軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

47 クマさん、王都に行くことを伝える

昼過ぎの午後のためか、商業ギルドは人が少ない。

受付に行くとミレーヌさんが暇そうにしている。

「ユナさん。どうかしましたか?」

「しばらく王都に行くことになったからその報告に。だから、卵のことはティルミナさんにお願いね」

と言っても、もともと卵のことはほとんどティルミナさんに任せている。

たまに値段のことで相談に乗るぐらいだ。

「王都に行くんですか?」

「ちょっと護衛の仕事でね」

「どのくらい、王都にいるんですか」

「国王の誕生祭もあるみたいだから、それが終わるぐらいまでは居ようと思っているけど」

「そうなんですか。それじゃ、王都に行ったらお土産を楽しみにしてますね」

「いいけど、欲しいものあるの?」

「そこはユナさんにお任せします」

それが、一番困るんだよね。

「ああ、そうだ。お土産じゃないけど」

クマボックスからプリンを取り出して、ミレーヌさんにプレゼントする。

「これはなんですか」

「プリンっていう食べ物。コケッコウの卵から作ったの。冷蔵庫にでもいれて、休憩時間にでも食べて。あと、帰ってきたら感想聞かせてくださいね」

「ありがとうございます。後で食べさせてもらいますね。お礼ではないですが、これをお持ちになってください」

ミレーヌさんは紙に何かを書き、封書に入れ渡してくれる。

「これは?」

「わたしの紹介状です。もし、王都の商業ギルドで困ったことがありましたら、こちらを商業ギルドに渡してください。少しは融通が利くと思いますので」

「ありがとう」

ありがたく紹介状を受け取っておく。

商業ギルドには行く予定がある。

「プリンは忘れずに冷やして食べてね」

プリンの食べ方を注意して商業ギルドを出る。

あと、行く場所はフィナの家、冒険者ギルド、孤児院の3つ。

道順だと次は冒険者ギルドになる。

依頼を達成した冒険者が帰ってきているが、ギリギリ混む前には来れたらしい。

中に入り、受付のヘレンのところに行く。

「あっ、ユナさん」

「これをお願いしたいんだけど」

クリフから預かった手紙を渡す。

ヘレンは受け取った手紙に目を通す。

「これは、クリフ・フォシュローゼ様の指名依頼ですね。王都までの護衛ですか。受付処理をしますので、ギルドカードをよろしいですか」

ギルドカードを渡す。

「それじゃ、しばらくユナさんは街からいなくなるんですね」

「どのくらいか分からないけどね」

「ユナ。おまえさん、どこか行くのか」

どこから現れたのかギルドマスターがいた。

「ユナさんはクリフ様の依頼で王都まで行くんですよ」

「あいつの依頼か。ああ、国王の誕生祭か」

「クリフはしばらく王都に行けないから、娘のノアだけ連れていくことになったのよ」

「王都か…………」

ギルドマスターがわたしをじっくり見てくる。

「ユナ、ちょっと待ってろ」

待っていると、ギルドマスターが戻ってくる。

「これを持って行け」

また、手紙を渡される。

「なにこれ?」

「おまえさんが王都の冒険者ギルドで暴れないようにするためだ」

「どういう意味よ」

「おまえ、ここに初めて来たときのことを忘れているのか。どうせ、その格好で王都に行くんだろう」

この街ではクマの格好は受け入れられている。

もう、ギルドに来ても絡んでくる者はいない。

街を歩いても奇妙な目で見られることも減った。

逆に子供たちが寄ってくることが多くなった。

ゆるキャラみたいなマスコットになった気分だ。

「この手紙を渡せばギルドが多少は面倒を見てくれるはずだ」

それはありがたい。

いちいち、殴り倒すのも面倒だ。

「ありがとう、助かるわ」

お礼を言って受け取る。

冒険者ギルドを出て、次にフィナの家に向かう。

ゲンツさんはいなかったが、女性3人はいた。

「あら、ユナちゃんいらっしゃい。どうしたのこんな時間に」

「ユナお姉ちゃん、来たの!」

2階からフィナが降りてくる。

その後ろからシュリも付いてくる。

「明日から、しばらく王都に行くことになったから、それを伝えに来たのよ」

「ユナお姉ちゃん、王都に行くの?」

「護衛の仕事でね。それで、ティルミナさん大丈夫だと思うけど孤児院のことはお願いしますね」

「了解。まあ、トラブルになることはないから、ユナちゃんは王都をゆっくり観光でもしてきなさい。初めてなんでしょう?」

「王都、いいな」

「フィナは行ったこと無いの?」

「ないです」

「まあ、わたしのせいね。夫が死んでわたしが病気になったせいで、この子には苦労をかけたから」

「なら、一緒に来る?」

「え、いいの?」

「まあ、護衛対象と2人の旅だし、1人ぐらい増えても問題はないよ」

「ユナちゃんいいの? 仕事なんでしょう」

「なら、明日。護衛対象者に聞いてみるよ。それで許可が出たら行く。駄目なら留守番」

「お姉ちゃんいいな」

「シュリは駄目よ。お母さんと留守番」

「ううううぅ」

「お母さんと2人はイヤ?」

シュリは首を左右に振る。

「イヤじゃない」

ティルミナさんは娘のシュリを抱きしめる。

「それじゃ明日の朝、迎えに来るから。準備はいらないけど、持っていく物があったら用意しておいて、わたしのアイテム袋に入れるから」

最後に孤児院に行き、院長先生や子供たちにしばらく来れないことを伝え、ウルフの肉を置いていく。