軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

469 クマさん、大蛇と戦う その1

大蛇の体は真っ赤に燃え、近くの草木を燃やす。

「くそ、熱いぞ」

カガリさんは魔法で大きな水を作り出すと、自分の頭上で拡散させる。カガリさんは頭から水を被る。

服が透けて、少し色っぽさがでる。やっぱり、この色っぽさは胸なのかもしれない。わたしは自分の胸を見る。数百年ぐらい経てば、カガリさんみたいに成長するはずだ。

「嬢ちゃんはそんな格好で熱くないのか!?」

そんな格好のクマ装備のおかげで熱くない。快適なものだ。

「大丈夫だよ」

「そうか。ならよいが。見ているほうが暑くなるのう」

だからと言って、脱ぐわけにはいかない。

「それで、カガリさん。どうやって戦います?」

「できるなら、海に叩き落としてやりたいのう」

胴体が動かないとそんなことはできない。

「なら、他の大蛇も復活させる?」

「ふふ、冗談じゃ。そんなことをしたら、今より大変なことになる。もし、水の大蛇が復活して、海に行かれでもしたら、今以上に厄介になる。妾たちは海の上で戦うことはできぬ。水の大蛇の攻撃を受ければ、船は一発で沈む。妾たちは海の上では弱者じゃ」

波一つで船は揺れ、大きな波になれば船は沈む。海で魔物と戦うってことは、それだけ危険なことだ。

そう考えると、国王が提案している魔法使いを使って、大蛇を国から離すのは、危険な行為だ。

海に出ればどこにも逃げることはできない。大蛇を引き付けないといけない。

その囮を引き受けることになる魔法使いと船乗りたちは、間違いなく死ぬことになる。

そう考えると、その方法は絶対にやらせてはいけないと思う。

「それじゃ、ここで倒しちゃえばいいってことだね」

「そうじゃ、ここで倒せば何も問題はない」

わたしとカガリさんは笑みを浮かべる。

「なら、ゆくぞ」

わたしとカガリさんは駆け出す。

わたしは高く飛び、大蛇の頭付近まで上がる。そして、燃え盛る頭に向かって水球を放つ。

水球は火の大蛇の頭に当たった瞬間に蒸発する。

熱したフライパンに水を垂らした感じだ。

カガリさんも両手から水流のように水を飛ばすが、ダメージは与えられていない。

火の弱点は水でしょう。少しぐらいダメージは食らっているの? ダメージを与えているようには見えない。

試しに、クマの風の刃を放つ。炎が強く燃えさかる。

今度は大きな岩を作り出し放つ。頭に当たるが、弾き飛ばされる。

う~ん、物理はダメ?

氷の塊を放つが、岩と同様に弾かれるだけだ。ただ、当たった箇所は炎が弱まるので、岩よりは効果はある。

「魔力で硬くなっている。目、口、その辺りを狙え!」

カガリさんはそう言うと、目や口を狙う。だけど、頭は動き、当たらない。さらに言えば数十メートル以上の高さにあり、飛び上がらないといけない。

地面に頭を叩きつけるときに攻撃を仕掛けるが、頭が動くのでタイミングがとりづらい。

さらに厄介なのは頭が地面を這いずると、周りの樹木と一緒に波のように襲ってくるから、戦いにくい。

それでもわたしたちはタイミングを合わせて攻撃を仕掛ける。

わたしはくまゆるとくまきゅうぐらいの大きさのクマの水を作り出し、放つ。

水のクマは火の大蛇の顔に命中すると、沸騰し始め、クマの形が維持ができず、最後は破裂するように拡散した。

命中した場所は炎の勢いが弱くなる。ダメージは与えているみたいだ。火の大蛇は嫌がるように頭を振っている。だけど、致命傷にはなりそうもない。

あと、ダメージ与えられそうなのは電撃魔法ぐらいになる。

カガリさんの前だけど、試してみる。今は隠している場合ではない。

魔力で電撃のクマを作りだす。パチパチと音をたてる。電撃クマに風を纏わりつかせ、電撃クマを発射する。電撃クマは火の大蛇の体に命中する。

火の大蛇の一部の皮膚が剥ぎ取られる。

だけど、炎で燃えさかると、修復される。

ちょっ、再生が速いよ。

それに電撃魔法でもダメ?

どんだけ硬いの。いや、魔力耐性が高いのかもしれない。

ゲームでもあったけど、魔法が効かない相手はいた。でも、今回は物理でもダメージが与えられない。

無理ゲーじゃない?

「嬢ちゃんは面白い魔法を使うんじゃな」

「気にしないでもらえると助かるよ」

「あやつを倒せることができるなら、気にしないぞ」

「ちなみにカガリさんは秘密技って持っていないの?」

数百年生きる大狐だ。必殺技の一つや二つ持っていてもおかしくはない。あの尻尾が増えるとか。現在は三つ尻尾が見える。

「……あるが、今は使えぬ。使ったら、動けなくなる」

その手の必殺技か。

わたしも魔力を使いきったら、怠くなって動けなくなる。

クラーケンを倒したときのことが思い出される。

まして、大蛇の頭は四つある。もし、一つを倒すのに使ってしまったら、他の三つを残すことになる。

わたし一人で三つ倒せると約束ができればいいけど。この火の大蛇の頭だけでも厄介だ。

さて、どうしたものか。

とりあえず、炎による体内破壊はダメだ。

火は海に落とすが一番だけど、火の大蛇の頭だけを落とすのは無理。

なら、方法は一つ。

「カガリさん、大技を使うから、離れて」

「わかった」

カガリさんが後方に下がる。

なんか、わたしを信じて、従ってくれるのは嬉しいね。わたしのことを信頼してくれているってことだ。

わたしはクマさんパペットに魔力を集めながら、火の大蛇に向かって走る。

「嬢ちゃん!」

熱風がわたしに襲いかかるが、クマ装備のわたしには効果はない。

わたしは魔力を集めたクマさんパペットを突き出す。クマさんパペットから、大量の水が放出される。水は水流となり、火の大蛇に巻き付くように上がっていく。

そして、水流は回転する。

ウォータートルネード。

水が回転して、火の大蛇の燃えさかる胴体から頭に向けて、水の竜巻が襲う。

魔力の消耗が大きいから、できれば使いたくなかったけど。神聖樹のときに風の大きな竜巻を使ったときも魔力を消耗した。

でも、短時間なら、魔力は抑えられるはず。

水の竜巻は火の大蛇に纏まりつき、炎を消す。

よし、消えた。

火の大蛇は倒れ、水の竜巻が消える。

「嬢ちゃん! よくやった!」

後ろにいたカガリさんがわたしを追い越しして、火の大蛇に向かって走りだす。そして、攻撃を仕掛けようとしたとき、火の大蛇の体が燃え始める。

「ちょ…」

人が苦労して消したのに、もう復活するの?

大蛇の体の炎が消えたのは一時的で、すぐに大蛇の体は燃えだす。大蛇は首を上げ、首を横に大きく振り、薙ぎ払う。

ただの薙ぎ払いじゃない。燃えさかる大木が迫ってくる感じだ。横に逃げても長くて避けることはできない。わたしとカガリさんは上に飛びあがる。

「尻尾が燃えるじゃろう」

カガリさんは避けながら水を放つが焼石に水だ。

「これは思ったより、魔力を蓄えておったようじゃのう」

「あの炎は魔力ってこと?」

「始めに言ったじゃろう。あやつの体は魔力に覆われていると」

それで、皮膚が硬くなっていると聞いた。

「その大蛇の体を魔力が覆い、皮膚を硬くし、炎を燃やしている」

「それって、他の大蛇の頭もそうだと言うこと?」

「そうじゃ」

これは思ったより面倒かもしれない。

大蛇は頭を上げると怒り、口を開くとところ構わずに炎の塊を吐き出す。わたしたちは避けるが、周囲の木々が燃えさかる。

「マズイ、そっちの方向は」

カガリさんが叫ぶ。

大蛇が放った炎の塊の一発が、大蛇が封印されている建物に向かう。

炎は建物に当たり、建物が燃え出す。

隣の建物だ。あの建物にはルイミンやサクラはいないはず。

もし、2人がいたら危なかった。

「嬢ちゃん! 大蛇を頼む。妾は建物に向かう」

カガリさんは駆け出す。

頼むって言われても、どうしたら。

わたしは黙らせるため、もう一度、ウォータートルネードを放つ。

水の竜巻が火の大蛇を襲う。

再度、体の炎は消え、攻撃も止まる。

ったく、強すぎるでしょう。

こんなのどうやって倒せばいいの?

体内破壊ができないのが予定外だ。大きな魔物なら、体内破壊で倒せると思っていたわたしが甘かった。

火の大蛇は首を地面に擦り付けるとウォータートルネードを消す。

それと同時に地面が揺れる。

この揺れはもしかして、さっきの炎で建物が壊れたせい?

地面が更に揺れる。

もう一つの大蛇の頭が復活する!?

このままだと、大蛇の頭を二つ同時に相手にすることになる。

時間が無さすぎる!

あと、どのくらいで復活する!?

火の大蛇が復活したときは、揺れてから、暫く猶予があった。

どうする?

どうやって、倒す?

火の大蛇は硬い。体内破壊はできない。岩は当たってもダメージは通らない。風は効かない。水魔法は嫌がらせ程度にしかなっていない。

やっぱり、電撃魔法?

わたしは思考を巡らせる。

その間も地面は揺れる。

火の大蛇は炎を吐く。わたしは避けながら考える。

どこを破壊すれば倒せる?

心臓? 魔石? どこにある? 胴体?

考えていると、地揺れは大きくなり、地面が割れ、二つ目の頭がゆっくりと地面から出てくる。

……二つ目の頭。

「すまぬ。復活を防げなかった」

カガリさんが申し訳なさそうにやってくる。

別にカガリさんのせいじゃない。

大蛇の炎が建物にぶつかった時点で復活することになっていた。あの炎の攻撃を防がないといけなかったのだ。

復活したばかりなんだから、しばらくは大人しくしてほしいけど。

そう思ったとき、風が巻き起こる。

なに?

その理由はすぐに分かる。

新しい大蛇の体に風が纏わりついているからだ。

「次は風の大蛇か。最悪の相性じゃな。これが水の大蛇なら、炎と相性は悪いから戦いようがあったんじゃが」

それなら、どこにどの頭が封印されていたか覚えておいてよ。と言いたくなる。

二つの大蛇の頭がそびえ立つ。