軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

471 クマさん、カガリさんの秘密を知る

「あの炎の中に飛び込んで、嬢ちゃんは怪我はないのか!? 火傷は?」

カガリさんが心配そうにわたしの顔に触れる。そのときに大きな胸がわたしの前にぶら下がる。

「この服は特別な布でできているから、あのぐらいの炎なら守ってくれるから大丈夫だよ」

「あのぐらいだと? いったいどんな布で作られているんじゃ」

カガリさんは今度はわたしの体に触れる。その度に目の前に大きな果物が2つ揺れる。

「嬢ちゃんが大蛇の炎の中に入ったときは驚いたぞ」

どうやら、心配をかけたみたいだ。

「だが、本当に倒してしまうとはな。これで残りは三つじゃな。それで確認じゃが、風の大蛇を倒す方法はあるのか?」

カガリさんは風の大蛇に視線を向ける。

風の大蛇はカガリさんを見失ったせいか、火の大蛇が倒されたためか、動きが止まっている。

ただ、体に纏わり付いている風だけは、巻き起こしている。その風で火の大蛇で燃えた草木が、さらに燃えさかる。

ルイミンとサクラがいる建物に燃え移っていないか気になるが、もしものことがあればくまゆるとくまきゅうが逃がしているはずだ。

「さっきの方法は近付かないとできないから、大蛇にまとわりついている風のせいで、倒せないと思う」

あくまでクマ装備は防御耐性があるだけで、攻撃を受けないわけじゃない。衝撃をわたしの体に伝えないだけで、その力を受け流すわけではない。クマ装備に衝撃が加わればわたしは弾き飛ばされる。

「風を止める方法があればいいけど……」

カガリさんの攻撃した様子を見ると、半端な攻撃では風に弾かれる。

大きな魔法はどうなるか問題だ。火を放って、炎に包まれて倒れてくれたらいいけど。ファイヤトルネードなどになったら、最悪だ。それで倒せればいいけど、そんなことで倒せるなら、過去の戦いで行なっているはずだ。

「そうか。なら、岩の大蛇、水の大蛇はどうじゃ?」

岩は硬いだけのイメージだ。火の大蛇と同じ方法でも倒せそうだし、体内破壊もできそうだ。水の大蛇は電撃も効きそうだし、クマの炎で沸騰させて倒すこともできそうだ。炎の大蛇や風の大蛇と違って倒す方法がある。

「……そっちは大丈夫だと思う」

「ふふ、大蛇相手に倒せると言われると、笑いしか出てこぬな」

「別に冗談で言っているわけじゃないよ」

笑っているカガリさんに言う。

「火の大蛇との戦いを見れば分かる。お主がそう言うなら倒せるんじゃろう。そして、お主に風の大蛇を倒す方法がないと言うなら、妾が風の大蛇を倒す。だから、残りを任せてもよいか? たぶん、風の大蛇と戦ったら、妾はもう戦えぬ」

それって、始めに言っていた秘密技を出すってこと?

見てみたい。

大魔法? それとも変身? 狐に変身だったらいいな。

くまゆるとくまきゅうと違ったモフモフかもしれない。

「妾は戦力として、役にたたない。囮としても引き付けることもできない。妾をいないものと思ってくれ」

「いないものって。それって、死ぬってわけじゃないよね?」

もし、死ぬようなことなら、させられない。

まだ、倒す方法がないだけで、どうにかなるかもしれない。

自己犠牲の物語は好きじゃない。もちろん、感動はするし、泣くこともある。ただ、そういうキャラには死んでほしくない。たとえ救いがない物語だとしてもだ。わたしはハッピーエンドが好きだ。

「ふふ、大丈夫じゃよ。死にはしない。ただ、無力になるから、大蛇が暴れれば死ぬかもしれぬ」

「本当に死なないんだよね?」

「約束しよう。妾は死なぬ」

カガリさんはわたしの目を見て、ハッキリと言う。

「お主が他の大蛇の頭を倒してくれれば、妾は死ぬことはない」

「わかった。それじゃ、カガリさんが風の大蛇を倒したら、残りの大蛇の頭はわたしが倒すよ」

「そうか、なら、お主に全てを賭けよう。もし、倒せなかったら、妾もあとを追うから安心せよ」

それって、わたしが死ぬことになっていない?

無理だったらわたしは逃げるよ?

そんなわたしの思いに関係なく、カガリさんは体に力を込め始める。

「少し離れておれ、妾に近寄るではないぞ」

カガリさんのお尻あたりが膨らみ、クネクネと何かが動き、服の下から新しい尻尾がでてくる。

おお、尻尾が増えるとパワーアップするの!?

尻尾の増える数は一本や二本じゃない。

「嬢ちゃん。できれば、この格好を見ても妾のことを怖がらずにいてほしい」

カガリさんは帯を緩め、服を脱ぎ、わたしに向けて放り投げる。

カガリさんの体が金色に輝き、体が変化していく。

顔はとんがり、腕と足は動物の足になり、体は金色の毛に包まれる。

「……狐」

九尾の狐。

そう、思ってしまう。

尾は9本、金色の狐。綺麗な体。

カガリさんの体は巨大な狐と化した。

大きさはくまゆるやくまきゅうよりも大きい。大蛇の頭ぐらいはある。

おお、秘密技は狐への変身だったよ。

ちょっと、感動だよ。

カガリさんは大狐に変わると、空を駆けるように飛び上がる。

風の大蛇は 大狐(カガリさん) を見つけると、風を飛ばしてくる。 大狐(カガリさん) は空で方向転換してかわす。

……空を飛んでいる。

大狐になったことも驚いたけど、空を飛んでいることに驚いた。

空を飛べるんだ。

大狐(カガリさん) は風の大蛇の周りを飛び、攻撃をかわしながら様子を窺う。

口から炎の玉を吐き出す。炎は大蛇の風に当たると弾け飛ぶ。

やっぱり、あの風が厄介だ。

大狐(カガリさん) は大蛇の周りを飛ぶ。

もし、わたしも空を飛べたら戦いが楽になる。ただ、クマの着ぐるみ姿で飛ぶのはシュール過ぎる。

大狐(カガリさん) は炎を吐きながら、少しずつ大蛇に近寄っていく。

大蛇は大きな口を開いて、 大狐(カガリさん) に噛みつこうと頭を伸ばすが、 大狐(カガリさん) は逃げる。そして、タイミングを合わせるかのように風の大蛇の頭に噛み付いた。

大蛇は頭を振って、振り払おうとする。だけど、大狐となったカガリさんは離れない。

さらに深く噛みつく。

風の大蛇に纏わりついている風が 大狐(カガリさん) を傷つける。

大狐(カガリさん) は爪を立て、風の大蛇に突き立てる。

最後は噛み切った。

大狐は空を飛び、さらに襲い掛かる。何度も何度も噛み切る。風の大蛇は再生しようとするが、それよりも早く、 大狐(カガリさん) の攻撃が続く。

強い。

これなら、カガリさんがいれば他の大蛇にも勝てるんじゃ、と思ったけど、カガリさんの言葉を思い出す。時間制限があるのかもしれない。

大狐(カガリさん) は噛むと、口元から炎が出る。風の大蛇の巻き起こす風と重なって 大狐(カガリさん) の体と一緒に燃える。

だけど、大狐は構わず、口元から炎を吐き出す。

傷ついた頭の中に炎が吐き出される。

風の大蛇は苦しむ、何度も頭を振って、 大狐(カガリさん) を振り落とそうとする。

だけど、 大狐(カガリさん) は大蛇にしっかりと噛み付き、離さない。

「ぐぅぅぅぅっ」

大狐(カガリさん) は唸るように噛み切った。

さらに、前足を噛み切った頭の中にいれる。そして、前足を引き抜くと、大きな緑色の魔石が飛び出した。

それと同時に風の大蛇に纏っていた風が消える。

大狐(カガリさん) は再生されないのを確認すると、噛み切った場所に炎を吐く、吐く、吐く。

大蛇は暴れ、最後の力を振り絞って、 大狐(カガリさん) を振り落とすが、 大狐(カガリさん) は空を飛ぶ。

魔石を失い、頭を焼かれた風の大蛇の体は電池が切れた玩具のように音を立てて倒れた。

本当に倒した。

わたしは火の大蛇と同じように再生しないうちに風の大蛇の魔石のところに向かう。どこかの主人公みたいに○○○をしておけば良かったとならないように、クマボックスに回収しておく。

回収すると大狐の姿のカガリさんがわたしの隣にやってくる。

顔や体が傷付いている。

「カガリさん、大丈夫!?」

「大丈夫じゃ」

狐の姿だから、どれほどの怪我か分からないけど、大丈夫そうだ。

「カガリさん、狐に変化できるんですね」

尻尾を触りたい。くまゆるとくまきゅうは丸い可愛い尻尾だけど、 大狐(カガリさん) の尻尾は長くくまゆるとくまきゅうと違った尻尾だ。

でも、今は我慢する。それどころじゃないからね。

「そうじゃ。だが、この姿で戦うと魔力を消耗するのじゃ。すまぬが、もう魔力がない」

カガリさんはそう言うと、大狐がどんどん小さな子狐になったと思うと、6歳ほどの女の子になってしまった。

9本あった尻尾も小さな尻尾が1つしかない。

尻尾が消えてしまった。

子供の姿になったカガリさんの顔には血が流れてた。

わたしは軽く触れて、傷を治す。そして、ハンカチを出して、血を拭き取る。綺麗な顔になる。

「ありがとう」

どうやら、治療魔法には気付いていないようだ。

「あと、すまぬが、服を返してもらえぬか?」

人の姿になったカガリさんは一糸まとわぬ姿だ。わたしは持っていたカガリさんの服を返すと、服を着始める。

服を着たカガリさんは、サイズがあっていなく、ぶかぶかだ。

まあ、あんだけ胸が大きい女性だったのが、子供になってしまったら、服のサイズは合わなくて当然だ。

「元に戻るの?」

「時間をかければ戻る。だが、魔力がない妾はもう戦うことはできぬ」

カガリさん(ちゃん)は申し訳なそうにする。

たしかに、これじゃ戦えないよね。

カガリさんでなく、カガリちゃんのほうが合うぐらいだ。

もしかして、あの胸は魔力の容量を表していたのかもしれない。

つまり、わたしの魔力が増えれば、大きくなるってことだ。

「さっきから、どこを見ている?」

「な、なんでもないよ」

わたしはカガリさんから目を逸らす。

「なんにしても、妾は戦えぬ。あとは嬢ちゃんに任せる」

「岩の大蛇と水の大蛇でしょう。あとは任せて」

イメージ的に倒せない相手ではない。

それにしても、なにか調子が狂う。先ほどまで胸が大きな美人な女性だったのに、今度は美幼女だ。小さくなっても可愛いんだね。

わたしは何気にカガリさんの頭の上に手を置く。

「どうして、妾の頭の上に手を置くんじゃ?」

「なんとなく?」

「見た目はこうじゃが、お主より年上じゃぞ」

それは分かっているけど、人って見た目は大切だよね。

このセリフ。何度、自分に言ったか分からない。

「それじゃ、残りも倒しちゃおうか。カガリさんは離れた場所にいてください」

「そうさせてもらおう。この格好ではお主の足手まといになる。逃げることもできぬからな。ムムルートのところに行っておる」

カガリさんはそう言うと、大きな服をたくし上げ、歩きづらそうにムムルートさんがいる建物に向かう。

わたしは一番近い、くまゆるとくまきゅうが守った建物に向かう。