軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

42 クマさん、鳥を飼う

翌日、朝早く昨日設置した転移門を使って村に向かう。

村に入るとわたしに気づいた村の人がやってくる。

「どうしたのですか」

「村長さんに会いたいけど、大丈夫かな」

「大丈夫だと思いますよ」

親切に村長の家に案内をしてくれる。

「これはユナさん。どうしたのですかな」

「おはようございます。ちょっとお願いがありまして」

「ユナさんのお願いなら、お聞きするしかありませんのう」

「先日頂いたコケッコウなんですが、生きたまま捕まえることはできますか?」

「はい、罠とかを仕掛ければ比較的簡単に捕まえることができます」

「それじゃ、捕まえてもらえますか。あと、できれば雌鳥でお願いします」

「村を救ってくれたユナさんの頼みです。それで数はどれほどを」

「多ければ多いほどいいですけど、それだと、村の食べる数が減ってしまいますから。村に影響がでない程度でお願いします」

「わかりました。それではさっそく、村の手が空いている者に捕まえに行かせましょう」

「ありがとうございます」

「それで、ユナさんはどうなさりますかな」

「山ですることがあるので、それが終わったら戻ってきます」

「昼過ぎまでに何羽か捕まえることができると思います」

「それじゃ、お願いします」

転移門がある洞窟まで戻ってくる。

洞窟の中に入り、一度転移門を消す。

洞窟をさらに広げて、土魔法で家を作り出す。

一階建ての小さなこぐまの形をしている。

部屋割りは台所、トイレ、風呂場、自室になっている。

各部屋に光の魔石を設置する。

最後にこぐまの玄関のドアの隣にクマの転移門を設置する。

これで、拠点一号が完成する。

村に戻ると、縄で縛られたコケッコウが20羽ほどいた。

どこから見ても鶏です。

思ったよりも多い。

「こんなにいいんですか?」

「すぐに 雛(ひな) が生まれて育つので大丈夫です。なによりも、この辺は魔物がいないせいで鳥も育ちやすい環境になっていますから、安心して持っていってください」

「ありがとうございます」

村の人にくまゆるとくまきゅうから、コケッコウが落ちないように縄で縛り付けてもらう。クマボックスに生きたまま仕舞えれば良かったんだけど、それができないから仕方ない。

「ほんとうに今から帰るのですか」

「ええ、早い方がいいので」

「そうですか。おもてなしをしたかったのですが」

コケッコウの代金を受け取ろうとしない村長に無理やり渡し、転移門がある洞窟に向かう。

洞窟の入り口は土魔法で塞ぎ転移門でクマハウスに移動する。

コケッコウはくまゆるたちに縛り付けたままにしておく。

死なないよね?

外は暗くなり、深夜にクマが動き出す。

暗闇の中をクマが走る。

誰もいない道を走り抜けるクマ。

え、転移門使えばいいって?

街の中をクマで走りたかっただけだよ。

孤児院の側を通り抜け、商業ギルドで買った土地にやってくる。

くまゆるから降りて、土地を確認する。

この辺でいいかな。

土魔法で鶏小屋を作る。

さらに鶏小屋の周りに高さ3mほどの壁を囲むように作る。

これぐらいの高さがあれば逃げないよね。

くまゆるたちを連れて鶏小屋に入る。

コケッコウを縛っている縄を 解(ほど) く。

縄から解放されたコケッコウは小屋の中を動き回る。

生きていることを確認できてホッとする。

今日はここまでにしてクマハウスに帰る。

翌朝、朝食を済ませると孤児院に向かう。

孤児院に向かうと、鳥小屋がある壁の前に孤児院の子供たちが集まっている。

「クマのお姉ちゃん」

子供たちがわたしに気づきやってくる。

「クマのお姉ちゃん。朝、起きたら、いきなり壁ができてたの」

「わたしが作ったからね」

「お姉ちゃんが?」

孤児院の子供たちが見る。

「とりあえず、孤児院に行きましょう。院長先生に話があるから」

子供たちを連れて孤児院に向かい、院長先生に会うことにする。

孤児院に着くと、院長先生と20歳前後の女性がいる。

この人が院長先生が言っていた孤児院で働いているリズって人かな。

「これはユナさん。昨日はありがとうございました。こっちは昨日話したリズです」

「リズです。先日は食料ありがとうございました」

リズは頭を下げる。

「気にしないでいいよ。ただの気まぐれだから」

「それで、今日はどのような用件で」

「子供たちに仕事を与えたいんだけどいいかな。もちろんお給金は払うよ」

「子供たちに仕事ですか?」

「心配しなくても危険な仕事とかじゃないから」

「それじゃ、どんな」

「外にある壁は見ました?」

「はい。朝起きたら壁ができていて子供たちが騒いでいましたから」

「壁は昨日の夜にわたしが作りました。その壁の中で子供たちに鳥の世話をしてほしいんだけど」

「えーと、一晩で壁を作った?」

「鳥の世話?」

院長先生とリズがそれぞれが違う理由で驚く。

「壁は魔法で作りました」

「どのような仕事なんですか」

「朝一で卵の確保。小屋の掃除、鳥たちのお世話ですね。ちなみに鳥は食べ物じゃないから食べないでくださいね」

「つまり、卵を売って商売をするってことでしょうか?」

「この街だと卵の価値が高いみたいだからね」

「本当にそれだけでお金を頂けるのでしょうか」

「他にもお願いしたいことがあるけど、今はそれだけかな。どうします?」

院長先生は子供たちの方を見る。

「あなたたちどうしますか? ユナさんが仕事を与えてくれるそうです。働けばご飯が食べられるようになります。働かなければ、数日前までと同じ状態になります。ちなみにユナさんが食料を持ってきてくれることはもうありません」

子供たちに問いかける。

「やります」

「やらしてください」

「わたしもやる」

「俺も」

「ぼくも」

子供たちが元気よく返事をする。

「全員やるってことでいい? それじゃユナさん。この子たちのことをお願いできますか」

「はい、それとリズさんをお借りしてもよろしいでしょうか」

「わたし?」

「はい、この子たちのまとめ役をお願いしたいので」

「そういうことでしたら、構いませんよ。リズ、しっかりユナさんの指示を聞くのですよ」

「はい、院長先生」

ドアを開けて壁の中に入り、鳥小屋に入る。

鳥小屋に入るとコケッコウが寝ている。

「あなたたちの仕事は、

その1、外が晴れているとき、朝一で鳥たちを外に出すこと。

その2、鳥小屋にある卵を確保すること。

その3、鳥小屋を掃除すること。

その4、鳥に水、餌をあげること。

その5、最後に鳥たちを鳥小屋に戻すこと。

できる?」

子供たちに尋ねる。

子供たちは迷うことなく返事をする。

「それじゃ、鳥を出してあげて。鳥が産んでくれた卵は、あなたたちの食べものを買うお金に変わるのだから、やさしくね」

子供たちは返事をする。

「卵はこの容器に入れて」

土魔法で卵用ケースを作る。

卵の形をした穴がある10個入るケースだ。

予備も含めて100個ほど作っておく。

子供たちは卵を持ってくる。

穴が10個埋まる。

ちょうど1パック分。

20羽なら上出来かな。

環境の変化もあるだろうし、

「リズさん、昨日もらってきた野菜くずってありますか?」

「はい。あります」

「それを鳥たちに食べさせてあげてもよろしいですか?」

「それは」

野菜くずでもリズさんが頭を下げて貰ってきた食べ物だ。

それを鳥に食べさせるには戸惑いがあるのだろう。

「大丈夫です。鳥が卵を産んでくれます。それを売れば大丈夫です」

「わかりました。今持ってきます」

「わたしは一度帰ります。掃除が終わって、しばらくしたら、鳥を戻すように子供たちに言ってあげてください」

卵を持って、ある場所に向かう。