔力が多い人が使えるんだよね」

「はい、人は魔力を大なり小なり持っています。ですが、魔法を使うには魔力が多くないと使うことができません」

魔石の光を灯したりする程度の魔力なら、誰でも持っている。

でも、魔力を水や火に変化させるには、大量の魔力が必要ってことだ。

クラーケンのときの戦いを思い出す。クラーケンを逃がさないようにするために大きなクマの石像を作ったら、魔力を一気に持っていかれた。そして、炎のクマ魔法の連続攻撃。どちらも魔力から作り出したものだ。

「でも、魔法が使えるかどうかって、どうやったら分かるの?」

「やってみないと分かりません」

「水晶とかに触れると、魔力の容量が分かったりする魔道具とかないの?」

よく定番設定だと、魔力の量が多いと、眩しいほどに光ったり、魔力を測る魔道具が壊れたり、適性魔法の能力で七色に光ったりと、魔力や属性を調べる魔道具があったりする。

でも、ノアの返答は。

「ないですよ。そんな便利な魔道具なんて、聞いたことがありません。自分が魔法を使えるかどうかは、使ってみないと分かりません」

「そうなんだ。それじゃ、本当に魔法が使えるかどうかは、試してみないと分からないんだね」

「はい。だから、少し不安です」

「でも、親が魔法が使えれば、子供も使えるんでしょう?」

「はい。親が魔法が使えると、子供も使えることが多いです。でも、必ずではないんです。使えない子供もいますから、本当に分からないんです」

ノアは不安そうにする。

「エレローラさんは使えるんだよね?」

「はい、お父様も使えますよ。基本、貴族は自分の身を守るため、魔法が使えるほどの魔力がある者同士が結婚するようになっています。自分の子たちが魔法が使えず、身を守ることもできず、亡くなることを防ぐために」

ああ、貴族ならありえそうだね。良い血統を残すってことだね。

「それじゃ、ミサの両親も?」

「はい、一応使えます」

わたしの質問にミサが答えてくれる。同じ質問をフィナにもする。

「ティルミナさんは使えたんだよね。あと……」

父親について聞こうとして、途中で言葉を止める。フィナの本当の父親は亡くなっている。聞いてはいけないと思ったからだ。

「はい、お母さんは魔法が使えたそうです」

「使えたそうって?」

「使っているところを、見たことがないんです」

「シュリも?」

「うん、ないよ」

ティルミナさんは病気だったし、フィナとシュリの前では魔法を使う機会がなかったのかもしれない。

「でも、お父さんに、お母さんが魔法を使って魔物を倒していたと、教えてもらいました」

これはゲンツさんが話してくれたのかな?

「だから、わたしも使えるかもしれません。でも、使えなくても、ユナお姉ちゃんのせいじゃないから気にしないでください」

できれば、二人とも魔法が使えてほしいものだ。

「わたし、詳しくないんだけど、親の得意な魔法って子供にも受け継がれるの?」

漫画や小説だと、親の得意魔法は子供も同じ魔法が得意って設定が多い。

「基本的に関係ないとは言われていますが、親が使える魔法は子供も得意になることが多いみたいです」

「やっぱり、そうなの?」

「たぶん、それは子が親の魔法を見て育つので、その属性の魔法のイメージがしやすくなるからだと言われています」

たしかに、小さいときから、親の魔法を見て育てば、頭の中に刷り込まれていくかもしれない。

「ノア、詳しいね」

「どうして、魔法を使えるユナさんが知らないんですか?」

「だから、独学で覚えたからそういうことを知らないんだよ」

なんせ、ゲームで覚えた感覚でやったら、魔法が使えただけだ。そういう細かいことは知らない。

「あのう、やっぱり、そういう勉強もしないといけないんですか?」

フィナが不安そうにする。

「大丈夫だと思いますよ。わたしだって、魔法が使えるか分かりませんから」

「知らないわたしが、魔法使えるんだから大丈夫だと思うよ」

魔法に必要なことは、魔力とイメージ力だと思っている。

「フィナ。そういえば、魔法を使うための媒体ってどうする?」

ノアはエレローラさんからペンダントを貰っている。でも、フィナは持っていない。

「お母さんが昔に使っていたものを貸してくれるって言ってくれましたので、大丈夫です」

「そうなんだ。それじゃ、魔法が使えるようになったら、誕生日プレゼントにわたしが買ってあげようか?」

わたしの言葉にフィナは首を横に振る。

「ユナお姉ちゃんには、くまゆるとくまきゅうと一緒にいる券を貰いました。だから、大丈夫です」

フィナはそう言うけど、魔法が使えたら、プレゼントしてあげようかな。