軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

421 クマさん、クマモナイトについて尋ねる

わたしとフィナはクリモニアに戻ってきた。

昨日、帰る旨をティルミナさんに伝えると孤児院で待っているからと言われたので、わたしたちは孤児院に向かう。

孤児院の近くにやってくると、孤児院の子供たちが遊んでいる姿がある。その中にシュリの姿もある。

「お姉ちゃん!」

「ただいま」

フィナは駆け寄ってくるシュリを抱きしめる。

そして、シュリと子供たちにティルミナさんの居場所を尋ねると、院長先生のところにいるらしい。

わたしは子供たちを引き連れる感じに孤児院の中に入り、院長先生がいる場所に向かう。

部屋には院長先生にティルミナさん、幼い子がいる。幼い子はくまゆるぬいぐるみを抱いている姿がある。くまのぬいぐるみのおかげで、泣くことが少なくなったそうだ。役にたっているようで良かった。

「ティルミナさん、戻りました」

「お母さん、ただいま」

フィナはティルミナさんのところに駆け寄る。

「お帰り。ユナちゃん、フィナは迷惑をかけなかった?」

ティルミナさんは娘の頭を撫でながら尋ねる。

「相変わらず、良い子でしたよ」

わたしは簡単にドワーフの街の出来事を話す。そして、ティルミナさんがフィナに頼んだ孤児院で使う調理道具をクマボックスから取り出すと、院長先生がお礼を言う。

「ユナちゃん、ありがとう。これで、調理が楽になります」

「お礼なら、ティルミナさんとフィナにお願いしますね。わたしは持ってきただけだから」

「そうですね。ティルミナさん、フィナちゃん。ありがとう」

「わたしはお母さんに頼まれただけです」

フィナは恥ずかしそうにする。

「まあ、古いのを使うのは危険だし、小さい鍋を何個も使うのは大変だからね」

「院長先生。調理道具以外にも、何か不便なところがあったら、言ってくださいね」

院長先生はあまり、欲しい物を言わない。だから、わたしにはなにが欲しいか、不便なところがあるかわからない。でも、一緒にいることが多くなったティルミナさんが孤児院の様子を見て、足らないものを購入している。今回の鍋などの調理道具がその一つだ。

それから、リズさんやニーフさんがやってきて、鍋や調理道具を見て大喜びした。

次にわたしはティルミナさんとフィナ、シュリと一緒にアンズのお店に向かう。

「スープを大量に作るのに、大きな鍋の数が足らなかったんです。新しいフライパンも嬉しいです。ユナさん、ありがとうございます」

アンズは嬉しそうに買ってきた大きな鍋を見る。

「お礼なら、ティルミナさんだね」

「はい、ティルミナさん、ありがとうございます」

「前から、欲しがっていたからね」

それから、揚げ物に使う鍋や包丁も置いていく。魚を捌く包丁ならミリーラの町で買ったほうがいいが、他の包丁を買ってきた。

アンズのお店を後にしたわたしたちは、次にモリンさんのお店に行く。

モリンさんのお店でもポテトチップやフライドポテトなどの揚げ物用の鍋を用意する。それから、細かい調理道具などを置いていく。

「助かるわ。ユナちゃん、ティルミナさん。ありがとう」

「他に必要な物ができたら、遠慮なく言ってくださいね」

「ありがと。そのときはお願いするわね」

くまさんの憩いの店を後にしたわたしは、ティルミナさんの家に向かう。そして、クマボックスから、ティルミナさんの家で使う調理道具を取り出す。

「長年使ってきたものが傷んでいたから、これで安心して、調理ができるわ。フィナがもったいないって、買わせてくれなかったから」

「だって、昔から使ってきたから」

「でも、古いのは取っ手が緩んだりして、危ないわよ。修理にも限界があるからね」

フィナらしいと言えばフィナらしい。お金が手に入ったからと言って、考えなしに買ったりはしない。わたしはお金があるとすぐに買ってしまうから、少しはフィナを見習わないといけない。

でも、わたしは昔から欲しいものは買ってきた。異世界に来た自分の行いをかえりみても、この性格は簡単には直りそうもない。

お金は使ってこそ、経済が回るからね。と自分に言い訳をしておく。

買った物を届けたわたしは1人でクマハウスに戻ってくる。

ああ、ちなみにティルミナさんにビッグボアの赤い角をお土産に渡そうとしたら、いらないと言われてしまった。

「うちにはそんな高価な角を飾る趣味はないわよ。食べ物のほうが嬉しいわ」

と言うので、今度、ビッグボアの肉を持ってくると約束した。もちろん、解体するのはフィナの役目だ。シュリも「やる~」と言っていたので、今度、二人に頼むことにした。

クマハウスに戻ってきたわたしは、このままベッドにダイブして、のんびりしたいところだけど。ムムルートさんの家に設置したクマの転移門が気になるので、ムムルートさんの家に戻ってくる。

部屋を確認するが、転移門が置かれている部屋には誰もいなかった。まあ、あれから、王都に行って、クリモニアに戻り、孤児院、お店にフィナの家に寄っていれば時間も過ぎる。

わたしはクマの転移門を片付け、ムムルートさんにお礼を言うため、ムムルートさんがいる部屋に移動する。

「嬢ちゃん、戻ってきたのか?」

「ムムルートさん、ありがとうね。助かったよ。でも、まさか魔法陣を用意しているとは思わなかったよ」

「昨日の夜に話を聞いて、用意してみました」

ちょっと笑みを浮かべるムムルートさん。

でも、そのおかげもあって、リッカさんは疑うこともせず。ムムルートさんのおかげで王都に行ったと思っている。まあ、クマの着ぐるみの格好をしたわたしの力って言うよりは、エルフの不思議な力のほうが説得力がある。

「ルイミンはいないんですか?」

部屋にはムムルートさんしかいない。

「ルイミンは買ってきた物を配りに行ったよ」

そうなんだ。

あとで、ルイミンに会いに行こうかな。でも、その前にムムルートさんに尋ねることにする。

「そうだ。ムムルートさんに見てもらいたいものがあるんだけど」

わたしは丸い鉱石。クマモナイトを2つ取り出して、ムムルートさんに見せる。ムムルートさんはクマモナイトを受け取って確認する。

「これは精霊石?」

ロージナさんが言っていた通りだ。

「どこで、これを?」

「ちょっと、手に入れることがあって。それで他の人に聞いたらエルフが詳しいって聞いて」

「たしかに我々エルフが詳しいですな」

「これって持っている人を強化してくれる石ってことでいいの?」

まあ、ゲームでは定番な装備品だ。

「それぞれの石には属性があり、風の精霊石なら風の魔法が得意な者が持ち、火の精霊石なら火の魔法が得意な者が持つと、効果がでます。だから、自分にあった精霊石を持っていないと意味はありません。我々、風魔法を得意とする者が火の精霊石を持っても、効果はないですからね」

まあ、ゲームでも装備品には相性があって、装備ができたり、できなかったりする。

「でも、この精霊石はすでに変化しているが、見たことがない。風なら緑色、火なら赤となる。でも、これは黒い」

普通に考えれば闇属性になるんだけど、この場合はクマなんだよね。

そもそも、闇魔法なんてあるのかな? イメージで魔力が変化するから、できなくはなさそうだけど。光と逆で暗闇とか作れるのかな? 今度試してみよう。

「えっと、それはクマの精霊石みたいなんだけど」

「クマ?」

ムムルートさんはわたしの言葉にクマモナイトとわたしのことを交互に見る。

嘘を吐いても話が進まないので、わたしは知っていることをムムルートさんに伝える。

くまゆるとくまきゅう、わたしが触ったことを。それから、わたしがずっと持っていたこと。

わたしが説明するとムムルートさんは納得したような顔になる。突っ込まれたり、説明をしなくて済むからいいけど。

「それじゃ、これを身に着けていれば、強化されるってことでいいの?」

これは自分で「わたしはクマ属性だから、クマの精霊石を装備しても大丈夫だよね」と言っているようなものだ。まあ、初めから、クマモナイトって名前からして、わたし専用の装備アイテムってことだ。

でも、どうして、クマの精霊石じゃなかったのかな? そこだけがわからないところだ。

「簡単に言えばそうなるが、このままでは効果は半減ですな」

「そうなの?」

「わしたちはこれを契約の儀式と呼んでおる。我々、エルフはこの力を与えてくれる石と契約することで、その石の力を引き出す」

「えっと、その契約ってどうやってするの?」

持っていればいいものと思っていたけど、効果は半減するらしい。どうせ装備するなら、効果が強いほうがいい。

「本来はお教えすることはできないところだが、村の恩人の嬢ちゃんになら構わない」

「いいの?」

「嬢ちゃんが言いふらすような人じゃないぐらいは、信頼しておる」

そんなことを言われたら、黙っているしかない。それにわたしもムムルートさんを信じて、クマの転移門のことを黙ってもらっているんだから、お互い様だ。

「それでは先ほどの部屋によろしいですか」

ムムルートさんは立ち上がると、魔法陣がある部屋に移動する。

「扉は片付けになられたのですね」

ムムルートさんはしゃがみ込み、床に敷かれている絨毯の端を手にするとクルクルと回して、魔法陣が描かれていた絨毯を丸める。そして、壁際の棚に片付ける。棚には丸められた絨毯がたくさんある。

「どれでしたかな?」

ムムルートさんはたくさんある絨毯を見て、探している。

「もしかして、そこにある絨毯って、さっきみたいな魔法陣が描かれているの?」

「ええ、ここにはいろいろな魔法陣が描かれた絨毯がある。この中に精霊石の力と契約する魔法陣があったのですが、どれでしたかな?」

と言いながら絨毯を探すムムルートさん。

「それじゃ、さっきの魔法陣もなにかの魔法陣だったの?」

「あれは疲労を回復する魔法陣ですな」

そんな魔法陣もあるんだ。そうなると、ここにある絨毯が気になってくる。どんな魔法陣があるのかな?

教えてほしいって言えば教えてくれるかな?

この手の物を見ると元ゲーマーの血が騒ぐ。

「この魔法陣って、絨毯に描いているの?」

「魔力を染みこませた糸で、縫いこんでいます。魔力の通りも良くなり、何度でも再利用ができますからね」

たしかに、毎回複雑な魔法陣を描くのは面倒だよね。魔法陣を見ても、複雑すぎて記憶はできない。紙に描いたとしても、地面に描くにはいろいろと面倒くさそうだ。絨毯に編み込めば、切断さえしなければ、広げるだけで使える。

「ああ、あった。これだ」

わたしが絨毯を気にしていると、ムムルートさんは一つの絨毯を取り出す。そして、床に絨毯を広げる。そこには先ほどの疲労を回復する魔法陣とは違う模様の魔法陣が描かれていた。