軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

52 クマさん、襲われている馬車を見つける

翌朝、日が出る前にベッドから起き上がる。

外はまだ暗い。

本来なら肌寒いかもしれないけど、クマさん服のおかげで寒さは感じない。

1階に下りると、すでにフィナが起きていた。

「ユナお姉ちゃん、おはようございます」

「おはよう。ノアは?」

「まだ、寝てます。起こすのが可哀想だったので」

「それじゃ、わたしが朝食を用意しておくから、ノアを起こしてきて」

フィナにノアのことを頼み、昨日飲んだスープとパンを朝食として用意する。

眠そうなノアが食堂にやってくる。

「おはようございます」

「眠そうね」

「いつもはまだ寝ている時間ですから」

「朝食を食べたら、出発するよ」

今日はくまゆるに乗って王都に向かって出発する。

王都に向かう途中に村がある。

村では新鮮な野菜を購入して後にする。

街を出発して3日目。

「ちょっと止まって」

くまゆるとくまきゅうを止める。

「どうしたんですか?」

「前方で人が魔物と戦っている」

「本当ですか?」

ここからでは視認できない。

確認できるのはクマのスキルのおかげだ。

ブラックバイパーを討伐したときにレベルが上がると探知スキルの能力が上がり、魔物や盗賊などの危険な物だけでなく、普通の人も探知できるようになった。

さらに、魔物の種類まで分かるようになった。

「ノアはどうしたい?」

「わたしですか?」

「わたしの仕事はノア、あなたの護衛。だから危険なところに向かいたくない。あなたを残して行くのも論外。わたしがいない間に危険なことになったら護衛ができなくなるからね」

「クマさんたちに護衛を任せれば」

「あなたたちを乗せて戦うのは無理」

「それでは襲われている魔物の近くまで一緒に行くとか?」

「襲っている魔物があなたに襲い掛かったら、護衛の仕事をしているわたしとしては困るんだけど」

「襲われている人たちは勝てそうなの?」

「さあ、流石にここからじゃわからないわよ。人や魔物が死ねば反応が無くなるからわかるけど」

つまり、人が死んでから駆けつけるのか、危険を承知で今駆けつけるのか。

「…………」

10歳のノアが真剣に悩んでいる。

「冗談よ。助けに行きましょう。遠くから見て大丈夫そうならそのままで、危険そうなら助けるってことで。でも、危険そうな魔物だったら逃げる。それでいい?」

「うん」

クマを走らせる。

馬車が見えてくる。

その周りでは冒険者とオークが戦っている。

「1,2,3,4,5,6」

オークが6体。

冒険者は4人。

魔法使いの冒険者が1体のオークに押し倒されている。

剣士は馬車の横で1体のオークと戦っている。

残りの2人が少し離れた位置で4体のオークに囲まれている。

「くまゆる、くまきゅう! 2人の護衛を」

くまゆるたちに2人の護衛を頼む。

わたしはくまゆるから飛び降りてオークに向かって走りだす。

地面を蹴って加速を付ける。

オークが押し倒されている女性に向かって棍棒を振りかざす。

まずい。

手に魔力を集めて、魔法使いの女性に棍棒を振り下ろそうとしているオークに向けて風の刃を飛ばす。

オークは前の女にしか目が向かっていない。わたしには気づいていないオークの首を風の刃で切り落とす。

魔法使いの横を走りぬけ、次に近い馬車の近くで戦っている冒険者に向かう。

この位置から風魔法を使うと剣士の冒険者も一緒に斬ってしまう。

土魔法を使い、オークの下半身の動きを止める。

「なに?」

剣士が驚く。

「下半身の動きを封じたから後は自分で止めをさして!」

声を掛けると馬車から離れて四体のオークと戦っている冒険者に向かう。

囲まれるように戦っているため、風の刃は先ほど同様使えない。

土魔法を使っても上半身で攻撃を受ける可能性がある。

手に魔力を集める。

「ショットガン」

空気の塊をオークに向けて放つ。

同時に4発。

それぞれのオークの体に当たり、後方に吹き飛ぶ。

吹き飛ばされたオークの体に冒険者が巻き込まれたのは仕方ない。

倒れたオークが立ちあがる。

冒険者も立ちあがろうとする。

「危険だから寝てて!」

冒険者に向かって叫ぶ。

立ち上がったオークに向けて大きな風の刃を横に飛ばす。

オークの体が真っ二つになってオークが崩れ落ちる。

そのオークの血が倒れている冒険者に掛かったのはわたしのせいではない。

オークの血で血みどろになった冒険者に近寄る。

「大丈夫?」

「あなたは?」

オークに囲まれていたのは二人とも女性だった。

なら、オークの血で血みどろにしたのは可哀想だったかな。

「マリナ!」

馬車の近くで戦っていた冒険者が駆け寄ってくる。

「大丈夫か」

「ええ、大丈夫よ。その変な格好をした女の子に助けてもらったから。そっちは」

「わたしもエルも、その女の子に助けてもらったから大丈夫」

「そう、エルも無事なのね。改めて御礼を言うわ。助けてくれてありがとう」

「どういたしまして、通りかかっただけだから気にしないでいいよ」

「わたしはこのパーティーのリーダーをしているマリナ、そっちの大きな剣を持っているのがマスリカ、そっちが」

「エルよ」

一番初めに助けた魔法使いはエルという名らしい。

オークはそのままにして馬車に戻る。

その戻る途中にくまゆるたちを呼ぶ。

念話か、分からないけど、離れていてもくまゆるたちに指示を出すことはできる。

「エル、大丈夫か」

「ええ、大丈夫よ。もう少しで、殺されるところだったけど」

服を掴まれたせいか、服は破け、白い肌が見えている。

手で隠してるが胸が大きいため手から溢れている。

わたしの敵か!

「あなたのおかげで殺されずにすんだわ。ありがとう」

「気にしないでいいよ。偶然、通りかかっただけだから」

そんな会話をしていると、

「なに、あれは!?」

こっちにやって来るくまゆるたちを見て冒険者たちが剣を構える。

「大丈夫よ。わたしの召喚獣だから」

「召喚獣?」

くまきゅうに乗ったノアたちがやってくる。

「ユナさん! 大丈夫ですか」

「大丈夫よ」

「良かった」

2人がくまきゅうから降りてわたしに心配そうに抱きついてくる。

2人とも10歳の女の子なんだから仕方ない。