軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

337 クマさん、アイスを作る

クリフは仕事があるからと言って、部屋から出ていく。

わたしはララさんが持ってきてくれたお茶を、くまゆるとくまきゅうと遊ぶノアを見ながらのんびりと飲んでいる。

人生はまったりが一番だよね。

ノアはくまゆるとくまきゅうの手を握ったり、耳を触ったり、尻尾を触ったり、頭を撫で回している。

「ああ、そうだ。ユナさんにお願いがあるんですが」

「うん? なに? くまゆるとくまきゅうならあげないよ」

「もちろん、くまゆるちゃんもくまきゅうちゃんも欲しいですが、違います。わたしのお願いがクマさんだけだと思わないでください」

えっ、違うの? と口にすると話が進まなくなるので、口にしない。

「それでなんなの?」

「海にミサも誘ってもよろしいですか? あの子も海を見たことが無いと思うんです。だから、一緒に連れていってあげたいんです」

予想外のお願いだ。たしかに、ちびっ子三人組+ 一人(シュリ) の中、ミサだけを連れていかないのは可哀想だ。王都では仲良しだったし、誕生日会には誘ってもらっている。

それに今更一人や二人増えたところで変わらない。

「別にいいよ」

「本当ですか。ありがとうございます。それじゃ、今から手紙を書きますね」

ノアは嬉しそうにくまゆるとくまきゅうを離すと、紙とペンを用意して手紙を書き始める。

でも、ミサか。一人で来るわけがないから、グランさんも一緒かな? 親は来ないよね。あっ、ミサが来るってことは護衛にマリナたちが来てもおかしくはない。そうなると、女子率が上がることになる。もし、ギルが一緒に来てくれるようなら、どっかのハーレム漫画や小説のようなイベントになってしまう。

でも、実際のところはどうなんだろうね。もし、逆の立場だったら、女子一人に他が男性だったら逆ハーレムどころか危険信号だ。ハッキリ言って危険でしかない。でも、性別が違うから、嬉しいのかな?

男性を襲う女子はいないはずだ。……いないよね?

今回のメンバーにはいないことを祈りながら、ノアが手紙を書く姿を眺める。

「書けました。ララにお願いしてきます」

一刻も早く手紙を出したいのか、ノアは部屋から出ていく。

それから手紙を渡したノアが戻ってくると、クリフの姿もあり「食事をしていけ」と言われる。

なんでも、ミサを連れていってほしいと頼んだ、ノアの我が儘の謝罪だそうだ。

「ユナの迷惑を少しは考えろ」

「だって、ミサも海が見たいと思ったから」

「おまえな」

クリフは呆れる。

「そんなに怒らないであげて、別に迷惑じゃないから、ミサには誕生日会のお礼もあるから」

「なにを言っている。あれはグラン爺やミサーナがおまえさんに感謝することはあっても、おまえさんが感謝するところはないだろう」

まあ、いろいろあって、助けたりしたけど。

「ほら、一応、誕生会に呼ばれたから」

「いちいち、誕生会に呼ばれたぐらいで、感謝していたら、キリがないぞ」

たしかにそうだけど。そこはみんなを誘うのに、ミサだけを誘わないのはね。

「まあ、今回はフィナも会いたいだろうし、許してあげて」

わたしがそう言うと、クリフも納得したみたいだ。

翌日、フィナとシュリが卵を届けに家に来たので、二人を捕獲する。そして、捕獲した二人を家の中に招き入れる。

「今日は暑いです。ユナお姉ちゃんは暑くないんですか?」

額に流れる汗を拭きながら、フィナが尋ねてくる。

わたしの格好はいつも通りの、見た目が暑そうなクマの着ぐるみだ。その点、フィナとシュリの格好は薄着の格好をして、涼しげで可愛い。

「前にも話したけど、特別な服だからね」

「でも、ユナお姉ちゃんのおうちは涼しいです」

クマハウスは窓さえ開けなければ、適温を保ってくれる。だから、雪山だろうと砂漠だろうと、住むことができる。

「はい、冷たい水だよ」

外を歩いてきた二人に冷たい水を用意してあげる。

「ありがとうございます」

「ありがとう」

二人はコクコクと水を飲み干す。

「それで、二人は今日は暇?」

「はい、とくにすることはありませんが。もしかして、解体のお仕事ですか?」

「ああ、たしかにあるけど、今日は別件」

スコルピオンの解体をお願いしたいけど、今日はいい。

「別件ですか?」

実は海に行く前にアイスを作ろうと思っている。クマバスの移動の中で食べてもいいし、暑い海辺で食べてもいい。子供たちに食べさせてあげようと思っている。

「今日は冷たいお菓子を作るから、二人には手伝ってもらおうと思って」

なんせ、ミリーラに行く全員分を作ることになったら、かなりの量になる。それを一人、数回分と考えると、恐ろしい数になる。それを一人で黙々と作るのは寂しい。あの、王都で一人で寂しくプリンを作ったことが懐かしくなる。

でも、今回は王族の食べ物ではないので、作ってもらえるはず。もっとも、その作ったアイスをフローラ様が口にするかもしれないけど。そのことは口にしない。

「冷たいお菓子ですか?」

「うん、海に行ったときにみんなで食べようと思ってね」

「かき氷ですか?」

「違うよ。アイスって食べ物だよ」

ちょっと調べてみたけど(クリモニア限定)、かき氷みたいなのはあるけど、アイスはなかった。

「かき氷、食べたい」

シュリが小さな声で言う。

「シュリ、かき氷食べたいの?」

「……うん」

かき氷ぐらい、いくらでも作ってあげられる。氷を削って、シロップをかけるだけだ。

わたしはお皿を用意すると、氷を作って、風魔法で氷を削る。シュウルルルルと音を立てて、お皿の上に削れた細かい氷が溜まっていく。

最後に果物のジャムやハチミツ、甘いシロップなどをかける。さすがに元の世界みたいに、レモン、メロン、イチゴ、ブルーハワイなどのシロップはない。だから、ジャムや甘い物をかけるみたいだ。

わたしがかき氷を用意すると、二人は美味しそうに食べ始める。

「これがかき氷なんですね」

「食べたことがないの?」

「はい、初めてです。その……去年まではお母さんが……」

そうだった。父親はいなくて、母親のティルミナさんは病気で寝込んでいた。そして、その日を生活するのが大変で、かき氷なんて買うお金は無かったはず。

「好きなだけ、食べていいよ。いくらでも作るから」

「ありがとうございます」

「冷たくて、美味しい」

二人はかき氷を美味しそうに食べる。

それから数分後……。

「ユナお姉ちゃん、寒いです」

「ユナ姉ちゃん、お腹が少し痛い」

二人はかき氷の食べすぎで、寒そうにしたり、お腹をさすったりしている。

「食べすぎだよ。ほら、二人とも。温かいお茶だよ」

「ありがとうございます」

「ありがとう」

食べる方も悪いけど、美味しそうに食べている姿を見ると、与えたくなるのはわたしの悪い癖だ。だから、ティルミナさんに「ユナちゃんはフィナとシュリに甘い」って言われるんだよね。孤児院の子供たちにも甘くしたり、ノアにも優しくしたりして、院長先生やクリフにも同じような表情をされた。

ボッチ経験が長かったせいか、自分を好いてくれると甘くなるみたいだ。たぶん、嫌われたくないから、そうなっちゃうのかな。

今までの自分の行動を分析してみる。

治そうと思っても、治らないよね。これが自分と思って諦める。

それから、二人の体調が良くなるまで休む。

しばらく休むと、二人は元気になる。少し魔法を使ったのは内緒だ。

「それで、冷たいお菓子を作るんですよね」

「ユナ姉ちゃん。美味しいの?」

「上手に作れれば、美味しいよ。とりあえず、作り方を思い出しながら作るから、手伝って」

「うん」

「わかりました」

二人は返事をしてくれる。

もっとも、美味しいかは、ちゃんと作れた場合だ。

作る作業は簡単で覚えているけど、問題は分量だ。卵や牛乳、砂糖の分量が記憶が曖昧で覚えていない。

ここにパソコンでもあれば一発で調べることもできるけど、無い物ねだりしても仕方ない。今日は曖昧な記憶で作ることになる。でも、砂糖の分量を間違えなければ作れるはず。牛乳も卵と混ぜながら入れれば大丈夫なはずだ。

その辺りはクマの勘に賭けるしかない。

まずは卵黄と牛乳、砂糖を用意する。基本的なアイスだ。

ボウルに卵黄を数個入れて掻き回す。問題は砂糖の量だけど、記憶にない。とりあえず、わたし、フィナ、シュリの量を変えて、適度に入れて混ぜる。そして、牛乳を入れて混ぜる。

そして、冷凍庫に入れる。

「ユナお姉ちゃん、これだけでいいの?」

「一応、これで冷やしたら完成だけど。ちょっと、分量を覚えていないから、様子見かな?」

そのために三人で分量を変えて作った。

あと、たしか生クリームからアイスを作る方法もあったはずだ。ケーキも作っているから、こっちの方が大量に作るのは楽かもしれない。

わたしはフィナとシュリに少しだけ、作り方を変えて、砂糖の分量を変えて、アイスを作り上げる。冷やす時間は早くて一時間、長くて、五、六時間だったはず?

まあ、そのあたりはその度に確認すればいい。

「ああ! シュリ。クリームを舐めたらダメだよ」

「ごめんなさい」

シュリが作ったクリームを食べてしまう。それをフィナが注意する。

「ほら、口にクリームが付いているよ」

フィナはハンカチを出して、シュリの口元を拭いてあげる。本当に仲が良い姉妹だ。

そんな二人を見ながら、アイス作りに専念する。

それから、いくつかのアイスに挑戦する。固まるまで時間はあるし、どれが美味しくできるかは食べてみないと分からない。とりあえず、バリエーションを多く作ってみる。

「ユナお姉ちゃん、混ぜていいの?」

「少しだけだよ」

オレンジの味がする果物を入れたり、他の果物を入れたり、抹茶アイスに似た、お茶を試したり、いろんな味に挑戦する。はっきり言って、どれが成功するかは分からない。分量が分からないのが難点だ。

「シュリ、砂糖入れすぎ!」

ちょっと、目を離すとシュリは砂糖を多く入れようとする。

子供が甘いのが好きなのは仕方ないけど、入れすぎは良くない。

「あと、自分で作ったアイスは分量をメモるのは忘れないでね」

そして、いろいろなアイスを作っている間に、始めに作ったアイスが固まってくる。

「それじゃ、味見しようか」

「はい」

「やった~」

始めに作ったアイスの試食をする。

食べると、うん、美味しい。ちゃんと美味しくできている。

「口の中で溶けます。不思議です」

「おいしい」

二人とも美味しく食べる。

次にシュリが作ったアイスを試食する。

食べると、甘い。

「シュリ。砂糖、たくさん入れたでしょう」

「だって、甘い方が美味しいと思って」

まあ、シュリのアイスも甘かったけど、ほどほどに美味しく食べる。今日はいろいろなアイス作りや試食会を行った。まだ、固まっていないアイスは明日に試食することになっている。

そして、今日作った中から、美味しく出来たアイスを大量に作る予定だ。

美味しくできるといいな。