軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

288 クマさん、超秘密情報がシェリーに知られる

部屋はノアを中心に水着選びではしゃぐ姿がある。フィナはノアの会話に頷いたり、否定をしたりしている。シェリーは勉強するようにイラストを見ている。

「やっぱり、服や裁縫をするには絵も上手く描けないとダメですね」

「そうなんですか?」

シェリーの独り言にノアが尋ねる。

「はい。服を作るにしても初めは絵を描くんです。それをお客様に見てもらったり、新しい洋服を考えたりするんです」

「ああ、たしかに。新しい服を作るとき、見たことがある」

さすがお嬢様のノア。服もオーダーメイドなのかな?

わたしなんて、クマの着ぐるみは神が付くほど高級品だけど、着た切り雀だよ。

「これ、可愛いかな」

「でも、少し恥ずかしいかも」

「これを作るには難しいかな。こっちはシンプルで簡単に作れそうだけど」

ノアとフィナは素直に選んでいるが、シェリーは作ることを考えている。

「2人とも、決まったらシェリーに体のサイズを測ってもらうんだよ」

「サイズですか?」

「ノアやシェリーは分かると思うけど。服を作るときには必要でしょう。とくに水着はサイズが違うと大変なことになるからね」

水着は小さくても大きくてもダメだ。今回ばかりは大は小を兼ねない。

まあ、フィナたちの年齢なら、ある程度は一緒だと思うけど。孤児院の子供たちの中でも成長の差はある。なるべくなら、サイズに合った物がいい。

「隣の部屋を使っていいから、測ってもらうといいよ」

「それじゃ、わたしから測ってもらいますね」

ノアがシェリーを連れて隣の部屋に入っていく。

「ユナお姉ちゃんの故郷ではみんなこれを着て泳ぐんですか?」

「うん、もっといろいろな種類があるけど。みんな着て泳ぐよ」

「それじゃ、ユナお姉ちゃんもこれを着て泳いだりしたんですね」

フィナが水着のイラストを見る。

「……まあ、昔ね」

さすがに小学校のときにスク水を着ただけとは言えず、誤魔化しておく。

「フィナはそれで、水着は決まったの?」

「はい。一応」

少し恥ずかしそうにする。

どんな水着か尋ねようとしたとき、隣の部屋からノアが出てくる。

「次はフィナですよ」

フィナは返事をして部屋に入っていく。

「みんなで海に行くのが楽しみです」

「クリフの許可をちゃんともらうんだよ」

「はい。ユナさんが一緒なら、大丈夫です。お父様、ユナさんのことは信用していますから」

これがわたしが男の子だったら、意味合いが変わってくるんだろうな。

あいにく、わたしは女の子だから、普通に信用されていることになる。

ノアがイラストを見ているとサイズを測り終えたフィナが部屋から出てくる。

「今度はユナお姉ちゃんだそうです」

「わたし? わたしはいいよ。たぶん、着ないから」

「「「えっ……」」」

ドアから顔を出しているシェリーを含む三人が驚きの表情になる。

わたし、そんな変なことを言った?

「ユナさん、着ないんですか?」

「着る予定はないけど」

「駄目です。言い出したユナさんが着なかったら、誰も着ないですよ」

「ユナお姉ちゃんが着ないなら、わたしも」

フィナまでそんなことを言い出す。

「だって、泳がないし」

「それじゃ、わたしも」

「ユナさんが泳がなくちゃ、みんな泳ぎませんよ」

そうかな。海を目の前にしたら、みんな、服のまま海に向かって走りだしそうなイメージがある。

「とにかく、ユナさんも着ないとダメです」

にじり寄ってくるノア。わたしは立ち上がり、ゆっくりと後ろに下がる。でも、何かに掴まれる。

「フィナ?」

わたしを後ろからフィナが掴んでいる。

いつのまに!

「ユナお姉ちゃん、ごめんなさい」

謝らないでいいから、離してくれない?

もちろん、力ずくで振りほどくことは出来るけど、そんなことをするわけにはいかない。

「ユナさん、諦めてください」

「それじゃ、ユナお姉ちゃん。サイズを測りますから、服を脱いでください」

バシッとどことからもなく、ロールメジャーを出すシェリー。

そして、ゆっくりとにじり寄ってくる。

「えっと、話し合おうか。話し合おうね。話せば分かるよ。無理やりはよくないよ。ねっ」

わたしの言葉が聞こえているはずなのに、二人はゆっくりと近づいてくる。

「ユナお姉ちゃん。体のサイズが分からないと水着が作れません」

「ユナさん。諦めてください」

後ろからフィナ。前からノアに抱き締められる。

「2人とも、わかったから、離して」

わたしは諦める。

水着を作ったとしても理由をつけて着なければいいだけだ。

サイズを測られるのは嫌だけど。そんな恥ずかしい体型はしていないはず?

ポテトチップスやピザを食べ過ぎていないよね。お腹周りが少し気になるけど。大丈夫なはず?

シアの制服が着れたんだから、大丈夫だよね。

「本当に逃げちゃダメですよ」

わたしの言葉を信じてフィナは離してくれる。それを見たノアも離れる。

二人が離れた瞬間、駆け出す…………ような真似はしない。したいけど。

まあ、サイズを測られても他人に知られなければ良いことだ。

わたしは諦めて、隣の部屋に向かう。

でも、そのあとをフィナ、ノア、シェリーが付いてくる。シェリーは分かるけど、どうして2人まで?

「えっと、どうして、付いてくるのかな?」

「ユナさんが逃げるかもしれませんから、見張っています」

フィナまでが頷いている。

「逃げたりしないよ」

逃げるなら、振りほどいている。

「念のためです」

「恥ずかしいから」

「どうしてですか? 女の子同士です。恥ずかしいことは無いと思います」

まあ、そうなんだけど。いるのは年下の女の子だけだ。

普通に考えれば問題はない。体育で着替えたり、プールで着替えたりするようなものだ。

でも、サイズを知られるのは年上として、今後の威厳にも繋がる。

もし、もしだよ。神に誓ってありえないけど。あるサイズが小さかったら、生きていけなくなるよ。

しかも、孤児院の子供たちのサイズも測ることになっている。その中にわたしのサイズが入ることになる。孤児院の中には年下でも発育が良い子もいる。

それと比べられでもしたら……。

「えっと、ユナお姉ちゃん。信用問題になるので、誰にも言いませんので」

シェリーが何かを感じとったのか、わたしのある部分を見ながら答える。

どこを見ているのかな?

「サイズを測るのはシェリーだけ。そして、シェリーはそのことを超機密情報として、ナールさんたちにも教えないこと」

「はい。守ります!」

「え~~~~~~~」

「え~~、じゃないよ。人のサイズを知っても仕方ないでしょう」

「将来、ユナさんみたいになるのを目指しているのに」

「ノアはシアを目標にすればいいでしょう。姉妹なんだから。とにかく、却下だよ。どうしてもって言うなら、力ずくで抵抗するよ」

「もしかして、暴力を振るうんですか?」

「違うよ」

わたしはくまゆるとくまきゅうを召喚させ、ノアとフィナを押さえるように命じる。

くまゆるはノアを、くまきゅうはフィナを抱き締めて、動けないようにする。

「くまゆるちゃん、離してください」

「くまきゅう……」

「それじゃ、二人をよろしくね」

「ユナさん~~~~」

「どうして、わたしまで……」

わたしはシェリーを連れて隣の部屋に移動する。

「シェリー、本当に他の人に教えたりしたら」

「絶対にしません。約束します」

わたしの脅迫を感じとったシェリーは、首を何度も縦に振る。その言葉を信じて、クマ装備一式を脱ぐ。やっぱり、年下の女の子とはいえ、サイズを測られるのは恥ずかしい。

きっと、くまゆるもこんな気持ちだったんだね。このサイズが世にばれたら、生きていくことができない。

うう、なんで、こんなことに……。

「はい、終わりました」

恥辱に耐えたわたしは、すぐにクマ装備を装着する。

クマ装備はわたしの身を守る以外にも体型も隠してくれる。クマ装備は万能だ。

サイズを測り終えたわたしが部屋に戻ってくると、二人はくまゆるとくまきゅうに抱きしめられていた。

「くまゆるちゃん、暑いです」

「くまきゅう……」

「二人を離してあげて」

わたしの言葉でくまゆるたちはノアたちを離す。

「ユナさん、酷いです」

「どうして、わたしまで」

「全部ノアが悪いから」

「ううぅ、わたしはユナさんのサイズを知りたかっただけなのに」

それが悪いことなんだよ。

プライバシーの侵害は良くないよ。

「それじゃ、孤児院のみんなや、働いているみんなの水着もよろしくね」

「はい。わかりました」

シェリーはわたしが描いたイラストと超極秘データの書かれた紙をアイテム袋に仕舞う。布が結構な量なので、アイテム袋を貸してあげた。

「一人で大丈夫?」

「はい。大丈夫です」

「あと、ナールさんにシェリーの休みをお願いしないといけないから、明日辺りに顔を出すね」

シェリーは手を振りながら、帰っていく。

なにか、どっと疲れがやってきた。

わたしは付き合ってくれたフィナとノアを連れて、モリンさんのお店に行く。

なんだかんだで、付き合ってくれたので、ケーキをご馳走するためだ。

二人には好きな物を注文するように伝え、2階のキッチンにいるエレナさんのところに向かう。

「ユナさん!?」

「ケーキ作りも上手くなったね」

「そんなことはないよ。まだまだだよ」

エレナさんは謙遜するが、十分に美味しいケーキを作っているし、日々研究をしていることも知っている。

「それで、今日はどうしたの?」

「エレナさんとモリンさんに話があるから、下でいいかな?」

わたしは二階のキッチンから下のキッチンの階段を使って降りる。

前に不便を感じたので、一階のキッチンと二階のキッチンを繋げた。

「ユナちゃん?」

「モリンさん、少しいいですか?」

モリンさんと子供たちは片づけをしている姿がある。

「今日はもう、仕事は終わったから大丈夫だよ」

わたしは三人と子供たちにお店を休みにして、海に行くことを説明する。

「海ですか?」

「みんな、お店を頑張っていますから、そのお礼と思ってもらえれば」

「わたし、海は初めてです」

「わたしもずっと王都にいたから」

エレナさんとカリンさんは嬉しそうにする。

「いいのかい。お店を休みにして」

「いいですよ。だから、モリンさんも参加してくださいね」

「そうだね。人生のうち、一度は見ておこうかね」

それから、シェリーが海で泳ぐ用の服を作るので、体のサイズを測ることを伝える。

モリンさんはもちろん、カリンさん、エレナさんが微妙な顔になった。

やっと、分かり合える人たちに会えた。やっぱり、年齢が上がると、サイズを測られるのは嫌だよね。

「えっと、ユナさん。それでいつ頃、行くんですか?」

「まだ、決まっていないけど、もう少し暖かくなってからだよ」

「それなら、間に合うかな?」

「エレナさん。大丈夫ですよ。頑張りましょう」

2人は自分のお腹を見る。

「最近、ケーキの味見で」

「わたしもです」

そういうことね。

頑張ってダイエットしてください。

それから、ナールさんのところに水着の話や海の話をして、シェリーの休みを頼む。ナールさんたちは、快くシェリーの休みをくれた。

そして、海に向けて準備をしていると、クリフからの呼び出しをもらった。